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荊の城(下) の商品レビュー

4.1

44件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

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2021/03/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

初のサラウォーターズ。どんな作風なのかとか全く知らずに読んだ。想像してた以上におもしろかった。 一言で例えるなら、両手を固く握られて右へ左へとめちゃくちゃなワルツを踊らされているような感じ。 まず何よりストーリー展開がレベチだった。 単に、泥棒娘がお金持ちのお嬢様を騙すためにお城へ潜り込む話だと思っていた。お嬢様と友情が芽生えるのかなと思いきや芽生えたのは愛だった。(ここまで直接的な女の子同士の恋愛は読んだことなかった) まずそれだけで衝撃だったのに、気狂い病院へスゥがいれられたときはホントにびっくりした。モードのしたたかさには戦慄した。ここで立場が逆転してしまうのがおもしろい。 その後も、母ちゃんが計画に噛んでいたことや、モードとスゥは赤ちゃんの時に入れ替わっていたことなど、全く予想しない展開が続き、読むのが止まらなかった。 次に登場人物たちも奥深く描かれている。 スゥの口悪く荒っぽい感じも真新しかったし、モードに至っては頭の弱い常識知らずのお嬢様と思いきや、スゥよりもはるかにしたたかだった。 母ちゃんもいろんな面を見せてくれた。 スゥを一番愛してくれていた母ちゃん、しかしその愛は偽物で金目当てにスゥを売った冷血な母ちゃん、けれど結局、娘のモードもスゥもどちらも愛していた故に最後まで苦しんだ母ちゃん… 彼女たちはじめ、紳士やジョン、ディンティなどもみんな深く描かれている。 暴力描写もあり、特に気狂い病院でスゥが看護師からいじめられたり水責めに合うシーンはかなりきつかった。 最後、酷い道を歩んできたモードとスゥが、お互い偽りのない姿で心を通わせ合うことができて良かった。2人が刺し違えなくて良かった。 2人ともよく頑張ったよ。

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2020/10/01

下巻からは未知だったので色々と驚かされた。スウとモードが互いに目的を遂行し、すれ違う様は何とも哀しい。運命に翻弄され、傷付いた彼女達の最後は、漸く踏み出せた幸せへの一歩。彼女達のこれからを想像し、微笑ましく思った。それにしても、サクスビー夫人の最期は皮肉なものだった。

Posted byブクログ

2020/07/25

わたしは闇に身をゆだねた。生きているかぎり、二度と光の中に顔をあげたくはなかった。 話の全体像が明らかになる第二部を経て、第三部で話の決着が着きます。 良く考えられているとは思うのですが、第二部後半が専ら台詞で謎が解かれるため、上巻と合わせ第二部がやはり冗長に感じました。 ...

わたしは闇に身をゆだねた。生きているかぎり、二度と光の中に顔をあげたくはなかった。 話の全体像が明らかになる第二部を経て、第三部で話の決着が着きます。 良く考えられているとは思うのですが、第二部後半が専ら台詞で謎が解かれるため、上巻と合わせ第二部がやはり冗長に感じました。 第三部はスウを主人公とした冒険小説のようで(ラント街の生家でのシーンは素晴らしい)楽しめましたが、第二部で全ての謎が解かれ、「読者が知っていることを登場人物が知らない」状態になっているため、のめり込むまでには至りませんでした。 ラストシーンは微笑ましく、良い閉じ方だと思います。

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2019/01/22

このミス海外編2005年版1位。サラ・ウォーターズは2004年版の半身に続けて2年連続1位ということで自分も2冊続けて読んでみた。2冊目で読みにくさに慣れたこともあって若干しんどいものの上巻はとても面白かった。第1部の最後は意外だったし、第2部で別人の視点から同じ場面を再現してく...

このミス海外編2005年版1位。サラ・ウォーターズは2004年版の半身に続けて2年連続1位ということで自分も2冊続けて読んでみた。2冊目で読みにくさに慣れたこともあって若干しんどいものの上巻はとても面白かった。第1部の最後は意外だったし、第2部で別人の視点から同じ場面を再現してくれて、新たな事実などで物語がよく理解できてグッドでした。ただ、前作もそうだったんだけど、この人の小説は拘束や虐待、逃避行の苦行の場面描写がやたら長くて読み続けるのに骨が折れるのですよ。第2部の後半や第3部のあたりがそんな感じで下巻は半分ぐらいしんどかった。全体としては、意外性あるし結末が読めなくワクワク感があって良いとは思うのだけで描写が長すぎるのがなんとも残念。あと百合系の設定はノンけの女性から見るとどうなんでしょう。不思議と男性からは抵抗ないんだけど、以前、薔薇系の設定の本はうへっとなったので。

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2019/01/10

上巻より続く しかし下巻を読んだらなるほどミステリであった 山場の帰還場面は手に汗握る 大変素晴らしい 全体として充分高水準の娯楽読物として力作だが もうひとつ欠点目につく出来でもある それぞれの描写は作者にとって必要だろうから書いたのだろうけれども 作品にとっては必要だったのだ...

上巻より続く しかし下巻を読んだらなるほどミステリであった 山場の帰還場面は手に汗握る 大変素晴らしい 全体として充分高水準の娯楽読物として力作だが もうひとつ欠点目につく出来でもある それぞれの描写は作者にとって必要だろうから書いたのだろうけれども 作品にとっては必要だったのだろうか あまりに細かくでなく無駄ではないにせよ 多くを描きでなく書き過ぎ 核であるミステリ仕掛けは良いものだし 最後まで引っ張る力は第一流あるけれども ディケンズ作品と比較してしまう 比較できるほどすごいといえばすごいのだが

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2018/07/25

どういう展開になるのかさっぱりわからず先が気になって途中からは読むのがなかなか止められなかった。 これからのふたりが、穏やかに幸せに、大切に過ごしてくれますように。

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2018/04/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

あまりにも凄絶な恋の残酷。 緻密に練られた構成による怒涛の展開、人間ドラマの機微、ミステリーの要素を堪能しながら、「人を想うことの残酷」を感じさせる小説。 その残酷ゆえの官能が悦びがあまりにも力強くて、読後放心状態。 まさに「二人は、お城で幸せに暮らしましたとさ」という結末ではなかろうか。天晴。

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2017/09/02

どんでん返しにつぐどんでん返し。 映画『お嬢さん』の原作だが、第三部が原作と映画では大きく異なる。

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2017/07/04

確かに面白かった! ディンティ可愛い。 当時のきちがい病院て確かにこんな感じだろうね…と思うと怖い… モードのたくましさ。 スウのバカちゃんさ。 後でちゃんとディンティに金貨倍返ししてね!

Posted byブクログ

2017/06/04

上手い小説。精神病院やロンドンの場面の描写がいい。「灰色の、混沌とした、けばけばしい町。ここはすぐに忘れ去られる家なのだ」出生の秘密の開示の仕方もうまい。出来上がった「状況」の中に、スゥが落っこちて右往左往する様子がよく伝わってくる。

Posted byブクログ