大聖堂(下) の商品レビュー
12世紀のイングランドを背景にしたあまりにも壮大な物語。 愛と憎しみ、野望と貪欲、欲望と怨恨と復讐(作者のあとがきより)。 たまには、こういう長い小説もいいな。
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勧善懲悪。 素晴らしい。 慈悲深い行いも、理解できないと思う人がいたとしても、寛大な心で受け入れてあげれば、将来的に自分に返ってくるんだね。 愛だね、愛。
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いやぁ、これは面白かった。なんというかマーラーのシンフォニーをじっくり聴いたあとにくるような、じわりとくる壮大な感動を得られる。 中世イングランドを舞台に、修道士や建築職人、貴族などが、当時もたらされていた王位継承問題を一つの大きな流れの背景に置きながら絡み合う。数多の人物が登...
いやぁ、これは面白かった。なんというかマーラーのシンフォニーをじっくり聴いたあとにくるような、じわりとくる壮大な感動を得られる。 中世イングランドを舞台に、修道士や建築職人、貴族などが、当時もたらされていた王位継承問題を一つの大きな流れの背景に置きながら絡み合う。数多の人物が登場する感があるんだけど、それぞれのキャラが割と類型的に(こいつはいいキャラ、こいつはワルキャラという風に)描かれているので、その関係はつかみやすい。また、歴史的基礎知識はなくてよい。人間関係がテーマであり、最初の100ページを読めれば、あとは気がついたら本を手に取っていますね。 ただ、随所に出てくる聖堂建築の、少し専門的なくだりはイメージしにくい。というより、勝手にこちらで頭の中で都合よくアレンジしていった、という感じ。聖堂建築という重要な一つのテーマに関係するわけだけど、「ここはこんな風に堂々と壁が築かれ、見たこともない高さに尖塔がそびえたっていて…」みたいに、わかりやすく自分なりの想像に置き換えて全く問題なしでしょ。要するに、そうした面を補って余りあるほどの魅力的な物語性がこの作品にはあるんですよ。 だいぶ前に映像化され、それをとても面白く見た記憶があったので(ただし話の内容はおよそ抜けてしまっていた)、あらためて図書館で見かけて読んでみた次第。いろいろな要素があるんだけど、テーマとしてあえてあげるなら「希望」と「赦し」かな。まあ、とてもいい話です。壮大な“物語の波”に飲まれる喜び、ああまたこんな本を読みたいなぁ。この著者の他の作品も読んでみようっと。
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少し時間はかかったが全完読破。心地いい疲労感と満足感。 歴史背景を反映させた世界観、次が気になる展開、個性豊かな登場人物たち、絡み合う人間関係。 中世ヨーロッパの知識がなくても全く問題なし。エンタメ的にも、群像劇としても十分楽しめる。
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アリエナが旅をしジャックと再開するまでの物語が感動的。 アルフレッドはもうちょっと何とかならなかったのか。父親が人格者だっただけに残念。 リチャードは一時活躍したけど、最後はしょぼかった。何で権力を持つとケチ臭くなってしまうのか。 ジョナサンの父が判明するところが感動的。 ウィリ...
アリエナが旅をしジャックと再開するまでの物語が感動的。 アルフレッドはもうちょっと何とかならなかったのか。父親が人格者だっただけに残念。 リチャードは一時活躍したけど、最後はしょぼかった。何で権力を持つとケチ臭くなってしまうのか。 ジョナサンの父が判明するところが感動的。 ウィリアムは当然の報いを受けた。 最後でプロローグと繋がった。 フィリップはいろいろ報われてよかった。 それにしてもこれだけの複雑な物語を破綻もさせず、飽きさせず、感動的に仕上げる手腕は相当のものだ。すごい。
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情景描写がくっきりと脳裏に焼きつかれるような臨場感と共に、その時の時代を鮮やかに表現しているケンフォレットの書き方は、これまでの長大スケール連続小説初心者の自分としては度肝を抜かれた! 上巻から読み始める時、大聖堂なんぞという興味もわかないような内容の本を、如何ぞここまで長く書く...
情景描写がくっきりと脳裏に焼きつかれるような臨場感と共に、その時の時代を鮮やかに表現しているケンフォレットの書き方は、これまでの長大スケール連続小説初心者の自分としては度肝を抜かれた! 上巻から読み始める時、大聖堂なんぞという興味もわかないような内容の本を、如何ぞここまで長く書くことができようかとは思ったものだが、ただの素晴らしい人間物語だった。まさに人間の全てが巧妙に描かれていた作品であった。人との繋がり、愛、憎悪。今のように簡単に人と連絡をとることができない時代だからこそ、すべてのことに情が入り、決定的な一分一秒を逃さない人間の一面を垣間見れた。 レビューを書こうとした際に、ただ、「ありがとうございました」といったような圧巻の一言しか述べられないはずであったが、まとまりの無い文章だったにせよ、ここまでよく書くことができたな。
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すべての事象がつながっていく、その構成はおもしろかったですが、以下、完全に個人の趣味なのですが、こんな構成なら冒険活劇のほうが好きだ~ いや、中巻と下巻は1日1冊読めたから、おもしろかったはおもしろかったんです!!
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エエ加減洋書に手を付けようということで借りてきた。 ついに下巻。 上巻・中巻がわりとゆっくりめに進行したのに比べると、下巻はさすがにラストに向けていきなり駆け足になったり、そうかと思うとまたゆっくりに戻ったりと、なんとなく不整脈みたいな進行でついていきにくかった。 あれだけ悪の限りを尽くしたウィリアムの最期。 なんでプロローグと似た書き方なのか最初わからんかったけど、父親の業を背負ったと思えば納得。目には目を、みたいな感じかな。 「大聖堂」というタイトルやけど大聖堂が主体なのではなくて、その建立をめぐる人々の愛憎というかなんというか、そういうものが根っこなんやなあーと、読み終わってようやく気付いた。 とにかくもう壮大すぎて(-_-;) 悪いけどもう一度読む気は絶対起きんと思う。 ましてや洋書でなんて無理w Kindle版・・・永遠に積読決定かな~^^;
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当然のことながら、我々にとっての歴史というものは、当時を生きた人の現在に他ならない。だから、今でこそ当たり前の発明品が、その環境下では苦境を打破する会心の一手になったりする。 歴史小説を読む面白さはここにあるのではないか、というような気がしたんだけれども、そんなことはもはやどう...
当然のことながら、我々にとっての歴史というものは、当時を生きた人の現在に他ならない。だから、今でこそ当たり前の発明品が、その環境下では苦境を打破する会心の一手になったりする。 歴史小説を読む面白さはここにあるのではないか、というような気がしたんだけれども、そんなことはもはやどうでもいい。 あれこれと言葉を弄するのも馬鹿らしい。面白い小説を探しているなら、真っ先にこれ。
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※このレビューにはネタバレを含みます
この物語の悪党は何といってもウィリアム。女性を暴行しないと満足感を得る変態で、1人の女性をしつこく追い掛け回しなんとか絶望させてやろうとする。しかしそのウィリアムが歳を取り、たかが1人の女性を貶めたい欲望に狂って人生を棒に振ったのでは?と自問自答する。これは最大の復讐だなと思った。 全体のストーリーは、大聖堂を建立することに人生をかける修道院長と大工が、支配や暴力に屈しそうになりながらも立ち向かうというもの。最後に、もう立ち上がれないのでは?という絶望から道が開ける場面が圧巻。読後は、自分が人生の終わりに何を想うのかと考えざるを得ない。
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