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不道徳教育 の商品レビュー

3.7

30件のお客様レビュー

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2024/05/11

リバタリアン(というより古典的自由主義)の視点から、ありとあらゆる不道徳を擁護しようとする試み。 私自身は、昔から続いていることには意味がある(保守的な自由主義者というらしい)と考えており、かつリバタリアンが提唱する原初の暴力を罪とする思想に納得していないので、共感する部分は少な...

リバタリアン(というより古典的自由主義)の視点から、ありとあらゆる不道徳を擁護しようとする試み。 私自身は、昔から続いていることには意味がある(保守的な自由主義者というらしい)と考えており、かつリバタリアンが提唱する原初の暴力を罪とする思想に納得していないので、共感する部分は少なかった。 ただ、異なる視点から物事を見つめることで、新たな発見があった。若干古臭い内容だが、結構勉強になる内容だと思う。

Posted byブクログ

2021/05/26

目が覚める様な読後感 一般的に不道徳とされる女性差別主義者や売春にも密売人にも恐喝人にも観る視点を変えれば立派な道徳がある。一方で表面的には正しいと思われることでも不道徳が潜んでいたり。 ・女性差別主義者 平等を訴えるものが多いが、スキルや生産性を平等に評価した場合は出産育児...

目が覚める様な読後感 一般的に不道徳とされる女性差別主義者や売春にも密売人にも恐喝人にも観る視点を変えれば立派な道徳がある。一方で表面的には正しいと思われることでも不道徳が潜んでいたり。 ・女性差別主義者 平等を訴えるものが多いが、スキルや生産性を平等に評価した場合は出産育児で抜ける傾向のある女性は生産性が劣り、自然と敬遠されるはず ・最低賃金 最低賃金を上げることにより、能力やスキルの無いものや未習労働者(若者)など弱者が虐げられる。企業もコストがあがるのを避けるために雇用を控える。若者は低賃金でも働いてスキルを獲るという機会も逸してしまう。 ・麻薬取締法、密売人 麻薬取締法があるがためにサプリ並みの価格で手に入るはずの薬物価格が1万を超える(法をすり抜け手に入れるコストが上乗せされる)。薬物の影響による犯罪ではなく、薬物を手に入れるためのお金を稼ぐ困難から、風俗や犯罪に手を染めてしまうという面がある。 ・幼い子供達を働かせるNIKE 子供は働かせてはいけないという道徳心は、スキルと賃金を獲る機会を奪っている。ベトナムの幼い子供達を工場で働かせていた事がアメリカで不道徳だと大きな問題となり、NIKEは全ての工場で子供達を解放した。その影響で仕事が奪われたベトナムの子供達は、犯罪や風俗へと落ちることも ・恐喝 恐喝は取引である。恐喝されるネタや理由がある。黙っていて欲しい人と世に出せばなんらかの利益を得られる人がいる。それらを天秤に掛け合った結果が取引となる。取引とは交換や分業であり全ての人間はそれなくして発展は無かった。

Posted byブクログ

2020/08/08

面白かった。 書いてあることをなんの疑いもなく受け取ることはたいへん危険で(著者もそんなことは望んでないと思われる)、ひとつひとつの議論に疑問と考察を促すのが本書の価値だと思う。

