Sweet Blue Age の商品レビュー
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Sweet Blue Age 青春を題材にした短編アンソロジーです。 『あの八月の』:夜の大学の映画サークルに忍び込んで、昔の自作映画のメイキングビデオを旧友と見るというお話です。昔の自分を見るという気恥ずかしさはもちろん、30代から見れば他愛のない関係の中でぐるぐると独りよがりで廻っている焦燥感がよく伝わって来ます。 『クジラの彼』:今時、携帯でメールも話もできない長距離恋愛があるとは。図書館戦争シリーズの著者が考えついたシチュエーションはとは。。。 『涙の匂い』:東北の田舎に引っ越して来た中学生の淡い想いと大人の都合による別離。東北弁がなかなかに懐かしい竹蔵でした。 『ニート・ニート・ニート』:無気力に過ごす毎日。なにげなく会社を辞めることにした主人公のところに、女たらしで口のうまい旧友が訪ねて来て、知らず知らずのうちに逃亡劇に巻き込まれるお話。最後に自分が旧友と自分との共通点に気づいて。。。 『ホテルジューシー』:兄弟の面倒を母親代わりでみていたため、自分の時間を犠牲にしていつも追われるように暮らしていた女子大生が、沖縄に行ってゆるゆるの時間、ゆるゆるの人たちと過ごすことによって成長するお話。沖縄行きたいぞー。 『辻斬りのように』:5月のある朝、彼女の中で蠢きだしたものは、兎に角男を斬りまくること。わかるようなわからないような。男にはちょっと追いつけないお話。 『夜は短し歩けよ乙女』今や大ブレークの森見氏の同名長編の第一章。内田百閒先生へのオマージュが炸裂。詳細は別レビューを参照ください。 アンソロジーの楽しみは同じテーマの作品がまとめて読めること以外に、今まで読んだことの作家の作品にふれることができるという利点もあります。今回の成果は、今まで知らなかった日向氏、三羽氏、坂木氏を知ることとができたことです。特に日向氏の別の本はちょっと読みたくなりました。 竹蔵
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個性的な作品集であった。「海の底」読了後であれば「クジラの彼」はより一層春の雰囲気(色んな意味で)がわかっただろう。個人的に「ホテルジューシー」が好きだった。独特の雰囲気と、めぐる不思議な感覚。嵌る。森見さんの作品を読むのは初めてだったけれど、「最後に集う」感たっぷりで好みにすっ...
個性的な作品集であった。「海の底」読了後であれば「クジラの彼」はより一層春の雰囲気(色んな意味で)がわかっただろう。個人的に「ホテルジューシー」が好きだった。独特の雰囲気と、めぐる不思議な感覚。嵌る。森見さんの作品を読むのは初めてだったけれど、「最後に集う」感たっぷりで好みにすっぽり。他作品も読みたい
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坂木司さん目当てで知った本。 ・あの八月の、 黒歴史、になるのかなあ。そんな雰囲気の青臭い若かりし頃、って感じ。 長年付き合った人よりも出会って数ヶ月の人と結婚する心情も、振り向かれない人と関係を持ち続ける心情も、どちらも理解出来ない。 自分とはかけ離れた体験が出来たようなお話...
坂木司さん目当てで知った本。 ・あの八月の、 黒歴史、になるのかなあ。そんな雰囲気の青臭い若かりし頃、って感じ。 長年付き合った人よりも出会って数ヶ月の人と結婚する心情も、振り向かれない人と関係を持ち続ける心情も、どちらも理解出来ない。 自分とはかけ離れた体験が出来たようなお話だった。 ・クジラの涙 有川さんの文章、やっぱ読みやすいな。 潜水艦というこれまた馴染みのない世界で、さらに遠距離恋愛とはキツそう。 自分の弱さを見せられたら距離が近くなるのかな。 ・涙の匂い ええぇぇえこんなに悲しいお話なの?! 青春がテーマで、これって…。 福島が舞台だとは思うんだが、同じ東北に住んでる民からしたら共感することしきり。 時代は今より少し前かな? 親の影響の絶大さよ。そして「大人」って、言うほど大人じゃないよね。自分が歳をとってからようやく実感する。 子供の頃に見ていた大人は、思っている以上に子供だ。 ・ニート・ニート・ニート ん、なんかよく分かんなかった。この本、読めば読むほど思い描いている青春からは遠ざかって、生々しい肉が見えるほどのリアルな青春ばかりが出てきて、痛い。 読むの、痛い。 ・ホテルジューシー 一番気になってた作品。読んでみると、なんか拍子抜け。女子的生活がおもしろすぎたから、期待値が高くなりすぎてた。 こんな青春もあるのかな。 私も主人公寄りの性格だから、途中までずっとしんどかった。 ・辻斬りのように 田中先生のことが好きだったのかしら。恋愛経験がゼロに近いと言っていいほど少ない私には、眩しく感じるような行動力だわ。 ・夜は短し歩けよ乙女 前にも読んだことがあるけど、その時は意味わからない話だなと思った。 今回じっくり読んでみて思ったのは、やっぱりよく分からない。 ただ描写を追って見たので前よりはカオス具合が具体的になった。 全体を通して青春、Sweet Blue Ageなんて言ってるけど、全然スイートじゃないし、なんなら苦すぎたり痛かったりして苦しかった。 普段こういう本を読まないから、尚更新鮮だった。お話の内容的にも、アンソロジーという構成にしても。
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クジラの彼とか夜は短し歩けよ乙女とか知ってる話もあったけど 青春は明るいだけじゃないって感じの話が多かった
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新しい作家さんの発掘も兼ねて読んでみたけれど短編のためか、これから、というところで終わってしまって、なかなか上手くいかなかった。やはり有川浩さんは秀逸❗️読んだばかりのお話でもついついひきこまれてドキドキキュンキュン。
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「あの八月の、」 映像には残らない。 これだけ複雑な関係が、あちらこちらにある状況で良く撮影を続ける事ができたな。 切り取られた過去だとしても、歳をとってから見ると全く違う景色に見えるのだろうな。 「クジラの彼」 遠距離恋愛中。 何処で何をしているのか、いつ戻れるのか何も聞くこ...
