書を捨てよ、町へ出よう 改版 の商品レビュー
現代では本も読まない人間が、 町へ何するわけでもなく屯している。 本を読んでから町へ繰り出せ若者よ。 常識と学問を第一に知れ!この痴れ者!
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思ってたより吹っ飛んだ思考の並ぶ文章だった。以前読んだものとしては不道徳教育講座に近い。むしろ序盤の倫理観と下ネタ量は確実にこちらのほうが危ういものが多い。タイトルが有名で、先行して「読書ばっかりしている人が何処に町という場所に目線がいったのか?」という意識を持っていたため、最初の数ページでの衝撃がでかかった。 完全な時事ネタであるにはあるんだけれども、思考の回転は早いことが読み取れるし文章はなめらかに感じる。受けいれやすさは人を選ぶ内容は多いものの、若者への支持はあったんだろう。 そしてもう少し読み進めていく内に当時を生きている人たちの悲哀に似た著者の文章が目に付く様になってきた。この視線でどういう風にこの人たちを捉えていたのか少しわからない。ただ文にしているというよりも、他人との巡り合わせから思考実験の一種の様にも見えた。競馬の話はわからないが…
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寺山修司って随分と前にこの世を去っていたんですね。本屋でよく彼のコーナーがあるから今も存命なのかと思ってた。マジ無知。 いつも思うことだけれど、彼にしても村上龍にしても、吉本隆明や柄谷行人、リリー・フランキーなどの揺るがない主張を言い切ることができる人たちは(根拠のない事柄を執念...
寺山修司って随分と前にこの世を去っていたんですね。本屋でよく彼のコーナーがあるから今も存命なのかと思ってた。マジ無知。 いつも思うことだけれど、彼にしても村上龍にしても、吉本隆明や柄谷行人、リリー・フランキーなどの揺るがない主張を言い切ることができる人たちは(根拠のない事柄を執念深く肯定したりもする)、どこかで自分という人間を演じているのかなと感じてしまう。 彼らが常人の持つインスピレーションや言語選択能力を遥かに上回る才能を持ち合わせていることは認めざるを得ないし、事実その通りだろう。 ただ、社会問題に切り込む際、分かりにくい比喩で説明を試みることをどこかで彼ら自身が「洒落ている」だとか自らのインテリジェンスの賜物であるとの認識が少しはある気がする。そうでなければ、読者の半分以上が理解出来ないであろう文章を自信満々に世に送り出すことは出来ないと思うし、それこそ彼らが真に自身の個性的でアンビバレントな感性に自信を持っているのならば、本気で感覚のみを拠り所にした文章に頼るべきだと私は思う。 彼らの文章を理解出来なかった読者の中には、視野の狭さや知識不足を憂う人たちもいるだろう。私は断固として言いたい。特に本書の著者、寺山修司の文章はそういう風に読むべきではないと。かつてこれ程までに感覚に頼って文章、言葉を追ったことは無かったように思う。彼が創り上げた文章に対しては人それぞれ受け取り方が異なるはず。その観点から、本書は良書である。明らかに良書。 けれども読む価値の問題になると閉口してしまう。読みたければ読めばいいし、少し読んで部屋の片隅にほっぽっておいても良いかと。 私が言いたいのはこうだ。 寺山修司の本を読んで自分の生き方の糧にしたり、真似をしたりするのは無茶苦茶ダサいけれど、ある文章を読んだ後で全速力で雄叫びあげながら走り出したり、自分の存在を愛してあげるのはありだと思う。 ベストセラーの恋愛小説よりも、本書のような捻くれた本を読むことで、愛や生命力を感じるのは単に私の価値観が狂ってるからなのだろうか。甚だ疑問。
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帰省の暇潰し、寺山修司本三冊目。 この人は思想が確立しているから、読む冊数を重ねるほどわからなかったことが見えてくる実感があって学習意欲が掻き立てられる。 個人的には終章の自殺のライセンスの項の思想がすごく刺激的でした。 何一つ不自由がないのに避けられない不条理な死こそが自...
