フラジャイル の商品レビュー
メビウスの帯のような本だと思った。たしかに大筋で見れば「弱さ」を考察した大著だが、その内実を負えばそんな行儀の良い読者を平気で置いてけぼりにして、いまで言うところの「多様性」を発揮……というか盛り沢山。古今東西の文献からサンプリングされた蘊蓄が並び、かと思いきや著者の私的な体験が...
メビウスの帯のような本だと思った。たしかに大筋で見れば「弱さ」を考察した大著だが、その内実を負えばそんな行儀の良い読者を平気で置いてけぼりにして、いまで言うところの「多様性」を発揮……というか盛り沢山。古今東西の文献からサンプリングされた蘊蓄が並び、かと思いきや著者の私的な体験がエッセイ風につづられ、いったいなにを読んでいるのかだんだんわからなくなる。言うまでもなく知識の「遊」びの強度としてこれに勝る本はそうないだろう。だが同時にこの「迷」(マヨイガ?)の愉楽の強度・凄みに読み終えたあとも呆然としてしまう
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松岡正剛の著作を制覇したい。 めちゃめちゃ面白かった。 強い/弱いを優秀/劣等ではない軸に置き直して議論した文章。揺らぎのある"弱さ”の方が豊かで物語性に富んでいることは自明のように思って、議論する余地があるのか疑問に思っていたが、確かによく紐解いてみると、差別や人間の...
松岡正剛の著作を制覇したい。 めちゃめちゃ面白かった。 強い/弱いを優秀/劣等ではない軸に置き直して議論した文章。揺らぎのある"弱さ”の方が豊かで物語性に富んでいることは自明のように思って、議論する余地があるのか疑問に思っていたが、確かによく紐解いてみると、差別や人間の起源や制度や楽しみの起源につなげることができる面白いテーマだった。「動物の赤ちゃんが可愛いのは庇護欲をそそるから」をもっと掘り下げることができる。構成能力すごい。特に被差別の話を健常に近い筆者が自由に論じている部分に憧れた。精神障害とニューロンのパターン、癩病者が差別を受けながらもネットワークを作ったこと、相対的な弱さを設定することで強さとの逆転が生じうる、欠けた者が力を持つ。確かに病弱への憧れ、ある。クリムトから始まったファッションモデルの細さ信仰にもつなげることができるだろうか。踊りや神輿担ぎのふらつきを模した足取りと、歩行困難性、片足、シンデレラの片靴をつなげる部分は鮮やかだった。シンデレラの場合、今シンデレラのイメージとされている可憐さや魔法や豪華さはむしろ(子供に届ける)"方法"の方だったのかな? シャーマニズムや、此岸から彼岸を覗き見る場についての記述が通底していたのもすご〜〜く好きだった。呪術と現代社会を切り離して考えてしまうことが多いが、綱引きの綱のつながり、一夜の遊女のイメージとして、お祭りとかお参りとかで区分けされてない日常の中のダブルイメージを想像できてよかった。辻・門・境目・夕占・杖・呪文・ここと向こうの感覚も非常に普通なものだったんだろうな。 科学と文化をなめらかに行き来できるのが本当に気持ちいい。 あと普通にONE PIECEやらあんスタやらの現代エンタメのリファレンス先も見つけたようで嬉しかった。 筆者は本当に名伯楽で、この人が評価することで色々なものがジャンルを超えて場に並ぶことができる。素晴らしい。 定着よりも遷移を。勝者の歴史(histoire)より敗者の物語(histoire)。忘れた後にも残るモヤを。 もう一回読みたい本。
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2年ぐらい前からレコメンされてたんだけど引用や例えが馴染みのないものが多くて、ググりながら読んでいたからかなり時間がかかってしまったけどやっと読了。弱さや弱点を持つ全ての人に読んで欲しい一冊。 思っていたことが言語化されていて、さらにその奥の奥まで言及されていてた。95年に書かれた本書で指摘されていることが、今現在さらに進行していることもとても興味深い。 そして弱者/追いやられる側のアウトロー/やくざの成り立ちについても書かれていて、次に読もうしている現代やくさ肯定論に通じるタイミング感にも うわっ てなったし、やっぱ明治に入った辺りでそれまで機能していたものが色々ちぐはぐになったと思ってたけど、これを読んでさらにその思いが深まった。 2週目もまた必ず収穫がある一冊。
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【由来】 ・ 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・ 【目次】
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人生に定期的に訪れる倦怠感に悩まされてきたときに読んだ『フラジャイル』。自らのうちに住む「強者」と「弱者」。後者を飼いならさぬことには、前進を続けることはできない。歴史や文学、ときに物理や生物まで、縦横無尽な知でたどるフラジリティ。
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[ 内容 ] なぜ、弱さは強さよりも深いのか? なぜ、われわれは脆くはかないものにこそ惹かれるのか? “「弱さ」は「強さ」の欠如ではない。 「弱さ」というそれ自体の特徴をもった劇的でピアニッシモな現象なのである。 部分でしかなく、引きちぎられた断片でしかないようなのに、ときに全体をおびやかし、総体に抵抗する透明な微細力をもっているのである”という著者が、薄弱・断片・あやうさ・曖昧・境界・異端など、従来かえりみられてこなかったfragileな感覚に様々な側面から光りをあて、「弱さ」のもつ新しい意味を探る。 [ 目次 ] 1 ウィーク・ソートで? 2 忘れられた感覚 3 身体から場所へ 4 感性の背景 5 異例の伝説 6 フラジャイルな反撃 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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東大や京大、アメリカの著名な学校のMBAホルダーばっかりの某企業のマーケティング部にいた頃、強くなければ生きている意味がない、と思っていました。毎日が闘い。フィリップ・マーロウの「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている意味がない」を唱えながら日々過ごしていました。 ...