「あの八月の、」 映像には残らない。 これだけ複雑な関係が、あちらこちらにある状況で良く撮影を続ける事ができたな。 切り取られた過去だとしても、歳をとってから見ると全く違う景色に見えるのだろうな。 「クジラの彼」 遠距離恋愛中。 何処で何をしているのか、いつ戻れるのか何も聞くことが出来ないといのは不安が募るだろうな。 嘘だったとしても、そういう答えをしている時点で自分に興味を持ってない事ぐらい理解出来ないのだろうか。 「涙の匂い」 青春の1ページ。 からかっているつもりは無いのかもしれないが、生まれ育った故郷の言葉を馬鹿にされるのは気分がよくないだろう。 いくら身内が亡くなったといえど、夜逃げまでした一家が戻ってくる事などあるのだろうか。 「ニート・ニート・ニート」 連れ出された先。 突然現れ大した物も持っていない状態で旅行に誘った時点で、怪しむべきだったのではないか。 皆それぞれ抱える物があるからこそ、ぐるぐると答えのない道を回り続けているのかもな。 「ホテルジューシー」 移動した先では。 覚えが早く戦力になるからこそ選ばれたのだろうが、簡単に手放すのは惜しかっただろうな。 めちゃくちゃかもしれないが、それでいい場所なら気楽にすればいいのかもしれないな。 「辻斬りのように」 七回だけの関係を。 ふと思いついただけなのだろうが、限られた人数の中に選ばれた者は何を思い一晩を過ごしたのだろう。 公務員という仕事をしているのに、こんな事をしてしまっては世間の目も厳しくなるは仕方のない事なのかもな。 「夜は短し歩けよ乙女」 賭け事の結果は。 これだけお酒に強く自分の限度さえ守れれば、とても楽しく飲み歩く事ができそうだよな。 一夜という短い時間の中で、起こる様々な事の一つ一つが濃く語り部も楽しかったろうな。
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有川浩さんの『クジラの彼』何度読んでもおもしろい。会えないことを、『我慢できる』じゃなくて『我慢したい』と言える恋はホンキの恋だ。 角田光代さんの『あの8月の、』、自分の大学時代のビデオがあったらさぞかし楽しかったろう、と。
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面白いラインナップ 知ってる人も、初の人もいて 有川さんは流石! 日向さんは・・・良かったわ~~ 初だったので他も読みたい
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あたしは、クジラの彼とニート、ニート、ニート、が印象に残りました。 クジラの彼は、海の底の冬原カップルの馴れ初めが描かれててすごくきゅんとした。 やっぱり有川さんの言葉の選び方はすごくツボ。 冬原くんや夏の潜水艦への想いが、クジラへの比喩の反応からすごく伝わった気がする。 自分の感情に擦り合わせた言葉の選び方、相手へ対して常に誠実な態度でいたいと思う気持ち。 有川さんの作品は、いつも気づかされる。 「あの八月の、」もすごく印象に残ったな~。 ~気持ち全部を剥き出しにしてしか、人を好きになったり憎んだりもできなくて、転ぶときには必ず派手に転んで何処かに血を滲ませていた、そんな時期の~ ただひたすらにがむしゃらで、馬鹿みたいに一生懸命で幼い未熟な青春時代を表すのに、ぴったりな表現。 すごい狭い世界で恋愛がぐるぐる回っているのも、ある意味学生ならではなのかなと。 あたしはあんまり共感できないけれど。 短編はページ数が少ないから、どうしても印象が薄くなってしまって、時間が空くとすぐ忘れちゃう。 でも、気軽に色んな作家さんを読めるのは楽しいし、自分の好みに合った表現に出会うとすごくテンションが上がるとこがあたしは好き
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好きな作家の作品がなければ評価はもっと低かった。 でもこうやって無理矢理にでも普段読まない作風に触れるのは、たとえつまらなかったとしても、良いことなのかもしれない。 感性的に。
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