Posted byブクログ

2020/08/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

基本的なスタンスとして、禁止されている商売は禁止されているが故にリスクが増え、リスクが増えるが故に価格があがり、社会に対して何らかの不利益をもたらすということか。 確かに非常にロジカルではあるが、個人的には賛同できるものと賛同できないものが混在されている。事象によっては、それを許すことによるより大きな不利益を生じる可能性があるものも禁止すべきではないと言っている。 P.13 すべての不幸は国家によって引き起こされている。国家が存在しなければ、(国家間)戦争も貿易不均衡も起こらない。年金制度が存在しないのだから高齢化社会が問題になることもないし、そもそも「国家」の衰亡を憂える必要すらない。(中略)人類の理想とは、国家の存在しない世界であるーー。これがリバタリアンの第一の主張だ。 P.18 英語にはLibertyとFreedomという「自由」を意味する二つの言葉がある。このうちの「リバティ」は制度的な自由(責任をともなう自由)、「フリーダム」は制限なき自由(好き勝手とか、自由奔放とか)のニュアンスで使われるから、政治思想としての「自由主義」はリバティを語源とするリベラリズムLiberalismに、「自由主義者」はリベラリストLiberalistになる。 ところが困ったことに、このリベラリズムにはたんなる「自由主義」以上の特別な意味がある。政治的なリベラルとは、福祉と人権を重視し平等な社会を目指す人々のことをいう。彼らは国民から税金を徴収し、それを貧しい人たちに再分配することを当然と考え、競争力のない産業を保護し、ライフライン(電力・水道・ガス)など生活に不可欠な抗教材を国家が提供するように求める。これは、市場原理主義者とは対極にある政治的立場だ。 P.20 リバタリアニズムというのは、ようするに次のような政治思想だ。 人は自由に生きるのがすばらしい。 これに対して、リベラリズムは若干の修正を加える。 人は自由に生きるのがすばらしい。しかし平等も大事である。 「自由主義」に対抗する思想として保守主義が挙げられるが、それとても「自由」の価値を否定するわけではない。彼らは言う。 人は自由に生きるのがすばらしい。しかし伝統も大事である。 P.108 恐喝は、取引の申し出である。より正確には、「なにかあるもの(通常は沈黙)と、ほかのなにか価値あるもの(通常は金)の取引の提示」と定義できる。 P.174 世のケイジアン(ケインズ派の経済学者)は、貯蓄が増えれば増えるほど消費が減り、みんながお金を使わなくなれば仕事も減る、などとほざいている。 P.220(豊作時に買い占め、不足時に高く売る悪徳商売人が、豊作時の価格上げに貢献し、他者も貯蓄に走らせ、来るべき不足時へ備えさせると言う論にたいして) 食糧市場を安定化させる商人たちの役割を国家が肩代わりしたら、なにが起きるか考えてみてほしい。彼らもまた豊作と飢饉の絶妙なバランスをとろうと、食糧の貯蓄量を調整するだろう。 だがこの場合、食糧政策が大失敗したとしても、無能な国家を市場から退出させる仕組みははたらかない。公務員の給料は、彼の予測が当たろうが外れようが変わらない。損するのは自分のポケットマネーではないのだから、どうだっていいのである。その結果国家の仕事は、生き残りをかけて必死で努力する商人に比べてはるかに劣ったものにならざるをえない。 P.272 アメリカの鉄道会社は、かつてカルテルを形成し、運賃の値上げとサービスのカットに合意した。ところが価格と需要の法則のとおり、運賃値上げで乗客数は減り、各社の利益は減少してしまった。そこで各鉄道会社は、合意した運賃を引き下げることで、他社の顧客を奪おうとした。もちろん、これはカルテルに違反することになる。そこで運賃値下げは、リベートのかたちでこっそりと実施された。ところが政府は、各社のこうしたカルテル破りを認めるどころか、逆にリベートを禁止してしまった。こうしてアメリカの鉄道産業は衰退の一途をたどったのである。

Posted byブクログ

2016/10/08

まず翻訳本ではない。内容を日本向けにモデリングしてある。方法論自体に問題はないだろうが、質的に危うさを感じる。読む側の問題とも言えるが、疑問をもつことなく過激な発想のインパクトに押されて安易な考えをもつことは危険だと思う。おもしろさをもとめて読むのなら問題ないが、リバタリアンの主...

まず翻訳本ではない。内容を日本向けにモデリングしてある。方法論自体に問題はないだろうが、質的に危うさを感じる。読む側の問題とも言えるが、疑問をもつことなく過激な発想のインパクトに押されて安易な考えをもつことは危険だと思う。おもしろさをもとめて読むのなら問題ないが、リバタリアンの主張を知りたいのならば他の選択をとるべきと感じた。

Posted byブクログ

2015/02/05

どんなに非倫理的な人間でも、その人にとっての経済合理性に基づいて行動しているということを論理的に考察している。 犯罪者や社会の嫌われ者などとんでもない人たちでも、彼らなりの理屈があるし、社会にとってもそれなりの有用性があるからその存在が持続しているのだということを理解させてくれる...

