1,800円以上の注文で送料無料

心理学への異議 の商品レビュー

3

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    0

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    1

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2009/10/04

 知能検査の研究は,もともと「人種によって知能差があり,優秀な人種こそ生き残るべきだ」という優生学思想を支持するために発展してきた。統計的手法により一見客観的に見えるその研究内容には,実はあらかじめ結果をある方向に導いていくバイアスがかかっていた。というよりも,教育学や心理学など...

 知能検査の研究は,もともと「人種によって知能差があり,優秀な人種こそ生き残るべきだ」という優生学思想を支持するために発展してきた。統計的手法により一見客観的に見えるその研究内容には,実はあらかじめ結果をある方向に導いていくバイアスがかかっていた。というよりも,教育学や心理学など,私たちが人間を対象とする研究を行うときに,バイアスを完全に排除することは不可能である。だからこそそのことに常に意識しておかなければ,いつのまにかとんでもない誤解と偏見を助長することになりかねない。この本では,心理学の歴史の中でどのような欺瞞と偏見があったのかということがたくさんの具体例とともに興味深く示されている。(菅)

Posted byブクログ