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パレオマニア の商品レビュー

3.6

11件のお客様レビュー

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2024/06/12

パレオマニア 大英博物館からの13の旅 大英博物館の展示物に触発されて旅をする。ものすごく贅沢な旅行記です。 ギリシア、エジプト、メソポタミア、インド、ケルト、中国、メキシコ、カナダ、韓国、オーストラリア、そして最後にロンドンでの回想と大英博物館に関しての思索。 文章の間に挟ま...

パレオマニア 大英博物館からの13の旅 大英博物館の展示物に触発されて旅をする。ものすごく贅沢な旅行記です。 ギリシア、エジプト、メソポタミア、インド、ケルト、中国、メキシコ、カナダ、韓国、オーストラリア、そして最後にロンドンでの回想と大英博物館に関しての思索。 文章の間に挟まった写真がより理解を深めてくれます。百聞は一見にしかず。 王権の誇示のために作られた多くの建造物や遺物。それに対しての現代に作られるものの不毛。 巨大なもの、美しいもの、精巧なものから最後にほとんど何も残さなかったアボリジニの精神性に行き着く構成が見事でした。ただ、各旅行記のインパクトがもっと欲しかった。 本当の贅沢。文化、文明。略奪に基づく蒐集とその結果として見えてくるもの。物と精神。グローバルとローカル。 そういったことを考えることが出来きました。 竹蔵もこういったうらやましい旅をしてみたい。その実現に向けての熱意が今ひとつ足りないので、多分実現しないかな? 宝くじが当たったらといった程度の実現度か? まあ、まずは夢や意志がなければはじまりませんが。。。 竹蔵

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2018/11/05

ギリシャを皮切りに各地の古代美術を現地まで見に行く旅行記。ちょっと夏休みっぽく。 大英博物館の展示品の本場を求めて旅に出てしまう。行った先での食事の話なんかも。これだけ並べて見ると、何が分かるという訳でもないが壮観。最初はボヤーッと読んでいたが、だんだん面白くなってくる。どんなに...

ギリシャを皮切りに各地の古代美術を現地まで見に行く旅行記。ちょっと夏休みっぽく。 大英博物館の展示品の本場を求めて旅に出てしまう。行った先での食事の話なんかも。これだけ並べて見ると、何が分かるという訳でもないが壮観。最初はボヤーッと読んでいたが、だんだん面白くなってくる。どんなに栄えた文明も廃墟になる無常。しかし、後にはモノが残る。後世のわれわれが見ても、その素晴らしさを理解できるという普遍性。 入場料タダの大英博物館の心意気も良い。力任せにかき集めたお宝だとしてもだ。 ペルシャ-ローマ-アメリカは現実的で散文的な文化だとか。ギリシャとは対照的に。 カナダではバンクーバー(太平洋側です)沖の島で、シーカヤックやゴムボートで今は放棄された集落のトーテムポールを見に行く。 イギリスに元々のケルト人が移住してきたわけでなく、文化だけがブリテン土着人に伝わったという説。サイモン・ジェイムス。イギリスでケルト性が言われるようになったのは18世紀以降のことだとか。 カンボジア。12世紀のクメール最盛期には、アンコールワットは世界有数の大都市であったらしい。ただしクメールは王権が弱いマンダラ国家だった。造営は王の力を示すパブリシティーだったが、王が死ぬとさっさと中断される。そうでなくても、細部細部など未完成でも気にしなかったようだ。アンコール・ワットの4倍大きい遺跡もある。「アンコール・ワットへの道」 ヴェトナム。中国の影響とインドの影響のせめぎあい。海洋国家チャンパ。 トルコ。アナトリアのアジア的雰囲気。食い物(イスタンブールの洗練されたトルコ料理でなく、田舎料理)がうまそう。 韓国。民間に仏教が入るのが早かった。身を投げ出すような祈りのスタイルは日本には入ってこなかった。 メキシコ。高地のテオティワカン−アステカ、ジャングルのマヤ。スペイン人がぶっ壊したせいで遺跡の残り方は少ない。終末論の上に世界観を築いていた。世界が消滅しないために人身御供を備えていた!捕虜=人身御供を得るための「花の戦い」。循環する歴史。2012年だ。カトリックも独自の姿に変容している。 アボリジニは、画家になっている人が多い。物質と縁の薄い、ピュアな精神文化と著者は見立てる。

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2017/05/27

博物館にあるものと、それらが作られた場所に行って考える。当たり前だけれどその時代の歴史や文化を知ってないと分からないなあと思いながらじっくり読んだ。

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2013/04/23

大英博物館の収蔵品から、その収蔵品達が本来いた場所へ巡礼の旅。 小説とも旅日記ともつかない文体だが、若き日から世界中を飛び回っていた池澤夏樹本人が「男」であると思って差し支えないとおもう。 こういうふうに世界を旅してみたい。

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2011/06/03

高校の頃教師にすすめられ教科書順に習った世界史を、地域ごとの通史と、同時代同年の多地域を並列したものと、2冊のノートに作り直したのがとてもおもしろかったのは、認識するということの粗野で愉しい特性だと思う。島々という区切りやすい場所でいろんな人に会い、風土、言葉、現在を注意深くまと...

