青チョークの男 の商品レビュー
良かった。面白かった。フランスの刑事もの。こういうのもっと読みたい。あれ、事件終わって犯人捕まったけど、それで終わりか。動機とかそういうのなしか。後書きにもあるが、人物が個性的で、物語を追うのもわかりやすい。事件よりも、主人公の署長の人生に重心置いてる。ずっと行方知れずの元恋人を...
良かった。面白かった。フランスの刑事もの。こういうのもっと読みたい。あれ、事件終わって犯人捕まったけど、それで終わりか。動機とかそういうのなしか。後書きにもあるが、人物が個性的で、物語を追うのもわかりやすい。事件よりも、主人公の署長の人生に重心置いてる。ずっと行方知れずの元恋人をしつこく思っていて、事件に彼女の母親が絡んでいる。刑事というよりも、まず一人の人間として生きてる。フランス人は人生のことも愛のことも深く理解している。理由を付けて逃げたりしてない。シリーズ物だが他にリリースされてるのだろうか。
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探偵役が序盤で早々に、「論理的に考えるのではなく、直感で犯人が分かる」と、whodunit好きミステリスキーを絶望の淵に叩き込む探偵手法を開示してしまう本作(長)。 伏線が回収できる読者への挑戦ものが好きなミステリスキーとしては、この辺で「あー今回はハズレかな…」と思わざるを得ない出だしですが、どうしてどうして!予想以上に楽しめたのでありましたo(^▽^)oわーい 殺人事件が発生するペース、探偵の捜査過程、容疑者達の取り調べ。全てが「いう凶行が止まるか不明な連続殺人」を捜査しているとは思えないテンポでゆったりと進むのですが、中盤までは「魅力的なキャラクタ」達がそうと感じさせない読み応えを演出しています。 探偵役である警察署長・アダムスベルグは、キレ者にはとても見えない草臥れた50目前のおじさま(元カノに未練タラタラ)。 有能だけどお昼を過ぎると飲んだくれに成り下がる部下(妻に逃げられた5人の子持ち)。 夜な夜な青いチョークでパリの路上に円を描く愉快犯(=殺人犯? or ≠殺人犯?)。 そんな犯人と奇妙な交流を持つ、魅力溢れる女性海洋生物学者(ストーカー気質)。 その彼女に拾われた、盲目の美青年(性格のねじれ切ったpessimist)と、年老いてなお伴侶を求め、日々新聞の交際欄に目を通す老婆(お馬鹿)。 …こうして書くと、何で彼等が魅力的に見えたのか分からないな…。とりあえず、女性学者の奔放な言動と、主人公のボンヤリした存在感の対比が序盤はすごく面白かったのよねー。あと、何考えてるんだか分からない上司にヤキモキする部下も、なんか親しみ沸いた(笑)。 どこか歪な人々の、歪な交歓って感じかなあ。 全体を通して感じたのは、「自分自身や第三者の風貌や性格を描写する表現が特異」な点でした。ちょっとこの辺にページ割き過ぎてる感はあったかな〜。 後は、「彼女はあしたの朝きっとコーヒーを淹れる」←みたいな、すごいおフランスなかほり漂う文章が散見されたのも面白かった(笑)。 そういう世界観に気を取られてる間に、事件そのものは意外な犯人・意外な真相へと落着するんですが。 今作に関しては、本筋が二の次になって楽しんでしまえるという、興味深い読み心地を体験できましたo(^▽^)o意外にフランスものもイケるんじゃないの〜 Amazon先生、お世話になります…(・ω・)φメモるのよ パリの街で夜毎、路上に青チョークで円が描かれ、その中に様々なガラクタが置かれるという奇妙な出来事が続いていた。蝋燭、人形の頭、クリップ…。変わり者の哲学者の仕業か?しかし、ある朝、そこにあったのは喉を切られた女性の死体だった。そして、また一つ、また一つ死体が…。警察署長アダムスベルグが事件に挑む。仏ミステリ界の女王による大人気シリーズ第一弾。
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海外ミステリー初挑戦。 直感を頼りに行動する探偵役のアダムスベルグ。 尾行が趣味(?)のマチルド。 この二人を中心に、個性的な登場人物が印象的。 個人的には、事件よりも、登場人物の会話が面白いと感じた。 彼はいったいどうやって事件の鍵を見つけたのだろう、とダングラールに訊いた。...
