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砂漠の船 の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2022/12/21

鬱々となる要素がてんこ盛りだが、決して荒唐無稽でないリアルな閉塞感と地域や時代の閉鎖性が、じわりと読む心を蝕む。

Posted byブクログ

2017/08/30
  • ネタバレ

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篠田節子は日本のちっちゃい男を描くのが本当に巧い!!!! 男の鈍感さ、知りたくないことから平気で目をそむける神経の図太さが良く書かれている。 地域に根差した暮らしをしたいと言って自分は通勤20分なのに対して妻の通勤時間は一時間越え、にも関わらず家事も一切しなければ病気の妻に夕飯を作らせてたこともあるなんて物語後半で明かされて唖然…。なのに離婚はおかしいと言い張る、死ぬまで黙って俺の面倒を見ろって意味でしょコレ…。 家族のためにと言いながら家族の意見を聞こうとしない、自分の考えを押し通すだけ。それも自分の人生をただ肯定するだけの内容。そりゃあ最終的に独りになるわ~~~。

Posted byブクログ

2013/04/02
  • ネタバレ

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東京砂漠に何の船がいるのだろう。 家を大切にするつもりが、負の螺旋階段を滑り落ちるような物語。 警察にやっかいになったぐらいで落ち込んでは駄目だという話。 参考文献 定本 村の女は眠れない―草野比佐男詩集 草野 比佐男 梨の木舎(2004/04) 値段:¥ 1,680 出稼ぎの社会学 (1978年) (比較思想・文化叢書) 山下 雄三 国書刊行会(1978/07) 値段:¥ 2,310 日本の“村”再考―くたばれ近代化農政 (現代教養文庫―ベスト・ノンフィクション) 山下 惣一 社会思想社(1992/12) 値段:¥ 571 単身赴任―家庭と職業のはざまで (いま家族を問う) 有斐閣(1991/03) 値段:¥ 1,575 「家族」と「幸福」の戦後史 (講談社現代新書) 三浦 展 講談社(1999/12/20) 値段:¥ 798 ワークスタイルの多様化と生活設計に関する調査 生活保険センター おたく少女の経済学―コミックマーケットに群がる少女達 (広済堂ブックス) 荷宮 和子 廣済堂出版(1995/01) 値段:¥ 866 よくわかる運輸業界 (最新 業界の常識) 斉藤 実 日本実業出版社(1999/01) 値段:¥ 1,365 <この稿は書きかけです。順次追記します。> twitter @kaizen_nagoya 改善日誌(researcmap) 改善の本棚(booklog) 改善日誌(ameba)

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2018/03/10

なぜ篠田節子が面白いのか? それは主人公の立っている位置が どんどんと崩れていく ところに 面白さがあるのだろう。 崩れ落ちていこうとする  主人公に踏み込んで 主人公は なぜなんだ。 オレは 何にも悪いことをしていないはずだ… なんて 思うんですね。 でも 自分の生き方が...

なぜ篠田節子が面白いのか? それは主人公の立っている位置が どんどんと崩れていく ところに 面白さがあるのだろう。 崩れ落ちていこうとする  主人公に踏み込んで 主人公は なぜなんだ。 オレは 何にも悪いことをしていないはずだ… なんて 思うんですね。 でも 自分の生き方が ヒトに迷惑を かけるっていうことが いつもあることを 気がつかない。 自分はいつも正しいことをしている と思い込んでいる。 この主人公 卓郎 は なぜ 奥さんと話をしないだろう。 決めつけてしまう場合が多いが・・・ 息が詰まるなぁ。 卓郎は 一つの枠にとらわれていて 枠の中に 押し込めようとする 愚かさがある。 祖母 母 卓郎と嫁 娘 と 四代にわたる オンナの物語 になっている。 祖母は 田舎のかたくな 因習の中で 生活し それを不思議とも思わない・・・ リンゴの漬物 サツマイモ(本来ならば ジャガイモ) などを 囲炉裏を前にして かじる。 生活の中心が そこにはある。 嫁いできた 母・・・・ 村の因習に対する行き詰った空気 自由に話もできない 着飾ることもできない。 出稼ぎに出て どんなに苦しい仕事であってもこなし そして 自由にふるまい 服も派手なものをきることが できる・・・そのことの自由さを味わう。 都会の楽しさを知ることで 田舎がさらに厳しい状況を知る。 息の詰まるような 生活に 母は自らの命を 32歳で断つ。 そこに生まれた 卓郎 は 父親に 都会に行け と言われるが 自分は 田舎の生活に 憧憬がある。 家族だんらんの生活ができたら なんて楽しいだろう という 強い願望が その中にある。 おばあちゃんの生活が 家族だと思っている。 妻は卓郎の意見に逆らいながらも 従う。 チャンスがあったときにも そのチャンスを逃す。 卓郎は それは チャンス ではなく 使い捨てだ と思っている。あくまでも 地域に根差した生き方が 本来のニンゲンの生き方だと思う。 常にステップアップしたいと思う妻・・・ パソコンも学ぼうとする。 海外の派遣の仕事も 断らざるを得なくなる。 そして 娘は 普通を常に装っているが その中に秘められた才能が 開花するまえに つむぎ取られようとするが… 世の中は その才能を きちんと見ていた。 物語は 娘の自立で 大きく家庭が変化していく。 妻も娘も その中より飛び出したい。 それは 現代の イプセンの 人形の家 のような物語ではないかと思った。 専業主婦ではなく 共働きにしたのが 物語を 確実なものにするが・・・ どうも おカネが 回っていないのは 不思議だ…子供は 公立 ばかり行っているので。 家族が崩れるのは 経済的な問題が一番大きく その次が 異性問題ということなのだが どうも コドモ というのも  大きな問題になるんですね。 じっくり読んで 救い難い 現実。 真面目に生きるって あまりにもツライ。

