オリガ・モリソヴナの反語法 の商品レビュー
<書き途中>「小説」の全てがここにある!これこそが「小説」だ!ネタバレになってしまうから詳しいことは言えないけど、部屋に鏡を張ってオリガ・モリソヴナが踊るシーンで、僕は昼下がりの副都心線の車内、人目をはばからずボロボロに泣いてしまった。物語はヒロインの志摩のプラハ・ソビエト学校時...
<書き途中>「小説」の全てがここにある!これこそが「小説」だ!ネタバレになってしまうから詳しいことは言えないけど、部屋に鏡を張ってオリガ・モリソヴナが踊るシーンで、僕は昼下がりの副都心線の車内、人目をはばからずボロボロに泣いてしまった。物語はヒロインの志摩のプラハ・ソビエト学校時代から始まる。学校の名物、舞踏教師のオリガ・モリソヴナは、年齢不詳の老女ながら踊りは天才的。ダンサーとして鍛えた脚は今もうら若い美女のように綺麗なままなのをいつも自慢していた。そして彼女はなにより口が悪かった。できない生徒には、褒め言葉で反語的に罵倒をするのが常だった。それから三十数年、志摩はダンサーの夢を諦め、日本で翻訳者になっていた。ソ連の崩壊した現代で、自分がダンサーを目指すきっかけとなったオリガ・モリソヴナの半生を追い始める。言うまでもないことかもしれないが、著者はロシア語の同時通訳者兼エッセイストである米原万里。これは彼女が残した最初で最後の小説である。というのも、彼女は既に亡くなっているからだ。この米原万里という作家が50代半ばにして早逝してしまったのは、集英社にとって、日本文学界にとって、そして世界にとって損失だった。それだけこのデビュー作はずば抜けている。この本にはおおよそ「小説」というものが備えるべきものが全て詰まっている。謎解きがあり、サスペンスがあり、ドラマがあり、コメディがあり、エンタメがあり、群像があり、歴史があり、恋愛があり、社会性があり、知恵があり、笑いがあり、涙があり、とにかく全てがある。なにより特筆すべきは、その広さと深さ。この小説の舞台は、60年代のソビエト学校、現代のモスクワ、スターリン時代のアルジェリアと、時代や場所を縦横無尽に移動する。まるで時間旅行をしているかのようで、日本の小説ではついぞお目にかかったことのないレベルのスケールだ。その一方で、物語は深くもある。彼女自身が本当にプラハ・ソビエト学校に通っていた経験によるものだろう。スターリン時代のロシア社会の描写は、それは凄絶なものだし、その一方でソビエト学校の子どもたちの様子は瑞々しさでいっぱいだ。この振れ幅が、フィクション史上でも稀有な深みを生み出しているのかも知れない。考えてみると、この本を読むのには随分時間がかかった。読み始めたのが12月の終わりで、読み終わったのが3月頭、丸々2ヶ月以上この本を読んでいたことになる。別にこの本が以上にブ厚い、とかつまらない、というわけではない。むしろ逆だ。短すぎるし、面白すぎる。私がこの本に時間をかけたのは、読み終わるのがもったいなかったからだ。この本を読まない日本人がいるなら、それは本当にもったいないことだ。日本語が読めるなら、絶対に読まなければいけないスゴイ本。
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主人公が少女時代、チェコプラハのソビエト学校で出会った舞踏教師オリガ・モリソヴナ。辛らつな老女だが天才的な踊りで皆を魅了したオリガ。大人になった主人公はオリガの半生の謎を追うのだけど、その中で明かされていく、過酷なスターリン体制下でのオリガの生き様・・・夢中になって頁をめくった。
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最近読み直したら、やはり大変おもしろかった。テンポがよくて、愛が感じられて、何より生きていることのすばらしさがあふれんばかりに読者の心を満たす。作者には、もっともっと語ってほしい事がたくさんあった。この人とナンシー関の、今の世の中についての文章を読んでみたい。すごく。
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冷戦時代のなかで 賢く生き抜いた強い女性たちのお話。 これを読むと どんな環境に追い込まれても 生きるための知恵と云うか したたかさを持つことを 教えられます。 表面的な強さではない 真の強さに憧れます。
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米原さんの作品で読んだのはこの本だけ。けれど大好きな作品です。 世界史で現代史を勉強し、その流れでスターリン時代というキーワードに誘われて手に取ってみましたが、時代背景を知っていればもちろんのこと、知らなくても本の世界に引き込まれます。幼少時代をソビエト連邦下(プラハ)で過ごした...