海外ミステリー初挑戦。 直感を頼りに行動する探偵役のアダムスベルグ。 尾行が趣味(?)のマチルド。 この二人を中心に、個性的な登場人物が印象的。 個人的には、事件よりも、登場人物の会話が面白いと感じた。 彼はいったいどうやって事件の鍵を見つけたのだろう、とダングラールに訊いた。 「全然、わかりません。彼のやり方、何もしないやり方、これは見ていたんですけれどね。(略)」 p.219より引用
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表紙に恐れをなして読まずにいましたが、フランスのミステリと聞いて挑戦。人形の首だと思っても、やっぱりあの絵はショッキング…。 語れるほど知っているわけではないですが、感覚で個を主張するフランスらしさを存分に味わえました。いきなり始まる、謎の追跡をする女性と盲目の青年の会話。随所に...
表紙に恐れをなして読まずにいましたが、フランスのミステリと聞いて挑戦。人形の首だと思っても、やっぱりあの絵はショッキング…。 語れるほど知っているわけではないですが、感覚で個を主張するフランスらしさを存分に味わえました。いきなり始まる、謎の追跡をする女性と盲目の青年の会話。随所に現れる複雑な人間関係。情報に頼らず直感で真犯人を見つける警察署長なんて、日本じゃユーモアミステリじゃないとまずありえないでしょう。部下の刑事は逆に手掛かりと証拠で捜査を進めていくのですが、最終的には署長の勘が真実を導く。理屈より感性がものを言い、登場人物たちの感覚は理解できないんだけどそれぞれに正しく思える。理論は後から身に付くもので、生まれながらに備わった感覚こそが個性であり、そこにプライドを持ってるんでしょうねぇ。しかし本当にお洒落。誰と誰が寝たのかもしれない、なんて想像が全然下世話に聞こえないし、恋愛は食事と同じで生活の一部、と捉えているようです。マチルダの部屋の机も、とても維持はできないだろうけどアイディアがいいなぁと思いますし。その一方で、登場人物の変わった癖や行動につい笑ってしまうことも。 事件も度々その様相を変え、署長の気分も目まぐるしく変わり、部下たちもその影響を受けて変化する。そこはミステリとしての面白さですね。それでも振り回されてる感じがしないのは、読者にもアダムスベルグののんびり感が移ってしまうからかもしれません。
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パリ5区の警察所長として赴任してきたアダムスベルク。かつての恋人カミーユの面影を忘れられないアダムスベルク。海洋生物学者マチルドが出会った盲目の青年レイエール。彼女のアパートで暮らすレイエール。マチルドの仕事の手伝いをする老婆クレマンス。パリの町で青チョークの男の起こす事件に目をつけダングレール刑事に捜査を命じるアダムスベルク。ついに起きた殺人事件。3人の被害者。3人目の被害者の夫にかけられた殺人容疑。
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物語の序章部分、容姿や過去あたりは正直言うとストーリーに関係ないし、ちょっと読むのが面倒くさいなと最初は思っていた。アダムスベルグの容姿がちぐはぐで醜いとか、どうでもいいです。 直感力が魅力的なキャラクターなのだから、と考えていたけど、それを際立たせるための、周到なギャップだった...
