お菓子放浪記 の商品レビュー
たまたま戦中~戦後を生きた少年の話を2作続けて読むことになった。どちらも十代後半の孤児。ああ、なんかぐっと、くる。私は世界を何も知らないなぁと思った。 太平洋戦争は、日本に住む日本人の日常を変えてしまった。息子を赤紙でとられた母は国ではなく、戦場に行かずにすんだ母子を妬むだろう。...
たまたま戦中~戦後を生きた少年の話を2作続けて読むことになった。どちらも十代後半の孤児。ああ、なんかぐっと、くる。私は世界を何も知らないなぁと思った。 太平洋戦争は、日本に住む日本人の日常を変えてしまった。息子を赤紙でとられた母は国ではなく、戦場に行かずにすんだ母子を妬むだろう。どんなきれいごとを言ったって、それだけでは世の中は生きていけないのだ。
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主人公の孤児の少年を温かく見守る、若くて優しい女教師を、私たちも恋慕せずにはいられない! この女先生の正義感にもまた胸打たれます。世のなかの偏見や大人の間違った価値観から子どもを守ろうとする姿には『橋のない川』の女先生にも重なるな、と思いましたよ。 ところでここに登場する少年監...
主人公の孤児の少年を温かく見守る、若くて優しい女教師を、私たちも恋慕せずにはいられない! この女先生の正義感にもまた胸打たれます。世のなかの偏見や大人の間違った価値観から子どもを守ろうとする姿には『橋のない川』の女先生にも重なるな、と思いましたよ。 ところでここに登場する少年監護施設「報徳学院」って実在したのだろうか?千葉県の松戸にあったような描写なんですが。
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テレビでの映画の予告編を見て、ふと読みたくなった本でした。想像していたストーリとは違っていたけれど、静かに心に沁みる作品でした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
≪内容覚書≫ 時代は戦前から戦中、そして戦後。 甘いものが手に入れにくかった時代。 孤児として生きるシゲルは、お菓子への強い憧れを胸に大切に抱き、 たくましく生き抜いていく。 ≪感想≫ シゲル少年は、不幸な境遇なんだけれども、 幸運な子どもだなぁ、と思った。 道を踏み外しそうになった時、真摯に向かい合ってくれる人と 次から次へと出会う。 と、最初、思ったけれど、読み終えて、じっくり振り返ってみると、 違うかな、という気がしてきた。 きっと誰にでも、そういう人はいるんだろうな、と思った。 ただ、それを素直に聞き入れられるかどうか。 そこが、人によって大きく違う。 シゲル少年は、なんだかんだと言いつつ、人の「愛」を、 きっと信じているんだと思った。 だからこそ、いろんな人の、ちょっとした温かさや強さを 受け入れて、そしてまっすぐ生きて来られた。 途中から「お菓子」=「愛」だと思って読んでいた。 また、戦時中でも孤児や少年犯罪者を受け入れる施設が、 きちんとあったことに、驚いた。 混沌とした時代のイメージがあるため、 そういうのはなくなっていたかと思った。 他にも兵役忌避で逃亡した人や、 ましてや自殺した人もいた、という事実も衝撃だった。 嫌がりつつも、みんな戦地に行ったような気がしていた。 そんなわけなかった。 戦中の小説を読むと、 いかに、自分の中の戦時のイメージが偏っているかを、 目の前に突きつけられて、愕然とする。 たくさんの本を読んで、視点を増やしたいと、思わされた一冊。
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「お菓子」とタイトルにありますが、料理の本ではなく、 戦中戦後の大変な時期を少年として過ごした作者の実際の経験が記されたものです。 「つらいことばかりの人生も、思い方で楽しいものに変わる」 どんなに苦しいときをも乗り越える力を与えてくれる、そんな本でした。
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天涯孤独の少年が、甘いお菓子への憧憬を心の支えに戦争に突入して行く苦しい時代を生きていく。 作者の実体験を基にしているとのことで、主人公の少年の心情が丁寧に描かれている。 課題図書にもなっているということで、児童文学色が濃く読み易い。 時代と言うこともあるのだけれど、これでもか...
天涯孤独の少年が、甘いお菓子への憧憬を心の支えに戦争に突入して行く苦しい時代を生きていく。 作者の実体験を基にしているとのことで、主人公の少年の心情が丁寧に描かれている。 課題図書にもなっているということで、児童文学色が濃く読み易い。 時代と言うこともあるのだけれど、これでもかと言うほど襲い掛かる不幸や苦しみの中に、希望を見出し、人間としての尊厳に悩み迷いながら生きていく少年に逞しさと感傷を感じた。 少年の放浪の人生にもいくつかの出会いがあり、少年を明るい方向へ導いてくれているのだけれど、個人的には遠山刑事との交流が一番好きだ。 この人の心の広さには感服する。 感化院を出て仕事に就いた後初めての休日に少年が刑事を尋ねたシーンには、知らずに涙が零れた。 大人になってからでも十分心に響いてきたけれど、できれば子供のうちに読んでおきたかったという気がする。
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戦後の貧しく、つつましい生活の中でのお菓子に関する憧憬や甘美な感想を期待していたが、なかなかハードな孤児である少年の成長記で、タイトルに反してお菓子そのものはあまりでてこない。 全国青少年読書感想文コンクールの課題図書だったとは思えない当時の風俗描写が時代を感じて興味深い。
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