藤森流 自然素材の使い方 の商品レビュー
雨水の侵入防止といった機能的対策は、現代工法で行い、その上に自然素材の外皮をかぶせる。 自然素材の部分はあくまで意匠的なものなので、ダブルスキンとなる。 結局、コストアップ要因なのだが、それ以上に自然素材がもたらす「大地とのつながり感」「魂揺さぶられる感」(文中にはこのような表現...
雨水の侵入防止といった機能的対策は、現代工法で行い、その上に自然素材の外皮をかぶせる。 自然素材の部分はあくまで意匠的なものなので、ダブルスキンとなる。 結局、コストアップ要因なのだが、それ以上に自然素材がもたらす「大地とのつながり感」「魂揺さぶられる感」(文中にはこのような表現はないのだが)といった、表現派的な感覚が現れる。 それを機能的に成立するよう支える建築家、そしてプロがやらない隙間の仕事を行う素人施工集団である縄文建築団。 ああだこうだ言いながら、作っていく様子が分かり、読んでいて楽しい。 精度を下げるディテール、身体性に根ざした触覚性、現代建築の作り方のグラウンドを本気で逆走したような国籍不明のバナキュラー建築・・・このような言葉を前に、合理主義が行き着いた気持ち悪いほどの際どさ・あぶなかしさと対極をなす「人間復興的な息吹」を感じる。 彼の建築に宮崎映画と共通するものが流れているのを感じるのは私だけではないでしょう。
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