新訳・茶の本 の商品レビュー
茶の本のビジュアルブックを読んで、訳わからなかったので新訳を購入。解説を読んでやっと少し理解できた。 西洋への怒りのすごいこと(笑) 茶道をTeaismと訳したことに、信念を感じる。 外から見た日本の美徳が浮き出されている。 でもまだ落とし込めてないので、もっと分かりやすいや...
茶の本のビジュアルブックを読んで、訳わからなかったので新訳を購入。解説を読んでやっと少し理解できた。 西洋への怒りのすごいこと(笑) 茶道をTeaismと訳したことに、信念を感じる。 外から見た日本の美徳が浮き出されている。 でもまだ落とし込めてないので、もっと分かりやすいやつを読む予定。
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お茶を始めたので読んでみた。「茶の本」と「東洋の理想」(序章と終章)が解説とともに収められている。 岡倉天心は東京藝大や日本美術院の礎を作った美術評論家である。英語に巧みで、アメリカの美術館で東洋部の顧問をするとともに、日本や東洋の文化をプロモーションしていた。「茶の本」は...
お茶を始めたので読んでみた。「茶の本」と「東洋の理想」(序章と終章)が解説とともに収められている。 岡倉天心は東京藝大や日本美術院の礎を作った美術評論家である。英語に巧みで、アメリカの美術館で東洋部の顧問をするとともに、日本や東洋の文化をプロモーションしていた。「茶の本」は茶道(原文では Tea ceremony ではなく Teaism らしい)を東洋独自の美と調和の精神の結晶として紹介し、西洋の文化とは別の価値を持つものとしている。 「茶の本」を茶道思想のスタンダードになる教科書的読物だと思っていたが、どちらかといえば天心独自の見解を開陳したものだった。茶には老荘思想、道教、禅の考え方が背景にあり、それこそが東洋を貫く哲学であるとする。 文化に造詣が深く、審美眼も確かな人が書いたものなので、独自の見解がスタンダードになっても特段支障はないのだろうと思うし、西洋圏の人が読む入門書としていいと思う。ただ、日本で生まれ育った者としては、チェリーピック的なところも目についてしまった。 「茶の本」は東洋の平和的な理念が強調されるのに対し、「東洋の理想」は日本の対外膨張を肯定するような色を若干帯びている。天心は「アジアは一体(Asia is one )」 とは言っているが、東洋の盟主は日本であるべきとは言っていないし、国粋主義的なところも見られない。 それでもやはり後の大東亜共栄圏構想に利用されてしまった。 実は「東洋の理想」(1903年出版、1942年邦訳出版)のあとに「茶の本」(1906年出版、1929年邦訳出版)が書かれていて、そこには「現代世界において、人類の天空は、富と権力を求める巨大な闘争によって粉々にされていしまっている。(略)東と西は、荒れ狂う大海に投げ込まれた二匹の龍のように、人間性の宝を取り戻そうとむなしくもがいている」とあるので、人間同士が争うことに対してはむなしく感じており、否定的だったのは間違いないと思う。 本書の半分は解説だったが、解説つきの本を最初に読めてよかった。時代背景や美術史的な動向の解説もなしに、英語の原文など読んでいたら、全く分からなかったろうと思う。
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岡倉天心原文the book oftea 1906年M39米国発表。 日本の茶道を欧米に紹介する目的だったが日清戦争 に続き最強ロシアとの戦争1904-1905にも勝利したことにより本書にも注目が集まる。死の術武士道だけではない生の術茶の道を通じての日本の美意識、東洋的と西洋的思...
岡倉天心原文the book oftea 1906年M39米国発表。 日本の茶道を欧米に紹介する目的だったが日清戦争 に続き最強ロシアとの戦争1904-1905にも勝利したことにより本書にも注目が集まる。死の術武士道だけではない生の術茶の道を通じての日本の美意識、東洋的と西洋的思考の違いを。解説で恋多き天心さんを知ることも出来ました。
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岡倉天心(1863(文久2年)~1913年(大正2年)/本名は覚三)は、福井藩士の次男として横浜に生まれ、東大文学部を卒業後、文部省に入り、美術行政を担当する。1886~87年、東京美術学校設立のためにアーネスト・フェノロサと共に欧米を視察し、1890年に東京美術学校(現・東京藝...
