健全な肉体に狂気は宿る の商品レビュー
身体が健全であろうと…
身体が健全であろうとなんであろうと、狂気は宿るものです。生き辛さを感じている人々にお勧めの本。
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2022/05/12 個人的にモヤモヤしてたことがそうか…って腑に落ちたりした。対談だから読みやすい。 読んでよかったー。 ・「常識は原理にならない」っていう文章が特にそうかぁと思ったしすごくよかった p.138 『規制力はあるけど攻撃力は小さいし、権力的になれない。これは人...
2022/05/12 個人的にモヤモヤしてたことがそうか…って腑に落ちたりした。対談だから読みやすい。 読んでよかったー。 ・「常識は原理にならない」っていう文章が特にそうかぁと思ったしすごくよかった p.138 『規制力はあるけど攻撃力は小さいし、権力的になれない。これは人間を動かすときに非常に 有効な手段なんですね。言いたいことは言えるけれど、相手の立場もちゃんと確保してある。 常識的な人間というのは、だからすごくいいんですよ。人を徹底批判することがないし、罵倒したり愚弄したりすることもない。だって、そんなの「常識的じゃない」から。「そんなに人を責めるなんて、非常識じゃないか」と言えば常識人は絶対黙りますから。 春日 たしかに、わたしが思者と話していても、結局のところ、常識なんだからうまくやりなよ、という話にいくわけですもんね。ただ、常識というのを「思考停止」だとか、「長い物には巻かれろ」的ないい加減な発想だというふうに取りたがりますから、そうじゃないんだということをいかに伝えるかという問題なんですね。 内田 あらゆるものが原理主義になる可能性がある中で、唯一常識だけが原理主義にならないということが常識の強みなんです。マルクス主義にしても、フェミニズムにしても、キリスト教にしても、間違えると原理主義になってしまう。でも、常識だけはならない。「常識の名において断罪する」ということができないんですから。「何かの名において人を断罪する」というのは常識的に考えていかがなものか……というふうに考えちゃうのが常識人なんですから。』
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これもオーディブルで聴いてみました。my心のメンター、内田先生と、結構興味深い本を書くなあ、と注目している精神科医春日武彦さんの対談本。 どちらもそれぞれ面白い方なので、どんなに話が広がっていくのか?興味があったんですが、あまり盛り上がってはいないかな?という感じ。 だけどいくつ...
これもオーディブルで聴いてみました。my心のメンター、内田先生と、結構興味深い本を書くなあ、と注目している精神科医春日武彦さんの対談本。 どちらもそれぞれ面白い方なので、どんなに話が広がっていくのか?興味があったんですが、あまり盛り上がってはいないかな?という感じ。 だけどいくつか印象的だった話もあって「十字架のペンダントの効用」という話はなかなか興味深い。 ペンダントを首からぶら下げるという事は、常に大地に対して垂直に向かっているものを身体に身につけている、という事なんですね。つまり、自分が大地に対して(地球の重力に対して)まっすぐ立っているのか?またはずれているのか?それを測るための基準になるというんですね。やはり姿勢は出来れば良いに限りますしね。なるほどなるほど、と思いました。基準がないと自分がどんな姿勢で立っているのか?わかりませんからね。 それは精神的なものに置き換えても考えられるだろうなあ、と僕は考えました。心の基準となるもの、それはある人によれば今週のテーマである習慣とかルーティンかもしれないし、ある人にとっては宗教的信念であったり、または哲学であるのかもしれない。 まあ、完全なる基準というものはあるのかはわかりませんが、心の中の十字架のようなものを持っているのか?暫定的であっても、そのような基準を持っているのか?いないのか?結構違ってきますよね、生きてる実感みたいなものが。 というような発想が生まれたりするので、前述した通りイマイチですが、ところどころ役立つ一冊でもありました。 2017/04/08 15:12
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読了。対談本であった。人は誰でも邪悪さを持つと知って、手に取ったら本である。10年ほど前の本だ。たぶん同じころに、名越康文と内田樹の対談本で、14才の子供を持つ親たちの本を読んだことがある。その本は、子供の持つ不可解さを説明した本であったが、この本は、大人も含めて、狂気があることを語った本である。狂気のコントロールのヒントもかかれていたと思う。
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コントロール願望の強い人というのは、相手と自分の区別がつかないから、自分が思う幸せを相手に強要する。自他の基準が違うということがわからない。 結婚生活のトラブルというのは、その八割ぐらいは双方の親族が原因で起こるんです。パートナー同士の間で起こるトラブルというのは、ほとんどがご...