帰省の暇潰し、寺山修司本三冊目。 この人は思想が確立しているから、読む冊数を重ねるほどわからなかったことが見えてくる実感があって学習意欲が掻き立てられる。 個人的には終章の自殺のライセンスの項の思想がすごく刺激的でした。 何一つ不自由がないのに避けられない不条理な死こそが自殺であり、極めて贅沢なもの。 どうせ死ぬなら自殺へ進もう。それこそが生きる力になるクリティカルモメントだ。…そういう解釈を書いている訳ではないんだけど、僕はそんな風に受けとりました。自殺をテーマにしているのに、読めば読むほど生きる力が湧いてくるこの人の文章には毎度脱帽する
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寺山修司は太宰と同じく、10代~20代前半までは心酔しても良い作家ってイメージ。ちょっとセンチメンタル過ぎかもしれないけれど、だから多感な時期の人にウケが良いのかも。
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僕が買ったのとカバーがちがうな。。。 なんかいろいろと新しい角度からの見方を得られた気がする。 簡単には語れないな。 また読もう。
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うわー、この人ダメだぁ。 ものすごい褒め言葉として。 書いてあることに説得力があるし、 ダメな方向にものすごく勇気づけられるけれど、 実際に書いてある通りに生きようとすると破滅しますね。 でも、わけのわからない勇気。 たまに必要かもしれない。
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なんせかタイトルが有名。 エッセイだとは知らなかったけれど。 寺山修司さんの言葉の選び方、文章のセンスはさすが、という感じで。 やっぱり中には「おおっ」と思わしてくれる、シャープな物事の考え方、切り口が光るものも。 でも後半がなんかダラダラというか、趣味個人世界入りすぎてあんま...
なんせかタイトルが有名。 エッセイだとは知らなかったけれど。 寺山修司さんの言葉の選び方、文章のセンスはさすが、という感じで。 やっぱり中には「おおっ」と思わしてくれる、シャープな物事の考え方、切り口が光るものも。 でも後半がなんかダラダラというか、趣味個人世界入りすぎてあんまり面白く無いというか、全体的にクオリティがまちまち過ぎて 一冊通して楽しむには、どうなんだろう。 まぁ好みの問題か。
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1章はタマの大きさに付いて。これは面白かった。 2章が競馬の話ばかりだし、当時の固有名詞がたくさん出過ぎていてつまらなかった。 3章は詩。読んでない。 4章は紳士にならない方法、自殺の方法。これは面白かった。 しかし全体として特に読む必要の無い本だった。
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書を捨てる、という宣言にも、書が必要とされている。 そのような一種の矛盾は、とうに凌駕され 私の中の衝動は、遠く何処かの「町」を目指すようになる。 町は、私を放っておかない。 町が、私と交わる。 町で、私は、新たな「私」を孕む。 読むほどに実験されてくような感覚が愉快。 む...
書を捨てる、という宣言にも、書が必要とされている。 そのような一種の矛盾は、とうに凌駕され 私の中の衝動は、遠く何処かの「町」を目指すようになる。 町は、私を放っておかない。 町が、私と交わる。 町で、私は、新たな「私」を孕む。 読むほどに実験されてくような感覚が愉快。 むらむらと、湧きあがる情動。行動。 そしてそれら総てが、この手の「書」に端を発していることに気づいた時 袋小路の感覚が、またとにかく愉快。 しばらく、同じ感銘は受けていないと思う。 なぜかいつも、走りだしたいような読後感がある。 それが、「書」を捨てる始まりなのか それとも「書」を捨てられない快感の証明なのか 幾度でも、目を通す毎に、新しい「欲」を感じてしまう作家。 彼の死ほど、惜しいものも滅多にないと思う。
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