カエサルを撃て の商品レビュー
『王妃の離婚』『双頭の鷲』『カルチェ・ラタン』などなど、重厚な歴史物が得意な著者の今回の舞台はローマ三頭政治時代のガリア、すなわちヨーロッパです。 カエサルってのはもちろん日本でも有名なかのジュリアス・シーザーことユリウス・カエサル。 当時広大なガリア地方はローマの支配下に置かれ...
『王妃の離婚』『双頭の鷲』『カルチェ・ラタン』などなど、重厚な歴史物が得意な著者の今回の舞台はローマ三頭政治時代のガリア、すなわちヨーロッパです。 カエサルってのはもちろん日本でも有名なかのジュリアス・シーザーことユリウス・カエサル。 当時広大なガリア地方はローマの支配下に置かれていましたが、ヴェルチンジェトリクスという若者が各部族に分かれていたガリアを統一し、ローマに戦いを挑みます。 解放戦争って奴ですね。 若く猛々しいヴェルチンに対し、カエサルが臆病な中年男として書かれているのが面白いです。 でもヴェルチンの方は性格とか母親の影響とか、『双頭の鷲』のデュ・ゲクランに似ているのが気になりましたね。親戚が心配性の参謀とかも。 この作者にとって「英雄」というのは皆こんな性格なのかな? ローマの悪行に、どうしてもガリアを応援しちゃうんですけど、カエサルがエジプトに行ってクレオパトラと出会ったり、最後はローマでブルータスに殺されちゃうなんてことは誰でも知ってます。 つまり、ガリアは……。 歴史とは、戦争とは、こんなことばかりを繰り返しているんでしょうかね。
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紀元前五十二年、美しくも残忍な若者ウェルキンゲトリクスは混沌とするガリア諸侯を纏め上げ、侵略を続けるローマに牙を剥いた。対するローマ総督カエサルはポンペイウスへの劣等感に苛まれていた…。ガリア王とローマの英雄が繰り広げる熾烈な戦いの果てに、二人は何を見たのか。
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政治的に力の衰えてきた中年男カエサル。 属国である祖国を解放しようとする美貌の青年ウェルキンゲトリクス。 2人の攻防が最終的にはどうなるかどうなるかとハラハラしながら読みました。 目的を達成するため手段を選ばず人を思いやる余地のないウェルキンゲトリクスが、人としての感情に目覚めてから、そして過去の栄光にすがって政治的地位ばかり気にして生きているカエサルが、目の前の戦闘に目覚めた時から話はおもしろくなります。 私的にはウェルキンゲトリクスよりカエサルが気に入ってしまって、 「カエサルを撃たないで~」 と思いながら読んでました。
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