コントロール願望の強い人というのは、相手と自分の区別がつかないから、自分が思う幸せを相手に強要する。自他の基準が違うということがわからない。 結婚生活のトラブルというのは、その八割ぐらいは双方の親族が原因で起こるんです。パートナー同士の間で起こるトラブルというのは、ほとんどがごく簡単な話し合いで調停可能だけれども、第三者、特に自分の配偶者の親族が関わっているトラブルというのは調停が難しい。 # 上記、本文内より抜粋。 久しぶりに内田樹さんの本を一つ読んでみようかな。 と、いう軽い気持ちで読みました。 精神科医で、色々文筆活動もされている、春日武彦さんとの対談本。 対談本ですし、読みやすことこの上なく、するすると読了。 ただ、一冊の本としてはけっこう、不満。 なんだけど、部分部分面白い。 話題としては、今はやり?の毒親とか、家族関係、自分探し、などなどについて…だったのかなあ。 以下、続いて面白かった「部分」の、抜き書き。 ちなみにタイトルは、すごく雑に言うと、健康がどこか悪い人っていうのは、精神を病むことが少なくて。元気な人のほうが、多いんです、という、春日さんの言葉でした。 # 「あなたになんか、私の気持ちがわかるわけない!」なんて絶対に言ってはいけません。そんなこと当たり前なんだから。「私の気持ち」がわかるひとなんか世界に1人もいない。自分だって自分が何を考えているのかわからないのに、他人にわかるわけがない。 関係を壊すのはほんとうに簡単なんです。50年かけて育んだ愛や信頼だって、壊すのは1秒で足りますから。 人間が精神的に健康でいられる条件を考えてみると、秘密を持てるということが大きいんじゃないかなと思うんですね。「それは秘密です」とか「それについてはお答えできません」でいいじゃないですか。 結局、ペンディングに耐えられるかどうかという話なんです。どんどん物事が解決して、答えがすぐに出てくれれば、こんなに楽なことはないんです。「時間」というファクターは想像以上に重いんです。決断できない状況でも、それをある程度時間的に維持することさえできたら、とても解決できそうもないように見えた問題がイッキに決定し強引が成るということは間々あるんです。 育児を経験すると、即断即決なんてできないことのほうが世の中は多いということがよくわかります。 「あなたにとって人生の重大事件は?」ということを訊くと、「第1子誕生」というのはかなり上位に来るんです。ところが、第二子誕生っていうのは、四十七位くらいなもので(笑)、ほとんど親に何の感動ももたらさない。 常識人は決して狂信的にならない。それが常識の手柄なんです。常識に基づいて人を批判しても、徹底的に傷つけることはできないんです。唯一常識だけが、原理主義にならないということが常識の強みなんです。マルクス主義、フェミニズム、キリスト教、間違えると原理主義になってしまう。でも、常識だけはならない。「常識の名において断罪する」ということができないんです。「何かの名において人を断罪する」というのは、常識で考えていかがなものか…と。 人は愛されなくても生きていけるけど、敬われなければ生きていけないんだ。 人間が精神的に健康である条件を4つ。 ●自分を客観的に眺められる能力。 ●物事を保留しておける能力。 ●秘密をもてる能力。 ●物事には別の答があり得ると考える柔軟性。 # 一冊の本として言うと、なんていうか、「で、いったいなんだったの?」という散漫な作りが目立ちますね。 これは編集サイドの杜撰なのか、どうかわかりませんが。 どうも、曖昧すぎる感じの議論で。 ほとんど、テレビの時間つぶしのワイドショーの「ご意見番」さんのお話みたい(笑)。 おふたりのお話が、どんどん、上から目線。 「俺はこうやってうまくやってきた」「俺はこういう人間だからさ、そういう問題ないのよ」「僕ってほら、ちょっと変わってますからねえ。ふふふ」「俺達みたいに若い人はなればいいのになあ」みたいな、醜悪この上ない自慢話になってきたり…。 面白い部分は面白いんですけど、あまりに作りが雑。 対談本なんだから、テーマの設定の仕方とか、持って生き方とか、編集の仕方で、「ここまで酷い本にならなくできるんちゃうか?」と思ってしまいました…。角川ONEテーマ21っていう新書シリーズなのかな…チョット今後、気をつけようっと…。 内田さんも、春日さんも(春日さんの本って読んだことないですが)、初めて読む人がこの本に当たらないことを祈ります(笑)。
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内田樹と春日武彦の対談です。おおむね内田のほうが春日の専門領域にアクセスを図りつつみずからの思想を語っているという印象です。 精神の病に逃げ込むことで「低値安定」してしまう人びとが増えていることへの危惧が語られ、身体に基づく知の衰えを嘆くなど、かなり思いきった発言が飛び交ってい...
