キリスト教帝国アメリカ の商品レビュー
要するに、アメリカって国は46%がた「福音派」を自認する人たちの国であると。連中、やたら布教に熱心で、政治への影響力も強いと。(なんか某学会のようっすね) 『レフトビハインド』とかいう『ヘルメス/愛は風の如く』まがいの小説が4千万部も売れてて、ブッシュはこの主人公になりきりちゃ...
要するに、アメリカって国は46%がた「福音派」を自認する人たちの国であると。連中、やたら布教に熱心で、政治への影響力も強いと。(なんか某学会のようっすね) 『レフトビハインド』とかいう『ヘルメス/愛は風の如く』まがいの小説が4千万部も売れてて、ブッシュはこの主人公になりきりちゃんかもと。ブッシュ再選後のアメリカはただの「帝国」じゃなくて「キリスト教帝国」であり、自分と自国を神意を行う預言者だと思ってて、神様がついてるんだからオレサマが正しいのはあたりまえだと思ってると。ブッシュの側近も、そーいうヤツばっかだと。まぁ、そういう本。 もちっとまじめに書くと。なぜアメリカは、中東にまで軍隊を派遣して、イラクを叩かなければならなかったのか。なんでアメリカは世界のすみずみにまで自分の正義をおしつけようとするのか。どうしてユダヤ人をバカにしながらイスラエルを支持するのか。そういう疑問に対して「キリスト教帝国」という補助線をもって理解をしようというのが本書。「ブッシュの当選あーんど再選が、宗教右派の力によるモノだという報道は目にしたし、漠然とそう思っていたんだけど、中身はよう知らん」というオレにはぴったりだった。米国のいろんな新聞・雑誌記事、論文などを参照しつつ、ブッシュの信仰が政策にどのように影響しているかに迫っている。 もちろん全編に著者の危機意識がただよっているが、アメリカ人の46%をしめるという「福音派」や「ボーンアゲイン」と、宗教右派やキリスト教原理主義者はいちおう区別している。ただ、ブッシュがそういう保守的キリスト教という基盤をうまく利用して再選を果たしたことはたしかだし、ブッシュの外交・戦争の戦略そのものがただの覇権主義ではなく「神」を持ち込んだものになっていることは疑い得ない。アメリカ政界に宗教右派が築いた地盤は大きく、今後もアメリカの出方をうかがうためには、この背景を考慮に入れるべきだというのは、肯ける。
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1月1日読了。アメリカ大統領たるブッシュ氏と彼の支持層であるネオコン、福音派の思想の偏向と、現状を生み出すに至ったアメリカの宗教性について述べる。とても面白い。「自分は神の代理人であり、自分の言説は神において正しい」と言い切ってしまう大統領と、それを熱狂的に支持する大衆があれば、...
1月1日読了。アメリカ大統領たるブッシュ氏と彼の支持層であるネオコン、福音派の思想の偏向と、現状を生み出すに至ったアメリカの宗教性について述べる。とても面白い。「自分は神の代理人であり、自分の言説は神において正しい」と言い切ってしまう大統領と、それを熱狂的に支持する大衆があれば、そこにはどんな批判の言葉も意味を成さないのではないか・・・?どんな人であっても、自己批判する視点を持たなければならないのだろう。ブッシュ個人の資質とかキリスト教とかネオコンとかアメリカ国民の国民性とか、どこにも「悪」があるわけではないのだが結果的に世界にとって非常な危険をもたらしている、ということなのか。「ヒットラーが出現したときも、誰も彼を危険だとは思わなかった」というくだりにそこはかとない恐怖を覚える・・・。
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