物語の序章部分、容姿や過去あたりは正直言うとストーリーに関係ないし、ちょっと読むのが面倒くさいなと最初は思っていた。アダムスベルグの容姿がちぐはぐで醜いとか、どうでもいいです。 直感力が魅力的なキャラクターなのだから、と考えていたけど、それを際立たせるための、周到なギャップだったのかもしれない。 アダムスベルグに限らず、どのキャラクターも個性的で、現実にいても不思議じゃないくらいにリアリティーがありました。 アダムスベルグの警察としての優秀な面と、カミーユの幻影に捕らわれた惨め男性としての一面が魅力的。こういうのって誰でもありそうですよね。 人間くささ満載のキャラクターに好感触の小説。シリーズらしいので続編も手にとってみたいです。
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独特な雰囲気のあるミステリーでした。(表紙がもう事件臭をプンプンさせてる!) これがフランス小説の持ち味でしょうか。馴染みにくかったけど、事件は面白かった。 青チョークの円が忽然と現れ、その中心にガラクタをポツンと置いていく怪奇事件がパリを次第に騒がせていく。辞書、ジョウロの口...
独特な雰囲気のあるミステリーでした。(表紙がもう事件臭をプンプンさせてる!) これがフランス小説の持ち味でしょうか。馴染みにくかったけど、事件は面白かった。 青チョークの円が忽然と現れ、その中心にガラクタをポツンと置いていく怪奇事件がパリを次第に騒がせていく。辞書、ジョウロの口、猫の死骸、人形…そして人間。アダムズベルグ署長シリーズ第一弾。 登場人物がみんな変な奴。 掴み所のない人だけど、残酷臭を嗅ぎ分けられる署長。 飲んだくれの頼り甲斐のある刑事。 魚と人間の間を行き来し、誰にでも尾行する海洋生物学者。 根性がボキボキに曲がってる盲目の美青年。 妻を愛人に取られた歴史学者…etc 彼らが自由奔放に歩き回るから、犯人の足跡が分からなくなるし、美しいカミーユが気になるしで、犯人が全く掴めない。 ゴチャゴチャしてたなー。これがいいんだけど。 カミーユがすっごい気になる。
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フランス人作家のミステリ。登場人物も起こる事件も独特なので読者を選ぶかも。ふわりととらえどころがなく感覚で事件の肝を見極めようとする警察署長アダムスベルグは来るものは拒まず去るものは追わずの人なのに、彼のもとを去っていった恋人カミーユを忘れられず、彼女のイメージに囚われている。部...
フランス人作家のミステリ。登場人物も起こる事件も独特なので読者を選ぶかも。ふわりととらえどころがなく感覚で事件の肝を見極めようとする警察署長アダムスベルグは来るものは拒まず去るものは追わずの人なのに、彼のもとを去っていった恋人カミーユを忘れられず、彼女のイメージに囚われている。部下のダングラールは理詰めで推理するクールな人物なのに飲んだくれで夕方からはその頭脳も役に立たない、そして別れた妻が残していった二組の双子を育てている。マチルドは著名な海洋学者で美人で資産もあるのに趣味は一般人の尾行。マチルドに拾われるシャルルは美青年でひねくれ者。そして起こる事件は、夜ごと青チョークで書かれた円の中にガラクタが置いてあるというキテレツなもの。ところがある日ガラクタではなく首を切りつけられた死体が置いてあり、、、。この独特な雰囲気が苦手でなければ楽しめます。私は面白かったです。多少まだるっこさもありましたが、事件の背景や解決の仕方も良く考えられていて面白かったです。シリーズになっているみたい。
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これはなかなか評価のわかれるミステリーではないだろうか?物語としては重厚な雰囲気というよりは、理と情が醸し出す(?)フランス的アンニュイな雰囲気(!)が前面に漂っていて、自分としても途中まではミステリーとしては星4~3つかなと思ってしまいましたが、読み終えてみるととても面白かった...
