量子が変える情報の宇宙 の商品レビュー
「ウィーラー」がジョン・ホイーラー(1911-2008年)のことだと気づくのに少し時間がかかった。名前くらいは統一表記にしてもらいたいものだ。昨今の潮流としては原音に近い表記をするようになっているが、もともと日本語表記のセンスはそれほど悪くない。「YEAH」も現在は「イェー」だが...
「ウィーラー」がジョン・ホイーラー(1911-2008年)のことだと気づくのに少し時間がかかった。名前くらいは統一表記にしてもらいたいものだ。昨今の潮流としては原音に近い表記をするようになっているが、もともと日本語表記のセンスはそれほど悪くない。「YEAH」も現在は「イェー」だが、1960年代は「ヤァ」と書いた。ホイーラーはブラックホールの名付け親として広く知られる。 https://sessendo.blogspot.com/2019/04/blog-post_25.html
Posted by
情報理論というのは、単なるコンピュータサイエンスに使えるのではなく、どうも宇宙とか、量子というものを理解するために、もっとも本質的なものになっているのかもしれない。という、感じの主張が、「宇宙を復号する」とか、「ユーザーイリュージョン」といった本で書かれていて、なるほどと思い、で...
情報理論というのは、単なるコンピュータサイエンスに使えるのではなく、どうも宇宙とか、量子というものを理解するために、もっとも本質的なものになっているのかもしれない。という、感じの主張が、「宇宙を復号する」とか、「ユーザーイリュージョン」といった本で書かれていて、なるほどと思い、では、「もう少し情報理論と先端物理学の関係を中心にした本を」ということで読んでみた。 イントロ部分は、「おっ」という感じで、楽しいのだが、しばらく結構、当たり前な話が続くかなー、と思っていると、すこしづつ難しくなっていって、最後の方では、ほとんど意味不明になってしまった。。。。 私のようになんとなくボーと気分でサイエンスものを読んでいる読者にはややつらいかな。 といっても、数式とかほとんでないので、ちゃんと一章づつきちんと理解して、進んで行けば、それなりに分かりやすく情報理論と量子論の関係が分かるのかも?
Posted by
物理学の基礎に「情報」を要素として入れよう、という立場をいろんな角度から解説してる本。 さいしょに、ウィーラーの「ビッグ・クエスチョン」というものが示される。これがすごく哲学的で、わくわくする。「なぜ世界は無ではなく、何者かが存在しているのか」というものから、「宇宙は“参加型...
物理学の基礎に「情報」を要素として入れよう、という立場をいろんな角度から解説してる本。 さいしょに、ウィーラーの「ビッグ・クエスチョン」というものが示される。これがすごく哲学的で、わくわくする。「なぜ世界は無ではなく、何者かが存在しているのか」というものから、「宇宙は“参加型”(観察者によって変化する)か?」といったもの、そして「物質世界は、その全体あるいは一部分が“情報”からつくられているか?」という究極の質問まで。最後のクエスチョンに対する本書の立場はもちろんYESなのであるが、それを徐々に説明していこうというわけだ。 そもそも「情報」とはなにか? たとえば、bitという単位がある。YES/NOで答えられる明確な質問について答えが出せるとき、その情報は「1bit」の情報を持っている。こうした「古典的情報」観に対して、「量子情報」観というのが示される。それが「キュビット」だ。ビットが「0あるいは1」の値を取り得るのに対して、キュビットは「0かつ1の重ね合わせ」として定義されている。わかりにくい? そりゃそうだ、それを説明するために250ページかけて順繰りに説明されてるんだから。でも、説明は親切だし、訳文もこなれている。この「キュビット」をイメージできれば、さいしょの「ビッグ・クエスチョン」への回答も、ナットクできるはずだ。いや、オレは正直「すげー」と思ったよ。なんか超よくできてるパズルで世界中ができあがってるみたいな……「マトリックス」的な世界の変容を感じた。あーぜんぜん説明してないけど、「物理学」と「情報」との接点というのに興味がある人には強力にお勧め。
Posted by
情報という概念、モノの捉え方についての、主として物理学的観点からの考察、研究例の紹介。 第1部が情報とは何かという哲学的な話、第2部がシャノン流の古典的な情報の定量化の話、第3部が量子情報、第4部が物理学(及び生物学)以外での経済学等での情報の取り扱いに関する簡単な紹介といった...
情報という概念、モノの捉え方についての、主として物理学的観点からの考察、研究例の紹介。 第1部が情報とは何かという哲学的な話、第2部がシャノン流の古典的な情報の定量化の話、第3部が量子情報、第4部が物理学(及び生物学)以外での経済学等での情報の取り扱いに関する簡単な紹介といった構成。 第1部は抽象的な話が多いが、しかしそれゆえに情報とは何かを考える上での発想が刺激される。「情報とは、形態の導入、関係の流れ、メッセージの伝達である」という洞察は至言で、出来ればこの洞察を基に2部及び3部の内容が構成されていればもっと本書全体をすっきり理解できたと思う。 第2部はシャノンやボルツマン等なじみの話が出てくるので比較的わかりやすい。この中で一番重要な話は、やはり情報の実在性の話だろう。エントロピーという物理量と状態数という情報が関係しているという事実はやはり驚愕であり、この事実からもっと、物理学以外の題材についても、情報と物質、あるいは人そのものとの普遍的な関係についての事実や法則が導き出せないものかと感じた。 第3部はまだ研究が進展中の話題なので、確立された話ではなく、紹介程度の話になってしまっているのが残念だが、しかし情報という観点からブラックホールを考えるという話は興味深かった。 第4部は本当につけたしという感じでしかないのだが、個人的にはここをもっと読みたかった。特にコーリの「情報の数学理論」の話は、物理や生物学といった学問分野に依らない情報の捉え方に関する根本の話なので、ここをもっと掘り下げるべきではないかと感じた。まあ著者が物理学の教授なので本書のような構成になってしまうのだろうが、経済学等の意思決定論的な情報の捉え方に関する話がほぼ欠落しているのは片手落ちなのではないかと感じる。 あれこれ文句も言ったが、情報というものについて根源的に考える上で刺激や示唆に富む内容の多い本である。物理学になじみのない人間にとってとっつきにくい話が多いのは事実であるが、第1部だけ、あるいは2部の一部を読むだけでも思索の種は十分得られると思う。
Posted by
- 1