冬の標 の商品レビュー
画家として生きていこ…
画家として生きていこうとする女性を待ち受ける厳しい人生。淡々とした感じでした。
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女性が虐げられていた…
女性が虐げられていた封建社会。素晴らしい絵画に魅せられ自分も描きたいと思うがそれさえも女性が故に許されない。20年の歳月を経て情熱を筆に注ぐときがくる。感動的でした。
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平穏を退屈と思うな。無事ほど得難いものはない。古今東西、その通りですね。そして、本当の幸福は、歳月が過ぎてみないと分からないもの。私もそんな気がしています。乙川優三郎「冬の標(しるべ)」、2002.12刊行、2005.12文庫、346頁の大作。江戸時代末期、天保元年(1830年)生まれの末高明代(後の馬島明代、再び末高明代、画号は清秋)の「墨と筆」にかけた一生を描いた作品。明代を通して、男女の仕事の世界、家庭における男女の役割、幕末の勤王と保守の争いなどを描きつつ、凛とした1人の女性を浮き彫りに!
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う〜〜ん、難しい。 主人公の明世。奔放な性格で、絵一筋を目指しながら20年にわたり間島家の嫁としてそれなりに勤め上げる。いっそ、奔放に徹するか、絵を捨てて良妻賢母に徹すれば、もっとスッキリするのでしょうが。むしろ当時のしきたりで言えば悪妻に当たるのでしょう。 ただ、修理との再...
う〜〜ん、難しい。 主人公の明世。奔放な性格で、絵一筋を目指しながら20年にわたり間島家の嫁としてそれなりに勤め上げる。いっそ、奔放に徹するか、絵を捨てて良妻賢母に徹すれば、もっとスッキリするのでしょうが。むしろ当時のしきたりで言えば悪妻に当たるのでしょう。 ただ、修理との再会あたりから、話はグッと盛り上がってきます。秘めたる愛、そして再び大きくなる南画に対する情熱は、最後には。。。。 ストーリー全体としては納得できないところもあるのですが、やはり独特の情緒や、凛冽とした文体などで読ませてくれます。
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今よりももっと女性が不自由な人生を強いられる時代なのに結婚して家に仕えながらも絵への情熱を捨てず、最後まで自由を求めた主人公の明世が素敵でした。 必ずしも全てがうまくいくわけではなく、終盤に哀しい出来事もありますが、それでも前を向くことができる強さが良かった。 全部読み終えて、ふ...
今よりももっと女性が不自由な人生を強いられる時代なのに結婚して家に仕えながらも絵への情熱を捨てず、最後まで自由を求めた主人公の明世が素敵でした。 必ずしも全てがうまくいくわけではなく、終盤に哀しい出来事もありますが、それでも前を向くことができる強さが良かった。 全部読み終えて、ふと、表紙を見ると2羽の鴉の絵……この表紙は、作中の文章からだったのかと、しんみりとしました。 初読みの作者さんでしたが、しっとりとした筆致で、物語の中にぐいぐい引きこまれました。 他の作品も読んでみようと思います。
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この本は、幕末の動乱を背景にしながら、絵の世界に生きようとする武家の娘の半生を描いた時代小説です。 乙川さんの文章は、情景がすっと頭の中に浮かんでくる。天才的な文章力です。 この人の小説を読んだ後はどんな作家さんの文章もあっさりしすぎて物足りなく、また時には幼稚に感じたりも...
この本は、幕末の動乱を背景にしながら、絵の世界に生きようとする武家の娘の半生を描いた時代小説です。 乙川さんの文章は、情景がすっと頭の中に浮かんでくる。天才的な文章力です。 この人の小説を読んだ後はどんな作家さんの文章もあっさりしすぎて物足りなく、また時には幼稚に感じたりもしてしまいます。 乙川優三郎、恐るべし! 川の流れのようにゆったりとした時間を味わい尽くさせていただきました。そして、幸せとはいえない結末でありながら少し癒されました。 「丁寧」の絵が観たい。。
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新聞に連載されていた時から、ずっと楽しみに読んでいた作品です。幕末の小藩に生まれた末高明世は、南画に魅せられ、画家を志した。だがこの時代、武家の娘は親に逆らい画家になることは許されず、明世は不本意な結婚を強いられる。しかし、年月が流れても、明世の胸には絵に対する変わらない情熱があ...
新聞に連載されていた時から、ずっと楽しみに読んでいた作品です。幕末の小藩に生まれた末高明世は、南画に魅せられ、画家を志した。だがこの時代、武家の娘は親に逆らい画家になることは許されず、明世は不本意な結婚を強いられる。しかし、年月が流れても、明世の胸には絵に対する変わらない情熱があった。明世が絵を描くシーンがとてもいい。姑との会話も、忘れがたく、何度も読み返した。
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江戸末期に生きる比較的裕福な武士の家に生まれた女性が主人公。何をするにも家人の許しが必要で、 女子として夢を貫き生きていくには辛い時代。画家志望であったが自分の意思とは関係なく家を守り続ける。しかし愛する人を次々と亡くし家も没落。しかしどんなドン底にあっても生きる希望を捨てずに夢...
江戸末期に生きる比較的裕福な武士の家に生まれた女性が主人公。何をするにも家人の許しが必要で、 女子として夢を貫き生きていくには辛い時代。画家志望であったが自分の意思とは関係なく家を守り続ける。しかし愛する人を次々と亡くし家も没落。しかしどんなドン底にあっても生きる希望を捨てずに夢を追い続ける姿に気持ちがほんわり温かくなります。文中のフレーズ「一枚の白紙の上には無限に思われる心の自由があり身分も男女の別もない世界が広がっている。」絵心ないが今度トライしようかな‥。
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祖母に薦められ、初めて乙川さんの作品を読みました。 しっとりした最後に、主人公の絵に対する熱意を感じました。 途中、涙が止まらなかったです…。 乙川さんの、他の作品も読んでみたいです♪
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武家の娘明世は絵の道に生きたいと願うが、父・夫・姑へ仕えることを強いられてきた。心の頼りであった男を亡くした末、世間の仕来りに縛られることをやめ、絵とともに自由に生きる決意をする。 十代から三十代後半にいたるまでの、一人の女性の凄まじい苦悩と情熱が丹念に描かれ胸に迫る。周辺人物も魅力的で、恬淡とした境地にいる画家葦秋や、固陋な姑そでが、対照的に主人公の心情を際立たせる。 南画という馴染みの薄いモティーフだが、絵を描くことの喜びや苦しみが生き生きと描かれ、主人公の情熱を読者が共有できる。また、絵が明世・陽次郎・平吉の性格を象徴しており、とくに「丁寧」と題した絵の娘の清さと脆さが主人公に重なり印象的である。 大政奉還前の激しく揺れ動く時代もまた、主人公の先行きの見えない人生を象徴しているようだ。 磨き抜かれた芳醇な文章をじっくり味わいたい。『生きる』以上の名作だと思う。
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