海に沈む太陽 の商品レビュー
なんと波乱にみちた男の生きざまだったことか。 太平洋戦争のあと、 妾の子として生まれ、いじめられた子ども時代をすごした主人公輝雄は、 いつしか家族というものに頓着しないようになり、 海へのあこがれを押さえることができずに、 16歳で家出をして船員となり、 米軍のLST(上陸用舟...
なんと波乱にみちた男の生きざまだったことか。 太平洋戦争のあと、 妾の子として生まれ、いじめられた子ども時代をすごした主人公輝雄は、 いつしか家族というものに頓着しないようになり、 海へのあこがれを押さえることができずに、 16歳で家出をして船員となり、 米軍のLST(上陸用舟艇)で軍事物資を積んで東南アジア各地を航海。 ヴェトナム戦争前夜、激戦のハイフォン港へフランス軍の救助に向かう。 やがて船を降りた輝雄は 世間知らずなこともあり、たちまち貧困に陥り、 ありとあらゆる職業を転々とする。 船員の生活の話かと思ったら、 大阪でヤクザまがいの世界に浸ってしまう。 大金持ちの気持ちの優しい女性と結婚して まともな社会生活が送れるかと思ったら、 これがまた上手くいかない。 こんなにいい奥さんもらったのになあ。 このあたり、なんだか、いらいらしてしまう。 青春期に大きな大きな冒険をした輝雄だが、 人間関係においてはあまりうまくいかず、 自分の夢ばかりを追ってしまうのだ。 なんといっても、二十歳そこそこの若者なのだ。 やがて、 「画家になってニューヨークへ行きたい」と思うようになり、 本当に渡米して そこでもまた波乱万丈な生活を送ることになる。 話が出来過ぎているかもしれないが、 戦中、戦後の日本の社会状況を背景に、 自分の運命を切り開いていく輝雄はとてもパワフルだ。 絶望しても失望しても常に自分の夢を見失わない輝雄。 原典に返って物事を成すことの大切さを見た想いだった。 画家の黒田征太郎氏をモデルにしたとあとがきにあり、 輝雄の絵への執着はここにあったのか、と思った。
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図書館にて借りました。 ててなし子の長男が田舎を飛び出し、いざアメリカンドリーム!! とりあえずこの子は凄い。 16歳で勝手に家出して、年齢を偽り船乗りになっちゃう。 思い立つ→やる(笑)みたいな。 とても、父親と性格が似ていてだから母親も、仕方ないなと思うんだろうな。 そしていつまでも、「ててなし子」と云う事に少しだけコンプレックスを感じる彼。 ラストにやっと自分の「今」立っている場所を確認した主人公に拍手!
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イラストレーター黒田征太郎氏の青春時代を下敷にした物語です。こういう本は結構好きです。百田尚樹氏の「錨を上げよ」を読み終えたときと同じ読了感です。後半のニューヨークの下りは読みづらかったのですが,前半の大阪,LST,横浜,大阪,東京あたりはすごく面白かったです。
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波乱万丈の人生を歩んだデザイナーの実話をもとに書かれた物語。 後先を考えずに豪快に突っ走るくせに、妙に小心で繊細なところもある主人公に好感を持ち、一気に読了。読み応え十分。
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たぶん筆者の最新作。相変わらずエネルギッシュ!!長編ではあるが、ぐいぐい読ませる。さすがに「一晩で」とはいわないが、2晩続けて、眠れなくなるほど読み込み、翌日勤務中は夢の中だった。 主人公の曽我輝雅は自分の家が嫌で飛び出し、その後、職と住まいを転々としながらも、自己を見失わず、尚...
たぶん筆者の最新作。相変わらずエネルギッシュ!!長編ではあるが、ぐいぐい読ませる。さすがに「一晩で」とはいわないが、2晩続けて、眠れなくなるほど読み込み、翌日勤務中は夢の中だった。 主人公の曽我輝雅は自分の家が嫌で飛び出し、その後、職と住まいを転々としながらも、自己を見失わず、尚、上を目指していく話。黒田征太郎氏の青春時代を下敷に書いたらしいが、なんと、奔放なことか!!
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