内田樹と春日武彦の対談です。おおむね内田のほうが春日の専門領域にアクセスを図りつつみずからの思想を語っているという印象です。 精神の病に逃げ込むことで「低値安定」してしまう人びとが増えていることへの危惧が語られ、身体に基づく知の衰えを嘆くなど、かなり思いきった発言が飛び交っていて、刺激的な議論でした。 春日の著書にはかなり「とんがった」言葉が散見されるのですが、本書ではむしろ内田のラディカルさがストレートに出ている印象です。内田にしてはややバランスを欠いているような気もするのですが、こういう思いきった言葉が聞けるのも、対談本の醍醐味かもしれません。
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内田樹を活字で読んだのは初めてかもしれない。精神科医の春日武彦との対談(というか、春日のあとがきに書かれているように「話に花を咲かせた」、あるいは内田という独特の思想を持った患者を春日が医療面接している、というのが適切か)。話のテーマは色々と移り変わるが、普段から自分がぼんやりと...
内田樹を活字で読んだのは初めてかもしれない。精神科医の春日武彦との対談(というか、春日のあとがきに書かれているように「話に花を咲かせた」、あるいは内田という独特の思想を持った患者を春日が医療面接している、というのが適切か)。話のテーマは色々と移り変わるが、普段から自分がぼんやりと抱いていた思いが言語化されていて「あーそういうことか」と納得する場面が多かった。特によかった節を挙げると、『中腰で待ってみよう』『自ら「変人」の不シールドを張る』『ことばの力は身体感覚を変える』『身体は賢い』、そしてタイトルにもなっている『健全な肉体に狂気は宿る』。 今はどうやっても結論が出ない問題を、明日死ぬかもしれない自分が、今すぐになんとかする必要はなくて、出来る範囲のことをやりつつ変化に対応できる状態で待と、意外となんとかなる。そして、こうなってほしい、と思うことは、具体的にイメージすれば必ず実現の方向に近づく、というあたりは、そのとおりだなぁ、と思った。 もっと読んでみたいお二方である。
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仏文の先生と精神科医の先生の対談集 とくに選んでよんだ本ではないが、それなりには面白かった。 タイトルはなるほどねえって納得。
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内田先生の話は例によって基本的に同じです。 そして、それを求めて今日もまた読んでしまったのです。 対談本はそのテイストが相手によって変わるところが良い点ですね。 春日先生は精神科医なのに患者さんの悪口をばんばん言います。 精神科疾患という診断名をつけて、分け隔てるのとは対極的な...
内田先生の話は例によって基本的に同じです。 そして、それを求めて今日もまた読んでしまったのです。 対談本はそのテイストが相手によって変わるところが良い点ですね。 春日先生は精神科医なのに患者さんの悪口をばんばん言います。 精神科疾患という診断名をつけて、分け隔てるのとは対極的な立場とも言えますかね。 内田先生と対照的な点も多々あり面白かったですが、もうちょっとしゃべってもらいたかったです。 タイトルの「健全な肉体に狂気は宿る」という一節はおもしろいですね。 ユウェナレスが言いたかったのは「健全な精神は健全な肉体に宿れかし」だったかな。 ほんとにそうなんですよね。
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僕の苦手な対談集だから、いくら好きな内田樹作品とはいえ、一度は読みかけてやめてしまってた。でも春日武彦もちょっと気にはなるし…って感じで再挑戦し、結果、やっぱり味わい深かった。こういう対談みたいな場面でも、やっぱり内田樹の存在感ってでかいな、って思ったり、根底に流れる部分がぶれな...
僕の苦手な対談集だから、いくら好きな内田樹作品とはいえ、一度は読みかけてやめてしまってた。でも春日武彦もちょっと気にはなるし…って感じで再挑戦し、結果、やっぱり味わい深かった。こういう対談みたいな場面でも、やっぱり内田樹の存在感ってでかいな、って思ったり、根底に流れる部分がぶれないから心地いいんだな、って思ってみたり。そんな感じでした。
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