岡倉天心(1863(文久2年)~1913年(大正2年)/本名は覚三)は、福井藩士の次男として横浜に生まれ、東大文学部を卒業後、文部省に入り、美術行政を担当する。1886~87年、東京美術学校設立のためにアーネスト・フェノロサと共に欧米を視察し、1890年に東京美術学校(現・東京藝大美術学部)の初代校長に就任。1898年に東京美術学校を排斥され辞職してからは、インド訪遊を経て、1904年以降ボストン美術館の仕事で頻繁に米国に滞在したが、晩年には茨城県五浦に隠遁し、1913年に日本にて永眠。 子どものときから学んだ英語と、優れた国際感覚をもって、日本・東洋の文化を内外に訴え、本書収録の『茶の本』は1906年にフォックス・ダフィールド社(ニューヨーク)から出版された『The Book of Tea』、『東洋の理想』は1903年にジョン・マレー書店(ロンドン)から出版された『The Ideals of the East-with special reference to the art of Japan』の、それぞれ邦訳である。中でも『茶の本』は、新渡戸稲造の『武士道』、内村鑑三の『代表的日本人』と並び、明治時代に日本人が英語で日本の文化・思想を発信した作品として夙に有名。 本書では、『茶の本』と『東洋の理想』(序章・終章のみ)の新訳に、訳者による、各章の「解説ノート」と90頁に亘る「エピソードと証言でたどる天心の生涯」が加えられており、作品についての理解を大いに助けてくれている。(角川ソフィア文庫は、岩波文庫や講談社学術文庫に既に収められている作品を新訳で出すものが少なくないが、充実した解説や参考資料が付されていることが多く、とても有用である) 『茶の本』は、1章:茶碗に満ちる人の心、2章:茶の流儀、3章:道教と禅、4章:茶室、5章:芸術鑑賞、6章:花、7章:茶人たち、という章立てとなっており、茶道を、道教、仏教(禅)、建築、華道などの関わりから捉えて、日本の文化・美意識・価値観を幅広く解説しようとしている。 出版後百余年を経て、日本人の我々が読んでも気付かされることが多いが、私が最も心に残ったのは、6章で、「死を栄光とする花」である桜は、「さようなら、春よ、私たちは永遠に向かって旅立つのです」と語りかけながら消えてゆくと語ったあとで、最終章の7章で、「美しく生きてきた者だけが美しく死ぬことができる」のだとして、千利休の最後の茶をとりあげて、「顔に笑みをたたえて利休は未知の世界へと旅立っていった」と締めくくられているところである。茶の達人の生死は、花の生死と等しく、人間と自然は究極的に合一する。。。これこそ、茶(と禅)の心ということであろう。また、死は生の完成であり、至高の芸術であると言え、利休の最期はまさにそうした典型であり、いわば、希代の茶人の最大の「茶事」であるとも言えるのだ。 茶~禅・老荘思想を柱に日本文化の本質を語った、現在でも読む価値の大きい古典である。 (2020年12月了)
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「茶」を切り口に古代中国の道教思想から現代生活様式まで、作者の好きなように語った一冊。岡倉天心のやりたい放題ここに極まれり、で、意外と悪くない。
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忘れがちな日本の良さを再認識することができ、「茶の本」「東洋の理想」はとてもよかった。 ただ、最後は必要だったのかな?天心にとって基子は何だったんだろう。
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”岡倉天心が英語で書いた本の和訳。新渡戸稲造の『武士道』で植えつけられたサムライの国 ニッポンのイメージ払拭も狙っていた? 明治開国前後で西洋化していくことへ対抗して古来日本に注目した感覚が、いま21世紀に未来への指針を提示しているのだという。 茶の歴史、茶室の作法、茶人 を説...