高校の頃教師にすすめられ教科書順に習った世界史を、地域ごとの通史と、同時代同年の多地域を並列したものと、2冊のノートに作り直したのがとてもおもしろかったのは、認識するということの粗野で愉しい特性だと思う。島々という区切りやすい場所でいろんな人に会い、風土、言葉、現在を注意深くまとめていく一冊(「ハワイイ」)から、あらゆるものが千年単位の時間によって風化し、そして残ったゲンブツを訪ね歩く一冊へ。ノンフィクションからフィクションへという緩やかな移動に乗り出していく清清しさ。氏の著作は小説等はいっさい読んだことがなく、エッセイもたまに図書館で読むくらいなのですが、こういう分類しがたいものはいつも好みで買ってしまうなあ。

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2010/07/10

古代妄想狂、パレオマニア。 自分の事を「男」と称して、三人称と一人称の行きつ戻りつしながら書かれた紀行文。 大英博物館の心惹かれた展示物を足がかりに、それの故郷へと旅する。 彼が惹かれるのは古代。人々がまだ荒魂を抱いていた頃。 ある物を作る時、思いが先行し、そこに技術が追いつい...

古代妄想狂、パレオマニア。 自分の事を「男」と称して、三人称と一人称の行きつ戻りつしながら書かれた紀行文。 大英博物館の心惹かれた展示物を足がかりに、それの故郷へと旅する。 彼が惹かれるのは古代。人々がまだ荒魂を抱いていた頃。 ある物を作る時、思いが先行し、そこに技術が追いついてきて、やがて意思と技術が一致する時代がある。だが、そこからは思いが枯れ、形だけが残る。 時には目的の物が見つからず、時には意外な発見に胸を躍らせ、男は世界を廻る。 そして、たどり着いたオーストラリア。 移動生活は人々にモノへの依存をさせず、いつでも共にある精神に重きを置いた。 彼らにとって聖地は存在と存在の交差地点であり、大事なのは場所ではなく、そこで遇う(あう)こと。 全てが移動し、人と自然の境界は無い。 蛇足ながらメモ。 著者の、「気に入ったものを勝手に所有した事にして、それを博物館で管理してもらっている」という考え方は素敵だと思う。

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2010/02/13

再読。初読2004 読み終えてすぐ大英博物館を訪れる機会を得る。蒐集品の歴史的・地理的背景の大きさを知る。 ・署名のない作品 ・物質で見る文明、そうでない文明

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2009/10/04

大英博物館の隣の安宿に泊まり、毎日大英博物館に通う男。 気になる展示物を見つけると、その展示物が発見された土地へ 飛び立ち、その展示物へ思いを馳せる。 そしてまた大英博物館へ戻る・・・という旅を13本収録。

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2009/10/04

「古代妄想狂」の意味だそうだ。 大英博物館が近くにある幸せに気付かせてくれた本。 「ケルト人はいなかった」説をはじめて聞いた。最近、今まで当たり前だと思っていたことに関して「実は〜はなかった」説を聞くことが多い。そういう時代の雰囲気なのか、共時性か? P.361 「本国のイギリス...

「古代妄想狂」の意味だそうだ。 大英博物館が近くにある幸せに気付かせてくれた本。 「ケルト人はいなかった」説をはじめて聞いた。最近、今まで当たり前だと思っていたことに関して「実は〜はなかった」説を聞くことが多い。そういう時代の雰囲気なのか、共時性か? P.361 「本国のイギリス人はおそらく、普遍的な「世界」という概念を発見したのだ。ギリシャ人が実践的に地中海まで世界観を広げたとしたら、イギリス人はそれを地球ぜんたいに拡張した。その先はもうない。」だから、私が地理学者としてイギリスに来たのは当然の帰結だったのかもしれない。素晴しい人生に感謝。(2006.2.22)

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2009/10/04

2007/04/15読書開始。博物館好きにとっては、もうたまらない本。 世界中の富が集まる大英博物館から、それぞれの収蔵品のふるさとへの旅が始まる。 まずはパルテノンのエルギン・マーブル。人間であること、生きていること、他の人も同じく体温を持ち生きていること。その喜びを高らかに謳...

2007/04/15読書開始。博物館好きにとっては、もうたまらない本。 世界中の富が集まる大英博物館から、それぞれの収蔵品のふるさとへの旅が始まる。 まずはパルテノンのエルギン・マーブル。人間であること、生きていること、他の人も同じく体温を持ち生きていること。その喜びを高らかに謳うエロスを感じる、ギリシャへの旅。 そして、同じくギリシャのデロス島へ。ある青年の憂い顔の墓標をたよりに。旅は続く。死者の棺をのせた船に導かれてエジプトへ。あるいは官能のインドへ。 まだ、効率性と利潤追求に世界が支配されなかった時代。莫大な犠牲のうえに、ばからしいほどの手間をかけて作られた、数々の「美」「芸術」がある。その暗黒面を知りつつも、今の工業製品では決して作り得ない非人間的な犠牲と手間のもとにある、しかしあまりにも人間的な「美」を、やはり私は賛美するだろう。 (文中より)――現代の美術品はどれも作者の個性を前に押し立てている。人は自分が何者かを表現するために作る。しかしおまえが何者かなんて、そんなことは百年たったらどうでもいいんだよ。大事なのはいいものが残ること。作者の名がなくともそれ自身の力で生き残るようなものを作ること。

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