江戸の旅日記 の商品レビュー
初めて読んだときは結構印象的でよい本だと思いました。 私の世代は、学校の日本史の授業で江戸時代は飢饉と一揆ばかりの暗く停滞した時代で見るべきものは殆どないように教えられてきました。 しかし、杉浦日向子さんや石川英輔とか、この辺大分くだけた人たちですが、こういう人たちの本で、江戸時...
初めて読んだときは結構印象的でよい本だと思いました。 私の世代は、学校の日本史の授業で江戸時代は飢饉と一揆ばかりの暗く停滞した時代で見るべきものは殆どないように教えられてきました。 しかし、杉浦日向子さんや石川英輔とか、この辺大分くだけた人たちですが、こういう人たちの本で、江戸時代のとても明るくおおらかな面に光が当たって、江戸時代のイメージがガラリと変わったのを覚えています。 この本もそういう流れのなかで、菅江真澄や渡辺崋山、松浦武四郎などの有名どころが、それまでの旅枕のような固定イメージにとらわれずに見た通り聞いた通りを記述するような、近代的な視点を持って旅紀行を書いていると繰り返し述べています。 ただ、そういう学問的な意義はいったん置いて、彼らの描く当時の日本の地方がとても多様で固有の文化に満ちていたり、貧しい中にも楽しげに旅人をもてなしたり、そういう当時の姿を、彼らの旅紀行から読むことができるのがとても幸せなことだなと思いました。
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江戸中期から後期。 文学的な価値は低いとみなされていたその時期の紀行文に記録された、日本各地の歴史地理、衣食住とこころ。 そこから読み取れる事柄は実に面白い。 貝原益軒、本居宣長、高山彦九郎、菅江真澄、古川古松軒、橘南谿、司馬江漢、松浦静山、宮本繁大夫、渡辺崋山、松浦武四郎...
江戸中期から後期。 文学的な価値は低いとみなされていたその時期の紀行文に記録された、日本各地の歴史地理、衣食住とこころ。 そこから読み取れる事柄は実に面白い。 貝原益軒、本居宣長、高山彦九郎、菅江真澄、古川古松軒、橘南谿、司馬江漢、松浦静山、宮本繁大夫、渡辺崋山、松浦武四郎、これらそれぞれの紀行文は実に個性溢れる。 ネットなき時代。戦乱が収まり、平和な世になるとインフラが整備され、宿、街道、船渡し場、またそこに集まる商人達。知識欲が抑えきれぬもの達が現れ、文化が大きく発展する。 中でも、旅芸人として生きた宮本繁大夫の紀行文は、ぜひ丸ごと読みたいと強く感じた。 天明の飢饉において、日本にも食人行為が行われていたありのままの紀行文には驚きを禁じ得ない。 日本人による紀行文も面白いが、外国人から見た日本の紀行文も非常に面白い。リットン調査団なども読んだが、お国柄というか文化というか、公的なものなので人間的な下世話な話がないのが物足りない感は否めない。 しかし、先に記した宮本繁大夫は個人的な日記として書いたのであろう。実に赤裸々に当時の一般市民の生活が綴られている。 本書から、読んでみたい文献が多過ぎて困るほどだ。
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[ 内容 ] 江戸時代中期、徳川吉宗の時代になって、日本に新しい紀行文学が現れた。 あたかも歩調をそろえるように、何人もの書き手たちがそれぞれの好奇心で旅に出て、北海道蝦夷地から九州薩摩までを巡り、それまで意識されることのなかった「日本」を発見した、と言ってもいい。 その背景にあ...
[ 内容 ] 江戸時代中期、徳川吉宗の時代になって、日本に新しい紀行文学が現れた。 あたかも歩調をそろえるように、何人もの書き手たちがそれぞれの好奇心で旅に出て、北海道蝦夷地から九州薩摩までを巡り、それまで意識されることのなかった「日本」を発見した、と言ってもいい。 その背景にあったものは、一体何だったのだろうか。 文学的な価値は低いと見なされていたその時期の紀行文に記録された、各地の歴史地理、人々の衣食住とこころ―外国人日本文化研究者がそこに新しい光を当てる。 [ 目次 ] 第1章 貝原益軒の情報欲 第2章 本居宣長の考古学 第3章 天明の大飢饉をめぐって―高山彦九郎と菅江真澄 第4章 古川古松軒の批判的精神 第5章 日本民俗学の父と言われる男、菅江真澄 第6章 新しいビジョンを提示した、橘南谿と司馬江漢 第7章 参勤交代という名の博覧紀行―松浦静山 第8章 富本繁太夫―十九世紀初頭に生きた旅芸人の日々 第9章 新しい美的ビジョン―渡辺崋山 第10章 松浦武四郎の蝦夷探検 終章 江戸時代の旅と啓蒙思想 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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江戸時代中期以前の日本の紀行文学では、目前に広がる風景をそのまま表現せずに、勅撰集等に取り上げられたような過去の歌人のものの見方でししか表現していなかった。それが8代将軍吉宗の時代あたりから、より写実的にに書きとめ時に批判も含め、現実をあるがままに表現する者が現れてきた。 本書...
江戸時代中期以前の日本の紀行文学では、目前に広がる風景をそのまま表現せずに、勅撰集等に取り上げられたような過去の歌人のものの見方でししか表現していなかった。それが8代将軍吉宗の時代あたりから、より写実的にに書きとめ時に批判も含め、現実をあるがままに表現する者が現れてきた。 本書ではその時代の紀行文の中に残されたものの見方や考え方を探ることで、日本の思想的な近代化の萌芽がこの江戸後期にあったことを証明しようとしている。 漢文・古文が苦手な私にとって、こういう類の本の中に挿入される資料の原文を読むのは非常に辛い作業なのだが、この本は全くの現代文で紹介してくれているので読みやすくて助かった。^^; 聡明な思想的パイオニア達の、知的好奇心に目を輝かせて旅をした様子が浮かんできて楽しくなる。
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