”岡倉天心が英語で書いた本の和訳。新渡戸稲造の『武士道』で植えつけられたサムライの国 ニッポンのイメージ払拭も狙っていた? 明治開国前後で西洋化していくことへ対抗して古来日本に注目した感覚が、いま21世紀に未来への指針を提示しているのだという。 茶の歴史、茶室の作法、茶人 を説明しながら、禅の心、道教(老子)の教えがちりばめられている。 7章の「利休の最後の茶」の話にはグッとくる。辞世の句「よくぞ来た 永遠の剣よ!」 <キーフレーズ> ・利休は庭に降り立つと、一本の木をゆすり、庭一面に、秋の錦を切れ切れにしたような金と朱の葉を撒き散らした。 (p.86) ※利休と息子・少庵の露地掃きエピソード。求めたのは、美しく自然らしいこと そしてこの禅問答。利休の内なる激しさも感じた。 ・作品の質よりも作者の名前の方が重要なのだ。すでにもう何世紀も前にある中国の批評家がこう言っているほどだ。「人々は耳でもって絵を評価する」。このように本来の芸術鑑賞のありかたが損なわれてしまったことが、今日、どこを向いても、えせ古典主義的駄作につきあたるようになってしまった原因といえる。(p.111) ※うむ、手厳しい。しかし、スカッと小気味よい論評 <きっかけ> 2017年3月 人間塾 課題図書”
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茶道の本ではありません。 茶道にほとんど触れずに茶道の考えを解説しています。 そのことで日本の文化を浮きだたせています。 1.この本を一言で表すと? ・「茶」を通した日本文化の精神の解説 2.よかった点を3〜5つ ・茶の哲学は・・・倫理や宗教と結びついている(p17) →茶は...
茶道の本ではありません。 茶道にほとんど触れずに茶道の考えを解説しています。 そのことで日本の文化を浮きだたせています。 1.この本を一言で表すと? ・「茶」を通した日本文化の精神の解説 2.よかった点を3〜5つ ・茶の哲学は・・・倫理や宗教と結びついている(p17) →茶は単純に語れるものではなく、様々な背景が結びついたもの。 ・生きる術を授ける宗教(p50) →過程が重要ということ。茶を飲むことよりそこに至る過程が重要。人生も死という結果よりそこに至る過程が重要ということ。 ・美しく自然らしい清潔さ(p85) →常にまわりの環境を見て自然らしさを考えなければいけないということ。 ・完全そのものより完全を追及する過程を重視(p92) →結果そのものより過程が重視。普段の自分自身の生活でも取り入れたい考え。 2.参考にならなかった所(つっこみ所) ・「道教」が頻繁にでてくるが、それほど「道教」は普及していたのか? ・儒教を批判的にとらえているが、なぜ? ・煎茶が一般的になり、抹茶が特別なものになった現代は「茶道」の精神がかけ離れたものになった? ・天心の恋愛遍歴は茶の精神に反しないのか? 3.実践してみようとおもうこと ・花を愛でる ・美しく自然らしい清潔さ ・質素でありながら洗練された部屋 4.みんなで議論したいこと ・現代の日本に「茶道」の精神はのこっているのか 5.全体の感想 ・これまであまり理解していなかった「茶道」の精神を理解するのに役に立ちました。 ・「エピソードと証言でたどる天心の生涯」は天心がどんな人だったのかよくわかりました。自由奔放な恋愛をしているのが意外でした。
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和訳文が現代的な日本語で読みやすく、また本文と同じくらいのページ数を割いて詳細な解説がなされている。訳・解説の大久保喬樹さんは同じ角川ソフィア文庫の「武士道」の和訳もされており、そちらが分かりやすかったので、数ある茶の本の中から本書を買うに至った。茶の本の訳は青空文庫でも読むこと...
和訳文が現代的な日本語で読みやすく、また本文と同じくらいのページ数を割いて詳細な解説がなされている。訳・解説の大久保喬樹さんは同じ角川ソフィア文庫の「武士道」の和訳もされており、そちらが分かりやすかったので、数ある茶の本の中から本書を買うに至った。茶の本の訳は青空文庫でも読むことが出来る。それでも、680円を払って本書を買う意味は十分にあった。
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訳者の解説が加わり、本書の半分くらいが岡倉天心の言葉でしょうか。 芸術鑑賞の章は新鮮な見解で目からウロコ。 「琴馴らし」の話も印象的。
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