東大や京大、アメリカの著名な学校のMBAホルダーばっかりの某企業のマーケティング部にいた頃、強くなければ生きている意味がない、と思っていました。毎日が闘い。フィリップ・マーロウの「強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている意味がない」を唱えながら日々過ごしていました。 そんな中、尊敬する部長のお子様の作文のタイトルをふとしたこら知りました。曰く「I am a looser ぼくは負け犬」 新鮮でした。 私はもともととても弱い人で、こわがり。それなのに、生きていくために、弱さを封印して、「頑張り」「気勢」といった名前の鎧を身につけながら、あまりの重さにとっても疲れながら会社員をしていたものです。 「フラジャイル」では、無視されがちな「弱さ」に注目します。 「弱さ」は「強さ」の欠如ではなく、それ自体が特徴をもった現象だという。。。 そうなんだ、そうですよね。 弱いからこそ、知ることができる、深い深い世界があるということ、隠さず、むしろ、大事にすべきだ、と気付かされる衝撃の一冊です。 とても個人的なレビューで参考になりませんね。ごめんなさい。
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自分の弱さを否定して、他人に見せないように、強い自分であろうと、今まで努力してきた感があるけど、そんな自分の弱い部分を認め、自分の弱さと向き合うことこそ必要だったのではないか。そんなことを実感しているときに出会った本。 難解な例えも多いですが、読めば読むほど「弱さ」の深みにはまっ...
自分の弱さを否定して、他人に見せないように、強い自分であろうと、今まで努力してきた感があるけど、そんな自分の弱い部分を認め、自分の弱さと向き合うことこそ必要だったのではないか。そんなことを実感しているときに出会った本。 難解な例えも多いですが、読めば読むほど「弱さ」の深みにはまって、なるほどなーと思う部分が多々あり。弱い部分も含めて自分を好きになれると、大袈裟じゃなくて人生変わる気がします。今まで弱さを克服すること一辺倒だったけど、自分のそんな部分ともうまく付き合っていきたいと今は思ってます。 本書に出会えて良かった!
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少なくとも本書が創刊された1995年の時点で、松岡正剛は今流行りの「ネットワーカー」「ノマド」としての生き方に着目をしている。 この松岡正剛の見方を持ってすれば、現行の「ネットワーカー」や「ノマド」に注がれる意識の欠陥は、まさにその「『欠陥』を認識していない」というところに集約...
少なくとも本書が創刊された1995年の時点で、松岡正剛は今流行りの「ネットワーカー」「ノマド」としての生き方に着目をしている。 この松岡正剛の見方を持ってすれば、現行の「ネットワーカー」や「ノマド」に注がれる意識の欠陥は、まさにその「『欠陥』を認識していない」というところに集約される。 「ネットワーカー」にしろ「ノマド」にせよ、それは本書のサブタイトルに示されているように「弱さから出発」するものであり、そこを無視した「ネットワーカー」や「ノマド」に深みが生まれるはずもない。なぜなら松岡正剛の指摘によれば、「弱さ」こそが深みをもたらすのだから。 表舞台にたった「ネットワーカー」や「ノマド」たちだが、もともとが底辺が故に頂上とつながることのできた彼らだ。 その過程をや性質を無視して、そのまま頂上に放り出されてしまえば、ある時そこから放り出されたときに、そのまま高いところから地面へたたきつけられるだけだろう。 「ネットワーカー」や「ノマド」の強さは底辺から、すなわち弱さから出発しているというところにあるのであり、その背景を忘れない限り、彼らは頂点でいると同時に底辺と接続し続ける。 それ故、彼らには頂点から放りだされて地面に激突するという事態が起こるはずもないのだ。「ネットワーカー」や「ノマド」とは、底辺と頂点との混合物なのだから。
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【最初のページ】 この本は、はなはだ奇妙な議論に熱中するためにある。私の熱中は、これまでまったく顧みられてこなかった「弱さ」というものをめぐっている。また、弱さにひそむ「フラジャイルな感覚」をめぐっている。 【感想】 読み途中ですが、登録してもいいかなと思えるくらい面白いです。...
【最初のページ】 この本は、はなはだ奇妙な議論に熱中するためにある。私の熱中は、これまでまったく顧みられてこなかった「弱さ」というものをめぐっている。また、弱さにひそむ「フラジャイルな感覚」をめぐっている。 【感想】 読み途中ですが、登録してもいいかなと思えるくらい面白いです。 成功寓話やヒーローものが主流の現代、 あまのじゃくを感じる「落ちこぼれ」に焦点をあてた本。 「弱いもの」をキーワードに、文学から哲学、神話の世界まで この人何冊本読んでんだ?と思えるようなたくさんのエピソードがつながります。 例。チョークは身をすり減らしながら、すぐに消せる線を描いて、 最後には消えてなくなってしまう。 それでも、黒板からサラサラと落ちる粉や、かすれた線は、 弱々しいことこの上ないにも関わらず、 一生ものの記憶になることがある。 あるいは、はらはらと散る桜。 何十回、何百回見ても、人の心を揺さぶらずにおれない儚さは、 一体何なのでしょう。 そういうことを考えさせられる本です。 【購入の経緯】 震災後、なんとなく不安を抱えて東京オアゾの松丸本舗に行き、 タイトル・表紙に惹かれて衝動買い。 【読みやすさ】 哲学的な話題を含むので、本は純粋にワクワクするために読みたい、 あるいは暇つぶしだ、という人には向いていないかもしれません。 ただし、哲学の本によくあるような難解な感じ、不親切な感じはあまりないです。 【こんなときに読みたい】 弱ってるときだろうな、そりゃもちろん。笑
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