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海に沈む太陽 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2017/11/09

なんと波乱にみちた男の生きざまだったことか。 太平洋戦争のあと、 妾の子として生まれ、いじめられた子ども時代をすごした主人公輝雄は、 いつしか家族というものに頓着しないようになり、 海へのあこがれを押さえることができずに、 16歳で家出をして船員となり、 米軍のLST(上陸用舟...

なんと波乱にみちた男の生きざまだったことか。 太平洋戦争のあと、 妾の子として生まれ、いじめられた子ども時代をすごした主人公輝雄は、 いつしか家族というものに頓着しないようになり、 海へのあこがれを押さえることができずに、 16歳で家出をして船員となり、 米軍のLST(上陸用舟艇)で軍事物資を積んで東南アジア各地を航海。 ヴェトナム戦争前夜、激戦のハイフォン港へフランス軍の救助に向かう。 やがて船を降りた輝雄は 世間知らずなこともあり、たちまち貧困に陥り、 ありとあらゆる職業を転々とする。 船員の生活の話かと思ったら、 大阪でヤクザまがいの世界に浸ってしまう。 大金持ちの気持ちの優しい女性と結婚して まともな社会生活が送れるかと思ったら、 これがまた上手くいかない。 こんなにいい奥さんもらったのになあ。 このあたり、なんだか、いらいらしてしまう。 青春期に大きな大きな冒険をした輝雄だが、 人間関係においてはあまりうまくいかず、 自分の夢ばかりを追ってしまうのだ。 なんといっても、二十歳そこそこの若者なのだ。 やがて、 「画家になってニューヨークへ行きたい」と思うようになり、 本当に渡米して そこでもまた波乱万丈な生活を送ることになる。 話が出来過ぎているかもしれないが、 戦中、戦後の日本の社会状況を背景に、 自分の運命を切り開いていく輝雄はとてもパワフルだ。 絶望しても失望しても常に自分の夢を見失わない輝雄。 原典に返って物事を成すことの大切さを見た想いだった。 画家の黒田征太郎氏をモデルにしたとあとがきにあり、 輝雄の絵への執着はここにあったのか、と思った。

Posted byブクログ

2013/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

図書館にて借りました。 ててなし子の長男が田舎を飛び出し、いざアメリカンドリーム!! とりあえずこの子は凄い。 16歳で勝手に家出して、年齢を偽り船乗りになっちゃう。 思い立つ→やる(笑)みたいな。 とても、父親と性格が似ていてだから母親も、仕方ないなと思うんだろうな。 そしていつまでも、「ててなし子」と云う事に少しだけコンプレックスを感じる彼。 ラストにやっと自分の「今」立っている場所を確認した主人公に拍手!

Posted byブクログ

2013/03/19

イラストレーター黒田征太郎氏の青春時代を下敷にした物語です。こういう本は結構好きです。百田尚樹氏の「錨を上げよ」を読み終えたときと同じ読了感です。後半のニューヨークの下りは読みづらかったのですが,前半の大阪,LST,横浜,大阪,東京あたりはすごく面白かったです。

Posted byブクログ

2012/04/21

波乱万丈の人生を歩んだデザイナーの実話をもとに書かれた物語。 後先を考えずに豪快に突っ走るくせに、妙に小心で繊細なところもある主人公に好感を持ち、一気に読了。読み応え十分。

Posted byブクログ

2009/10/04

たぶん筆者の最新作。相変わらずエネルギッシュ!!長編ではあるが、ぐいぐい読ませる。さすがに「一晩で」とはいわないが、2晩続けて、眠れなくなるほど読み込み、翌日勤務中は夢の中だった。 主人公の曽我輝雅は自分の家が嫌で飛び出し、その後、職と住まいを転々としながらも、自己を見失わず、尚...

たぶん筆者の最新作。相変わらずエネルギッシュ!!長編ではあるが、ぐいぐい読ませる。さすがに「一晩で」とはいわないが、2晩続けて、眠れなくなるほど読み込み、翌日勤務中は夢の中だった。 主人公の曽我輝雅は自分の家が嫌で飛び出し、その後、職と住まいを転々としながらも、自己を見失わず、尚、上を目指していく話。黒田征太郎氏の青春時代を下敷に書いたらしいが、なんと、奔放なことか!!

Posted byブクログ