米原さんの作品で読んだのはこの本だけ。けれど大好きな作品です。 世界史で現代史を勉強し、その流れでスターリン時代というキーワードに誘われて手に取ってみましたが、時代背景を知っていればもちろんのこと、知らなくても本の世界に引き込まれます。幼少時代をソビエト連邦下(プラハ)で過ごした著者を、主人公の志摩に映したと推測できるほどリアリティーあふれる物語となっていますが、この推測はあながち間違いではないと思います。 著者が亡くなってしまったことは残念ですが、私のお薦めの本リストに必ず入ってくる作品です。
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かつて少女時代をチェコのソビエト人学校で過ごした 女性が、学校でもっとも強烈かつ多くの謎があったダンス教師の 過去を解き明かしていく物語。 人間性をはぎとられる戦争の悲惨と、 巻き込まれ、つぶされていく人々の悲劇。 それでもその中で立ち上がる、 生きることへの意志、 生きる希...
かつて少女時代をチェコのソビエト人学校で過ごした 女性が、学校でもっとも強烈かつ多くの謎があったダンス教師の 過去を解き明かしていく物語。 人間性をはぎとられる戦争の悲惨と、 巻き込まれ、つぶされていく人々の悲劇。 それでもその中で立ち上がる、 生きることへの意志、 生きる希望を与えてくれる、ユーモアや芸術。 人間の強さと善さが描かれています。 この先中年になっても老いても、何度も繰り返し 読み続けるであろう本の一つ。 米原万里の本は、どれもそうです。
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この話は、最後まで読んで初めてタイトルの大きさが分かります。子どもの頃に出会えった、オリガ・モリソヴナというソビエト学校のダンス教師の過去の謎を大人になった主人公が解いていくという話。旧ソ、スターリン時代の粛清ってホント壮絶…。外国人と文通しただけで逮捕投獄なら私はとっくにスパイ...
この話は、最後まで読んで初めてタイトルの大きさが分かります。子どもの頃に出会えった、オリガ・モリソヴナというソビエト学校のダンス教師の過去の謎を大人になった主人公が解いていくという話。旧ソ、スターリン時代の粛清ってホント壮絶…。外国人と文通しただけで逮捕投獄なら私はとっくにスパイとして処刑されてます。今の日本に生きててよかったと心から思った瞬間。はー。 話全体は悲劇の匂いに満ちているかと思いきや、ソビエト学校の子供たちの様子やダンスのエピソードがとても明るいので嫌にならずにどんどん読めます。面白かった。
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『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだあと この本を手にしたので、 簡単に入り込むことが出来た。 私は米原万里の媚びない文章が大好き。 上手に書こうとか、 読み手を感動させてやろうとか、 そういう意図がまったく見られないこの文章は 読んでいてとてもすがすがしい...
『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだあと この本を手にしたので、 簡単に入り込むことが出来た。 私は米原万里の媚びない文章が大好き。 上手に書こうとか、 読み手を感動させてやろうとか、 そういう意図がまったく見られないこの文章は 読んでいてとてもすがすがしい。 選び出された語彙の絶妙さと、 自身の体験に基づいた少女の細やかなこころの表現がとても親しみやすい。 わざとらしい形容詞の乱用もなく、 簡潔な言葉で伝えるべきことを伝える。 やはり通訳者ならではの文章なのだろうか。 人物描写もおもしろくて、 オリガ・モリゾヴナの風貌などは惚れ惚れしてしまう。 スリル満点の謎解き、 シリアスな歴史事件の裏にあった事実の合間に シーマチカとカーチャのちょっとどたばたした やり取りがあって 読んでいる私もちょっと一息。 とにかく大好きな本。
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2009.06.30〜 知り合いが面白いからって貸してくれたので・・・読み始める 2009.7.16 読み終わり ソ連を舞台にした小説は、殆ど読んだことがないので、新鮮な感覚で読み終えた
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プラハのソビエト学校に通った日本人シーマチカが、当時の名物ダンス教師オリガ・モリソヴナの謎に迫っていく。 スターリン(ラーゲリの時代)−フルシチョフ(ソビエト学校当時)−ゴルバチョフ(小説の「今」)と重層的なソ連の歴史が響きあい、 フィクションでありながら歴史の事実が背景にある分...
プラハのソビエト学校に通った日本人シーマチカが、当時の名物ダンス教師オリガ・モリソヴナの謎に迫っていく。 スターリン(ラーゲリの時代)−フルシチョフ(ソビエト学校当時)−ゴルバチョフ(小説の「今」)と重層的なソ連の歴史が響きあい、 フィクションでありながら歴史の事実が背景にある分(参考文献の膨大なこと!)、リアルで読み応えがあり、興味が尽きない。 オリガは実在の人物がモデルだそうだ。ドゥマゴ賞受賞作。本当に惜しい人が亡くなったものだ。 書店のAさんとの話題から読んだ。 ロシア語は世界で一番罵詈雑言の豊かな言語だそうだ。それって自慢しにくい…20090624
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