奇偶 の商品レビュー
『実際は、いかに論理性を重視して書いていても、推理小説から偶然をまったく排除することはできないよ。 人工的な虚構とはいえども、君が言うところの《偶然の海》である現実を反映している以上、この世界の基本的な構成要素を排除することはできない。』 偶然についてよく考えられた作品。 『...
『実際は、いかに論理性を重視して書いていても、推理小説から偶然をまったく排除することはできないよ。 人工的な虚構とはいえども、君が言うところの《偶然の海》である現実を反映している以上、この世界の基本的な構成要素を排除することはできない。』 偶然についてよく考えられた作品。 『ドグラ・マグラ』『匣の中の失楽』『匣の中』あたりを彷彿させるような奇書。 しかしながら、四大奇書の次を狙ってるような作品だったな。
Posted by
ようやく読み終えました。 なんと言って良いのやら。アンチでメタ。確かに帯にある通り「《黒い水脈》=四大奇書に連なる第五の奇書」だと思う。そのうち五大奇書とか言われるようになるのかしら。 ただ、一読した限り他の奇書に比べ複雑さはないと思う。取り扱ってるテーマが分かりやすかった...
ようやく読み終えました。 なんと言って良いのやら。アンチでメタ。確かに帯にある通り「《黒い水脈》=四大奇書に連なる第五の奇書」だと思う。そのうち五大奇書とか言われるようになるのかしら。 ただ、一読した限り他の奇書に比べ複雑さはないと思う。取り扱ってるテーマが分かりやすかったのか。 「偶然」と「易」、「骰子」が主なキィワード。偶然性に関する話で様々なジャンルの学問が取り入れられている。哲学、心理学、物理学、数学などなど。向こう五年は名前を見たくないと思っていた学者の名前も登場してて、ちょっと微妙(笑) そりゃしょうがないわ、量子力学で存在の不確定性について話し始めたら、当然不完全性定理まで話は及ぶ。久しぶりに「シュレーディンガーの猫」とか神の存在論の議論が読めて面白かった。でも、ミステリ作家って好きだよね、こういうネタ。 結局どこまでが現実なのか、全部虚構なのか一切分からない辺りが「奇書」の流れを汲んでるよなぁ。 ラスト付近での「システムがビジー状態になっています」というページは一体なにを意味しているのか。(意味を求めちゃ駄目なんだっけ? 人間は意味とか目的とかを求めないと生きていけない、生きるということ自体が意味を求める行為である。ただし、求める意味が必ず手に入るとは限らない、と。)『奇偶』という書物それ自体を「強制終了して再起動」させているのか、それとも主人公だけをそうしているのか。うん、前者の方が面白いな。 主人公、眼疾を患った作家なのだけれど、前半、うじうじうじうじ悩みすぎ。読んでて腹が立ちました。短気なのです。 ところで「堂廻目眩」で「ドグラマグラ」と読むのは本当ですか。「脳髄の地獄に陥る」という意味らしいですが、それ、夢野久作の造語ではなかったんですか? 05.10.18
Posted by
やりすぎでしょう;ともらしてしまうほど突っ走った内容でした。というか一回読んだくらいでは理解しきれない。偶然と確率の蘊蓄満載の作品でした。面白い…と感じたと思います。
Posted by
飽きるの一言。 奇遇について語りつくしたいのは判るが、だからどうよという感じ。 無駄に長いのでお薦めは出来ない。
Posted by
誰かが骰子を振って、この世界を壊すことに決めたんだろう…。混迷の中、片目になった 推理作家は、自らの墓碑銘を書き始めた。その墓碑銘は…「偶然」。
Posted by
この文量の長編としては「生ける屍の死」以来(!)だそうで。歌詞の一部をエピグラムにしたり、確かに近い感触かも。ただし内容的にはおよそ別物。 キッド・ピストルズシリーズの背景としてはおなじみ、量子力学とりわけ不確定性定理に関する記述がここでもかなり紙面を割いていて、確率論的パ...
この文量の長編としては「生ける屍の死」以来(!)だそうで。歌詞の一部をエピグラムにしたり、確かに近い感触かも。ただし内容的にはおよそ別物。 キッド・ピストルズシリーズの背景としてはおなじみ、量子力学とりわけ不確定性定理に関する記述がここでもかなり紙面を割いていて、確率論的パラドックス等における著者の関心が相当なものであることが窺われる。 とにかく文中の言葉を借りて言えば“鵺のようなグロテスクな”ミステリ風思弁小説であることは疑いない。そんなわけなので、ミステリミステリしたミステリや、ラストラストしたラストを期待する向きにはちょっと・・・ 逆に、巻末の参考・引用文献にピクリときた方にはお薦め(ブルーバックス『確率の世界』とか講談社現代新書『ゲーデルの哲学』とか)。
Posted by
- 1