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2012/06/15

小説。子供時代の経験から、理想の家族像をかたくなに信じ、妻や娘にもそれを押しつける男性が主人公。いくつもあった分岐点で、自分の意見を嫌がる家族に泣く泣く呑ませ、一種洗脳のような幸せ論を展開する意固地な主人公に歯がゆくなる。結果が良ければありがとう、となるが、こんなはずじゃなかった...

小説。子供時代の経験から、理想の家族像をかたくなに信じ、妻や娘にもそれを押しつける男性が主人公。いくつもあった分岐点で、自分の意見を嫌がる家族に泣く泣く呑ませ、一種洗脳のような幸せ論を展開する意固地な主人公に歯がゆくなる。結果が良ければありがとう、となるが、こんなはずじゃなかった、という結末に妻や娘の絶望感が切ない。まるで手探りで脱皮していくかの妻と娘とは対照に、自分の理論に主人公自身も翻弄されていく。序盤に絡むミステリーも最後まで引っ張ってくれる。

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2012/03/12
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すごくよかった。篠田さん、さすがですね。 いろんな世代の、いろんな人から通して見える 心の風景を描ききっている。 主人公の男性の、どこまでいっても 閉じたままの意識… そうか、男性から見ると、 こういう心象風景が見えるのかと思いました。 奥さんの、 未来に向かって開いていく様子は、 きっと男の人にとっては永遠の謎だろうし、 つらいところかもしれない。 でも、これが女なのです。 家族って、こういう形でいいと思う。 絵に描いた理想とは違っても、 理想にこだわれば、苦しみも生まれる。 それより、 ラストに主人公がたどりついた境地のように、 流れていけば、また自然に流れが 合流する地点も出てくる。 そのとき、お互い、笑顔で会えるように、 それぞれの道で 自分の芯に近づく何かを見つけていくことですよね。 その兆しをちゃんと掴みかけている この男性は、やっぱり ステキなお父さんです。 いつかきっと、茜ちゃんとも笑って話せる日が くるよ。

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2012/02/23

絶望のなかにもキラリと小さな小さな新しい世界への希望があるようなラストが感動的だった。 結婚以来ずっと共働き、1人娘、公立高校、団地住まいなのに、美大進学の話がでたときに「そんな余裕はない」というのはおかしいなあ、と思ってしまった。

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2009/10/04

団地と会社、家族がテーマ、作品全体が暗い感じがするのは主人公の子供の頃の話がちりばめられているからでしょうか。でも話のつくりがうまくて引き込まれました。

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2009/10/04

あらすじは、東京郊外に住む高学歴夫婦一家の話なんだけど、その中には現代における問題が織り込まれてて、家庭、地域・近所付合い、子育て、職場・・と、あまりどこにでもあったら困るけどありそうな話でした。 普通を意識するあまり問題勃発、みたいなありがちな話しに、読んでてちょっとげんなり...

あらすじは、東京郊外に住む高学歴夫婦一家の話なんだけど、その中には現代における問題が織り込まれてて、家庭、地域・近所付合い、子育て、職場・・と、あまりどこにでもあったら困るけどありそうな話でした。 普通を意識するあまり問題勃発、みたいなありがちな話しに、読んでてちょっとげんなりする部分もあり、遅読になってしまいました。 私は途中で読書を投げ出さず、どんな本でも読了するのだけど、大好きな篠田作品の中では高い位置には上がらないテーマだったかも・・・・^_^;

Posted byブクログ

2009/10/04

人と人との繋がり、地域のコミュニティー、家族の繋がり、主人公の中年男性が大切だと思い信じてきたもの、守ってきたが、幻想だったと思い知らされる。相変わらず淡々とした文体だが、面白かった。

Posted byブクログ