これはなかなか評価のわかれるミステリーではないだろうか?物語としては重厚な雰囲気というよりは、理と情が醸し出す(?)フランス的アンニュイな雰囲気(!)が前面に漂っていて、自分としても途中まではミステリーとしては星4~3つかなと思ってしまいましたが、読み終えてみるととても面白かった。 ミステリー的には割と常套で、理解不能な奇怪な出来事から出発して、わくわくするような設定なのですが、それにも増して、登場人物の内面や行動を詳細に描写し、むしろそちらの方に重点が置かれているような感じがして、読んでいるこちらも先が見通せずいらいら感があったのですが、だんだん著者の描く人物像に引き込まれていきました。(笑)登場人物たちの陰のある人物背景やその思索、時にはシニカルで時には即妙な受け答え、また、ミステリー本編とは無関係な心の葛藤といった性格描写がぽんぽん盛り込まれ、これは普通の小説としても結構面白いのではないかと思います。特に、手当たり次第に人を尾行し、その人となりをファイルすることが趣味であり、週を運命?のユニットで区分している海洋学者マチルドの、かなり個性的な人物設計には仰天ものでした。(笑) プロットは例の森ネタなのですが、ラストの解決場面もひとひねりあり、ミステリーとしても面白かったのではないかと思います。次回作も気になるところです。
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フランス・ミステリの女王と言われるヴァルガス。 森の妖精とあだ名されていた刑事が、パリへ! というユニークなシリーズの始まり。 ジャン=バチスト・アダムスベルグは、ピレネー出身。岩山を走り回って育った。 突然、パリ第5区警察署長に赴任。 妖精というのは日本人がイメージするのと...
フランス・ミステリの女王と言われるヴァルガス。 森の妖精とあだ名されていた刑事が、パリへ! というユニークなシリーズの始まり。 ジャン=バチスト・アダムスベルグは、ピレネー出身。岩山を走り回って育った。 突然、パリ第5区警察署長に赴任。 妖精というのは日本人がイメージするのとはちょっと違うかも知れないが。がっちりしているが小柄で、山歩きが好きで、どこか人慣れしないような、風変わりな空気感のある… 顔立ちは整ってはいないが個性的。 あたたかい声でのんびり喋る。シャツがはみ出ていたりして、服装はだらしない。 もてる方らしいが、カミーユというかっての恋人のことを今も恋い焦がれている。 警官としての勘の冴えはすごいのです。 人の言うことがほぼ予想でき、犯罪の臭いをかぎ取るので、自分はそれが苦痛なほどという。 もっと風変わりな女性海洋学者も登場。 マチルド・フォレスチエは、ふだんは仕事で海の底にいる物ばかり見つめているので、時には人間観察に繰り出し、見知らぬ人の跡を付けてまで観察し、手帳にメモをする。 カフェで会話を交わした盲目の美青年シャルル・レイエールに部屋を貸したりと、行動も変わっている。 夜の間に、パリのどこかの歩道に青いチョークで大きな円が描かれる。 朝、人々が見つけたときには、その円の中にちょっとした物がある。 クリップ、羊肉の骨、人形の頭、本、ろうそく‥ <ヴィクトール、悪運の道、夜の道>という文字も。 罪のないイタズラか?どういう選択なのか? 新聞で話題にはなりつつも、当初は本気には受け取られない。 アダムスベルグはどこか残酷な匂いを感じ、危険な奉公にエスカレートする可能性を感じる。 部下のダングラール刑事は新しい上司に戸惑いつつも次第に信頼を深めていく。 ダングラールは署長とは対照的で、知性派で長身、教養あるきちんとした服装の男性。妻に出て行かれてくたびれがちだが、子供達を可愛がっている。双子が二組に、妻が外で産んだ子までいるのだ。 夕方から飲んだくれるので、大事な仕事は昼前にしてくれと言う。 マチルドは警察に来て、青チョークの男を知っていると言う。 アダムスベルグは、彼女の身辺を探らせる。 やがて、青チョークの円の中には、死体が‥?! 青チョークの男の身元は知られるが、死体とは何の関連もなく、彼にはアリバイが。 一体、何が起きているのか‥? 風変わりで知的な、様々な要素を含んだ~いかにもフランス的なミステリ。 1990年の作品。 ヴァルガスは1957年パリ生まれ。双子なんだそうで。 中世考古学の専門家の仕事をしながら、小説も書き始める。 シングルマザーになったが、息子の父親は漫画家で、良い関係を保っている様子だそう。
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