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苔のむすまで の商品レビュー

4.2

29件のお客様レビュー

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2024/04/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

元々は写真家で、現在は写真を主にした現代アートの作家が書く、さまざまな芸術ジャンルに関する評論集。 やっぱりダメだ。 芸術に対する感度が、壊滅的に低いことを痛感する。 AIが、例えばゴッホの絵の、その周辺を違和感なく書き足せるようなことができるのは、センスではなく知識があるからだと思う。 なので、とりあえず知識を蓄えようと手を出してみたのだけれど、いやもう全然だめだ。 例えば、奈良時代の仏像の写真を見る。(本物を見るでもよい) 素朴で温かみのある表情なのはわかる。 けれど、宗教が精神のかなりの部分を支え、時代の社会生活を支えていた時代の人が捉える仏像と、歴史的遺物または芸術品として見る仏像では、同じものを見ても見えているものが違うのではないか。 なんてことを考え出すと、もういけない。 芸術よりも歴史だったり民俗学だったりの方に思考が行ってしまう。 崇徳院と後白河院。 兄弟で全く逆の人生が待っていたというその宿命(保元物語)を、大河ドラマで見たいなあ…なんていうのは、後白河院の好きな「今様」とは全く関係のない話。 「俺のもとに集まって戦え~」と言って敗れた徳川慶喜(鳥羽・伏見の戦い)は、同じくそう言って敗れた後鳥羽上皇(承久の乱)に似ているなーと思っていたけれど、著者は、後鳥羽上皇の時から昭和天皇が人間宣言するまで、ずっと天皇は象徴であったのだ、と言う。 そう言われればそうなのかも、と思うけれど、これもまた芸術とは関係ない話。

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2023/12/30

杉本博司が本も書いてるのを知って読んでみた。 写真作品の解説かと思ったら、例えばワールドトレードセンターから話は方丈記、そしてアメリカのネイティブ・アメリカンの逸話へと思考は世界も歴史も駆け巡る。 どの章もそんな感じでとても面白かった。

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2022/08/28

日経新聞の"私の履歴書"で知ったのですが、何点か気になる写真などがあり、図書館で借りて読みました。 ちょうど私が大学生くらいの頃から日本でも活躍されてるようで、なんで知らなかったんやろ…と、今まで知らなかったのが損した気分になる作品が沢山 作風は大判カメラで撮...

日経新聞の"私の履歴書"で知ったのですが、何点か気になる写真などがあり、図書館で借りて読みました。 ちょうど私が大学生くらいの頃から日本でも活躍されてるようで、なんで知らなかったんやろ…と、今まで知らなかったのが損した気分になる作品が沢山 作風は大判カメラで撮影した写真や古美術関係のもの、それらを経ていろんなジャンルに広がり、いろんなことをするアーティストです。まだ現役なので、まだまだ作品も見ることができるでしょう。 表紙はテロに遭う前のツインタワー アメリカの映画館で長時間露光で撮影された写真、剥製や蝋人形を撮影したのに本物のように見えるシリーズ、海を撮り続けたものなど、特に写真は気になるものばかり。 この本は雑誌に連載された、自分の作品を通して語られるエッセイのようなもの。興味の広がりのパワーが凄い。

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2021/08/14

自分の作品にも触れながら、日本文化や歴史など幅広く書かれている本。 作品の良さって、やっぱり教養に裏打ちされてる部分もあるのかしら?

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2020/08/08

京都市京セラ美術館のオープンと同時に開催されている現代美術作家、杉本博司の単独展「瑠璃の浄土」を見に行った流れで購入した一冊。 自身の作品、日本の古美術、影響を受けた作家など16のテーマに基づく随想と、そのテーマに関連した自作のポートレートが収められている。特に本書では日本の古...

京都市京セラ美術館のオープンと同時に開催されている現代美術作家、杉本博司の単独展「瑠璃の浄土」を見に行った流れで購入した一冊。 自身の作品、日本の古美術、影響を受けた作家など16のテーマに基づく随想と、そのテーマに関連した自作のポートレートが収められている。特に本書では日本の古美術に関するテーマが目立つ。それはもちろん本人が美術作家と並行して営んでいたニューヨークでの古美術商との兼ね合いもあるわけだが、現代美術を代表する作家である著者が、どう古美術を捉えているのかという観点が面白い。

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2023/01/16

杉本さんの作品を実際に見たのは、瀬戸内の直島に行った時が最初だった。 静かで荘厳な海の写真や、護王神社が印象的だったが、この本を読み、それらの作品が杉本さんの歴史に関する厚い知識や、雄大な時間に感動する感性に裏打ちされたものだと知った。  また、護王神社の、深い文化への眼差しと、...

杉本さんの作品を実際に見たのは、瀬戸内の直島に行った時が最初だった。 静かで荘厳な海の写真や、護王神社が印象的だったが、この本を読み、それらの作品が杉本さんの歴史に関する厚い知識や、雄大な時間に感動する感性に裏打ちされたものだと知った。  また、護王神社の、深い文化への眼差しと、遥かな時を越えて在り続ける海の写真とに、通底するものが分かった気がした。  写真という表現に含まれる、時間の意味についても語っており、興味深い。露光時間という現実の時間、被写体が内包する時間、写真だからこそ内包する時間の意味があるのだ。それを理解してみると、杉本さんの写真作品が確かに一層奥深く見え始めた。 装丁=下田理恵さん 杉本さんの専属デザイナーだそう(あとがきより

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2020/01/25

読み良いエッセイ。へぇと思わせる言葉や光景が出てきて気分転換に良い。読み終えると何について話していたのか忘れてしまうくらいのあっさり感。

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2018/11/19

写真家杉本博司の美術骨董にまつわるエッセイ集。現代美術とは何ぞや?というのが骨董や日本絵画のエッセイから逆に浮かび上がる。写真家ならではの陰翳あるエッセイ集。

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2013/12/18

杉本さんの世界観にグッと入れる本。独特のリズムで、引き込まれるものの、知識不足で理解しきれず…が残念。日本の歴史や、古美術をもう少し理解して再読したい。

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2013/07/05

写真家であり現代美術家である杉本博司氏の著書で、深い精神性と明快な論理な作品で僕はかなり好きです。直島の護王神社という作品を見たときは杉本さんを知らなかったんですが、結構長い間見てました。日本神話とか自然信仰とか好きな人にはかなりおすすめ、杉本博司入門書にはちょうどいいんじゃない...

写真家であり現代美術家である杉本博司氏の著書で、深い精神性と明快な論理な作品で僕はかなり好きです。直島の護王神社という作品を見たときは杉本さんを知らなかったんですが、結構長い間見てました。日本神話とか自然信仰とか好きな人にはかなりおすすめ、杉本博司入門書にはちょうどいいんじゃないでしょうか。

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