空海の風景(下) の商品レビュー
一昨々年の夏、高野山にてなんとも不可思議な清涼感とその殷賑ぶりのバランスに驚いたことを思い出した。 奥の院へと渡る橋の近くにて御朱印をいただいた時に対応してくださった、お坊さまの穏やかでいて忘れ得ない慈しみも同時に蘇った。 空海が目指したものを理解するにはまだまだだが、彼が刻...
一昨々年の夏、高野山にてなんとも不可思議な清涼感とその殷賑ぶりのバランスに驚いたことを思い出した。 奥の院へと渡る橋の近くにて御朱印をいただいた時に対応してくださった、お坊さまの穏やかでいて忘れ得ない慈しみも同時に蘇った。 空海が目指したものを理解するにはまだまだだが、彼が刻苦勉励して創り上げた道筋だけは見えたような気がする。
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空海の事績を追いつつも伝記ではなく、司馬遼太郎の空海を巡るエッセイとしての評価が妥当かなと思います。 最澄と空海の関係、当時の貴族社会の仏教を巡る状況など、門外漢の自分にはちょうど良かったですが、事績を丹念に追いたい方には不適当かもしれないですね。
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あとがきにもあるように、人間を問う司馬遼太郎には人間を超えたとしか思えない空海を理解できないまま、格段に清冽な最澄の人間性を描く羽目になってしまったということかもしれない。 一神教の神を理解するのは無理なように、宗派の優劣を論じ得ない我々には、密教的な思考回路を理解できないのだろ...
あとがきにもあるように、人間を問う司馬遼太郎には人間を超えたとしか思えない空海を理解できないまま、格段に清冽な最澄の人間性を描く羽目になってしまったということかもしれない。 一神教の神を理解するのは無理なように、宗派の優劣を論じ得ない我々には、密教的な思考回路を理解できないのだろう。
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著者が10年の構想期間をもって、膨大な資料を基に描く風景は、ことこの本に関しては読者のためではない。空海という時も能力も遥か遠い存在を懸命にたぐり寄せるため、自らのために描いている。
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空海の物語でありながら下巻の半分くらいは最澄の物語。 空海が超人的なため、人間的な最澄に親しみを感じた。 入門書として気軽に手に取った小説なのに、上下読み終わるのに恐ろしく時間がかかった。
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