どんなに非倫理的な人間でも、その人にとっての経済合理性に基づいて行動しているということを論理的に考察している。 犯罪者や社会の嫌われ者などとんでもない人たちでも、彼らなりの理屈があるし、社会にとってもそれなりの有用性があるからその存在が持続しているのだということを理解させてくれる。 思考を多面的かつ柔軟にしてくれる好著だと思います。 リバタリアン向けでしょうね。

Posted byブクログ

2014/06/16

いいタイトルです! ”ヤバい経済学”でも扱っているようなテーマが書かれています。世間一般的に”悪い事”とされているものを違った角度で分析とその解決法を著者なりの視点で述べています。 橘玲さんにはまったのは、この本の出会いのおかげです!

Posted byブクログ

2014/04/25

リバタリアン的思考でかかれた本。 リバタリアンとは、人は自由に生きるのがすばらしいという思想。 暴力を伴わないすべての行為は悪ではないと考える。 麻薬中毒者、ポン引き、ホリエモンなど道徳的におかしいと思われるものもすべてOK。

Posted byブクログ

2013/03/11

リバタリアニズムを直訳すると、「自由原理主義」小さな政府、言論の自由を尊重する。 人々が自由に生きれば、すべての人々は幸福になる!というのが大雑把な理論。 なんか、常識を覆して不道徳なものを擁護する理論にしては簡単すぎる主義主張だな、と肩透かしな感覚を受けますが、正にその印象が...

リバタリアニズムを直訳すると、「自由原理主義」小さな政府、言論の自由を尊重する。 人々が自由に生きれば、すべての人々は幸福になる!というのが大雑把な理論。 なんか、常識を覆して不道徳なものを擁護する理論にしては簡単すぎる主義主張だな、と肩透かしな感覚を受けますが、正にその印象が正解。 このリバタリアニズムの政治思想に対し、修正を加えたのがリベラリズム、すなわち「人権原理主義」となり、その思想は「人は自由に生きるのが素晴らしい、しかし人権も守る必要がある」というもの。 人権を守る、っていうのはそこに道徳が絡んでくるということ。これって、要は「自由」と「人権」て場合によっては逆方向を向いていたりするので、リバタリアニズムとリベラリズムの間には結構大きな差ができます。 それを、わかりやすく解説しているのが本書の本編。売春婦は、道徳的にはNOだけど、リバタリアニズム的には何も問題はない。問題はないというか、誰も損してないんだから第三者が道徳心からあーだこーだ言う必要なくないか?ってことになります。 こういった切り口が面白いから、過激な内容ながら飽きずに読めるのが本書の良いところ。リバタリアニズムはトンデモ理論ではなく、条件さえ整えば効率的で素晴らしい社会を形成することができる思想だというのがよくわかります。それを受け入れられるかどうかは、個人の考えによるでしょうけど。

Posted byブクログ

2012/12/22

リバタリアンの入門書として最適。概念ではなく事例での説明なので読みやすいし理解も速いです。 経済的合理性というフィルタを通してコールガール、ぽん引き、薬物中毒者といった不道徳と言われる職業を擁護していくことでリバタリアンを理解することができました。 発展途上国への様々な援助が...

リバタリアンの入門書として最適。概念ではなく事例での説明なので読みやすいし理解も速いです。 経済的合理性というフィルタを通してコールガール、ぽん引き、薬物中毒者といった不道徳と言われる職業を擁護していくことでリバタリアンを理解することができました。 発展途上国への様々な援助がその国の経済活動を破壊するだけで、経済的な自立から遠のいていること、労働者や障碍者の仕事を守るための法律が実は仕事を奪っている可能性が高いことなどからと規制を廃止し政府機能を縮小し市場の合理性(見えざる手)にゆだねるべきというリバタリアンのロジックは共感できるものです ただリバタリアン的な小さな政府を導入する前提には、規制は悪で市場の合理性に基づくと不道徳と教えられてきたものを許容する社会が前提になるため、導入は困難と反対を伴うことも同時に理解することができました。

Posted byブクログ