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「資本」論 の商品レビュー

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9件のお客様レビュー

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2017/09/13

労働力以外に売るものを持たない人々を「剥き出しの生」として扱われることから守るためには、労働力という人的資本の所有者とみなす擬制に基づいて、社会のセーフティ・ネットを基礎づけようとする試みです。 本書の議論は、ホッブズやロック、ルソーによって論じられ、ヒュームによって批判された...

労働力以外に売るものを持たない人々を「剥き出しの生」として扱われることから守るためには、労働力という人的資本の所有者とみなす擬制に基づいて、社会のセーフティ・ネットを基礎づけようとする試みです。 本書の議論は、ホッブズやロック、ルソーによって論じられ、ヒュームによって批判された「自然状態」という概念や、アダム・スミスによって論じられた「市場」、さらに「資本」と「労働」の関係について論じたマルクスらの仕事を解説するという形で進められていきます。著者は、ホッブズとロックの「自然状態」の理解の相違を、エコロジカルな条件の相違によって一つの見取り図の中に位置づけようとします。さらに、ヒュームの「コンヴェンション」やスミスの市場といった概念をも、同じように生態学的な条件の遷移のうちに取り込んでいきます。 マルクスは『資本論』において、資本の生成と運動のメカニズムを解き明かそうとしました。史的唯物論は、こうしたマルクスの思想に基づいて、資本主義社会の歴史を弁証法的に捉えようとする発想です。これに対して著者は、生態学的条件の遷移の中で資本主義の成立を位置づけるという非弁証法的な方法論に基づいて、労働と資本についての考察を展開していきます。 そしてここから著者は、マルクスの疎外論に抗して、「労働力=人的資本」に対する所有権を認めるということは、けっして克服されるべきものではないと主張します。それは、資本主義の生態学的な遷移を経て現実に根付いているものであるのだから、ヴァルネラブルな労働者の身体を守るための擬制と捉え、そのような財産権の主体として労働者を位置づける福祉国家を構想する方向へ進むべきだと論じています。 ゲーム理論にまったく不案内な読者としては、本書のような議論の筋道を通って市場や資本主義を説明することができるということが、非情に興味深く感じました。

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2013/06/11

「自由な雇用労働が保証するのは、暴力や強制からの解放であって、健康で安全な生存ではない。」  はるか昔では社会ってのは資本(土地とか金とか)をベースに作られていて、そういった物を持つ人間のみが働き、そして生活する場だった。自給自足的な生活ではそれが一般的だった。そして、それ以...

「自由な雇用労働が保証するのは、暴力や強制からの解放であって、健康で安全な生存ではない。」  はるか昔では社会ってのは資本(土地とか金とか)をベースに作られていて、そういった物を持つ人間のみが働き、そして生活する場だった。自給自足的な生活ではそれが一般的だった。そして、それ以外の持たざる者は蚊帳の外だと考えられていた。国家は「人」ではなく「資本」の集まりだと捉えられていた。  それから時が過ぎ、産業の発展によって資本を一切持たない労働者階級が台頭してきた。そして市場経済が不動だった資本までもを動かすようになり、「所有」に関する考え方も大きく変わってきた。僕たちの労働には何らかの価値なり効果があるはず。その労働を所有している僕たちはそれをどう考え、どう扱うのか。  何も持たない私たちは、私たちが唯一持ちうる「私」という資本から始めなければならないのかもしれない。

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2012/02/14

大澤真幸などこの世代の研究者に特徴的な叙述スタイル。というか、ナラティヴであろうとしてどこまでもモノローグがつづく。しかし、現実問題としてはニュース23や文字通り0のニュースZEROと内容は等しい。

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2014/10/27

[ 内容 ] 「私的所有」が制度化され、市場経済が発展し、資本主義の秩序が支配する世界は、それ以前の「自然」な状態よりも、おおむね有益である。 だがそうした世界は不平等や労働疎外をも生みだす。 それでもなお、私たちはこの世界に踏みとどまるべきであり、所有も市場も捨て去ってはならな...

