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国銅(上) の商品レビュー

4.2

27件のお客様レビュー

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2024/07/15

2010年、平城京遷都1300年の記念すべき年に読んだ。 大仏建立の詔が聖武天皇によってなされたのは743年のことだ。 通常、大仏建立記は為政者の立場から、つまり聖武天皇•光明皇后•藤原仲麻呂•僧玄昉•行基の視点から語られる。 だが、本書は巨大大仏を実際に建立した一人の人夫の視点...

2010年、平城京遷都1300年の記念すべき年に読んだ。 大仏建立の詔が聖武天皇によってなされたのは743年のことだ。 通常、大仏建立記は為政者の立場から、つまり聖武天皇•光明皇后•藤原仲麻呂•僧玄昉•行基の視点から語られる。 だが、本書は巨大大仏を実際に建立した一人の人夫の視点から描かれる。 市井の市民の視点を通すことで、時代背景がよりリアルに切実に感じられ、登場人物が生き生きと描かれることになるのだ。 主人公国人(くにと)に課せられた銅作りの苦役は悲惨極まりないが、その状況を易々と乗り越える主人公の心映えは純粋で美しい。 大仏建立に徴用され、長門国から奈良に向かうに当たっては、役人の庇護が有り安全に長旅をすることが出来る。 しかし、数年の苦役を辛うじて終えた後は、自助努力で故郷に帰りつかなくてはならないのだ、 使用価値のある間は大事にするが、使用価値が無くなった途端、国家権力は個人に無関心になる。 徴用された膨大な労働者によって大仏は建立されるが、労働が終わった後、労働者の殆どが、故郷に帰り着くことなく路傍に散っていったことを、歴史の教科書は教えない。 悲惨な物語にも関わらず、この小説が清々しいのは、主人公の無垢な心が色々なものを吸収して浄化し、周りの人々にも感化を与えていくからだ。 「大仏を作った者も仏」という悲田院の僧侶の言葉は、主人公の辿り着いた境地を語って感動的だ。 印象的に描かれるのは、行基上人の二人の弟子のコントラストだ。 ひとりは都から遠く離れた長門の国でたった一人巨大な磨崖仏を彫り上げる景信であり、今ひとりは豪華絢爛の中、物欲にまみえる大僧正だ。 ひとは、美しく生きることも、醜く生きることも出来る。 それを、市井の視点から、見事に描き切った大作だ。

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2024/04/16

長門の国から石を切り出し銅を造り都に運ぶ。 大仏様をどうやって造りあげていったのか。 詳しく描かれた工程を読みながらもっと知りたい事は検索しながら読みました。 奈良の大仏様をこの本を読み終えてから、又この都を造りあげた関わった人々に対して参拝したいですね。感慨深い本です。

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2023/11/12

極上の銅を命懸けで掘り出し、精錬して鋳込む。若き国人も仲間と共に都に向かった…。奈良の大仏造りに身を捧げ、報われずに散った男達の深き歓びと哀しみを描く大平ロマン。

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2022/12/13

奈良の大仏を作るために全国から集められる人々。その中で長門から竿銅を作っていた国人がやがて奈良で大仏を作り懸命に生きる姿を描写する。 習字や薬草についてなど探究しながらも長門に帰る日を夢見て。 昔の建造物には奴隷のように働いた一人一人がいたんだ、東大寺の大仏見に行くぞ。古代の旅の...

奈良の大仏を作るために全国から集められる人々。その中で長門から竿銅を作っていた国人がやがて奈良で大仏を作り懸命に生きる姿を描写する。 習字や薬草についてなど探究しながらも長門に帰る日を夢見て。 昔の建造物には奴隷のように働いた一人一人がいたんだ、東大寺の大仏見に行くぞ。古代の旅の風景も興味深い。

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2022/01/31

奈良時代に大仏像のための銅を作り出すために懸命働く若者たちの物語。全く明るい話はないが、懸命に生きる姿に清々しい思いも出てくる。色々な場面で登場する拍子歌が物語を少しだけほのぼのとした雰囲気にしてくれる。さて、大仏はどうなるのかの後編に続く。

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2017/11/08

いろんな人が絶賛されていたので、図書館から借りて読んだのですが、私にとっては絶賛とまでは行きませんでした。 普通悪役になる人足の頭たちも皆いい人ばかりで、精神的な辛さを感じさせないのです。労働の過酷さは書き込まれているのですが、いわゆる虐待だとか強制労働といった雰囲気が無いので...

いろんな人が絶賛されていたので、図書館から借りて読んだのですが、私にとっては絶賛とまでは行きませんでした。 普通悪役になる人足の頭たちも皆いい人ばかりで、精神的な辛さを感じさせないのです。労働の過酷さは書き込まれているのですが、いわゆる虐待だとか強制労働といった雰囲気が無いのです。もちろん、15人で国を出たのに、帰国できたのは1人だけという悲惨さはあるのですが、そこは軽く流されている感じです。 "三たびの海峡"と比較してそこの辛さが少ない分、帚木さんのヒューマニスティックな良さが出切ってないように思えました。 むしろ、歴史小説としての面白さのほうを強く感じさせられました。奈良時代の銅の製法、大仏製造の技術、民間の食事。これまで奈良時代の庶民生活を描いた本は読んだことが無いので、そのあたりに新鮮さを感じました。 ところで、この作品についての、児玉清さんと帚木さんの対談を見つけました。なかなか面白いので、一読してみてください。 Http://www.shinchosha.co.jp/shinkan/nami/shoseki/331411-7.html

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2016/11/27

久々にヒット! 地味な主人公だけど、奈良時代の話が克明に描かれていてその時代が目に浮かんでくるようだ。 箒木篷生って知らなかったけど、他の本も是非読んでみたい。

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2015/02/06

国人が都で大仏を作って 薬草が重宝がられて 詩を学んで… と充実していた部分が面白かった。 長門に戻ったら会いたかった人達がなくなっていて ちっともハッピーエンドではなかったのが辛い

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2014/05/04

(上下巻通じての感想です) 奈良の大仏を作る物語ですが、時の権力者や僧侶の側からではなく、作業に直接携わる人足の側から書いています。大仏の材料となる銅鉱石の掘り出しから始まって、精錬し、地方から都へ舟で運び、大仏の製造鋳込みを行います。その作業過程の描写や働く人足たちの気持ちの記...

(上下巻通じての感想です) 奈良の大仏を作る物語ですが、時の権力者や僧侶の側からではなく、作業に直接携わる人足の側から書いています。大仏の材料となる銅鉱石の掘り出しから始まって、精錬し、地方から都へ舟で運び、大仏の製造鋳込みを行います。その作業過程の描写や働く人足たちの気持ちの記述は素晴らしかったです。 ただ、ちょっと残念だったのは主人公があまりにも体力的、知的、人物的に優れていたことでした。もっと庶民の姿で書いてあれば良かったのにと思いました。

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2013/09/30

奈良の大仏を製作する為の、人足(力仕事をする作業員)の物語。 時代も環境、身分、境遇は違えども、現代の自分達と変わらぬ「人の感情」がそこにはある。いや、むしろ常に生死を意識しながら、己の体を目一杯に使う毎日だからこそ現代以上の強い「感情」がある。

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