[ 内容 ] 「私的所有」が制度化され、市場経済が発展し、資本主義の秩序が支配する世界は、それ以前の「自然」な状態よりも、おおむね有益である。 だがそうした世界は不平等や労働疎外をも生みだす。 それでもなお、私たちはこの世界に踏みとどまるべきであり、所有も市場も捨て去ってはならない。 本書はその根拠を示し、無産者であれ難民であれ「持たざる者=剥き出しの生」として扱われることがないよう、「労働力=人的資本」の所有者として見なすべきことを提唱する。 「所有」「市場」「資本」等の重要概念を根本から考察した末に示されるこうした論点は、これからの社会を考える上で示唆に富む。 [ 目次 ] プロローグ 自然状態からの社会契約 1 「所有」論 2 「市場」論 3 「資本」論 4 「人的資本」論 エピローグ 法人、ロボット、サイボーグ―資本主義の未来 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/04

資本主義は不平等や疎外を生み出すシステムだけど、それに代わるものとしてマルクス主義のように新しいシステムを構想するのではなく、持たざるものは「労働力=人的資本」を所有する者として、このシステムに留まるべきだ――ということを、ホッブズやロックの社会契約論を参照しながら、所有、市場、...

資本主義は不平等や疎外を生み出すシステムだけど、それに代わるものとしてマルクス主義のように新しいシステムを構想するのではなく、持たざるものは「労働力=人的資本」を所有する者として、このシステムに留まるべきだ――ということを、ホッブズやロックの社会契約論を参照しながら、所有、市場、資本など資本主義を構成する概念を検証しながら主張する。なんて分かったように書いているけど、社会学にも経済学にも不案内な僕には難解で理解できないところも多かった。たぶん誠実に書くからこうなっちゃうんだろうけど、新書なんだし、不誠実でも分かりやすく書いてもらえるとありがたいなと。

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2009/10/04

経済学と社会哲学の一般教養の授業が延々と続いて(しかも一時間のうちに並行!)猛烈に怠い〜。「です・ます」調の文体で、一見、読み易そうなムードだが、懇切丁寧な説明は有り難いよーで、そもそもの知識がないと判らない仕組み。?章の「所有」論は「自然状態」からの「社会契約論」(ホッブズやら...

経済学と社会哲学の一般教養の授業が延々と続いて(しかも一時間のうちに並行!)猛烈に怠い〜。「です・ます」調の文体で、一見、読み易そうなムードだが、懇切丁寧な説明は有り難いよーで、そもそもの知識がないと判らない仕組み。?章の「所有」論は「自然状態」からの「社会契約論」(ホッブズやらロックやら、ルソーやら…ヒュームはよく知りません)なので、素直に「社会契約」論にした方がいいような気もする。いっそ、本書のタイトルを『「所有」と「資本」論』にでもした方が似つかわしいと思うんだけど…。とにかく全編、基礎の基礎論。A・スミスあり、マルクスあり、で、アレントも登場(^^;)でも、基礎論は前提となる基礎(元ネタ)を読まなきゃ判らないから、余計に難しいんじゃなかろうか??個人的には、マルクスの「原始的本源的蓄積」論なんて、むちゃくちゃ懐かしかった(←いや、きっと今でも十分に重要性があるんだろうが…)。面倒な人は、エピローグだけ読めばいいような気もしたりして(笑)。

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2009/10/04

「資本」論というタイトルに偽りあり。正しくは「資本論」論。マルクスの「資本論」とそれ以前のホッブスやルソーらの概念を比較していく。「資本論」研究としては薄いが、入門書としてはややとっつきにくい

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2009/10/04

安価で入手しやすくコンパクトである、ということについては言うことは無い。内容は社会契約論からマルクスまでの道を噛みくだいで説明していく、というものだが、重箱の隅をつつくようなところもあり、その都度他の入門書なども参照しなければならないので、難易度は思ったよりも高い。各章ごとに論点...

安価で入手しやすくコンパクトである、ということについては言うことは無い。内容は社会契約論からマルクスまでの道を噛みくだいで説明していく、というものだが、重箱の隅をつつくようなところもあり、その都度他の入門書なども参照しなければならないので、難易度は思ったよりも高い。各章ごとに論点がまとまっているので便利ではある。

Posted byブクログ

2009/10/04

過去の著名な経済学者の論拠の説明とそれに対する著者なりの意見が述べられています。少々難解で私には難しい内容でした・・・

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