小説の終焉 の商品レビュー
編集者から文芸評論家…
編集者から文芸評論家に転身、日本で小説を一番多く読んでいる一人だと自認する著者による、二葉亭四迷から現在までの120年間の近代日本文学案内。小説が生き延びるには、まったくあたらしい小説の世界が生み出されなければならない。作家の私生活も詳しく書いてあり興味深い。
文庫OFF
明治以降の小説を、項目毎に関連のある作品をいくつかあげて、解釈している本。 項目の関連もないしなぜ総合して「終焉」という結論に行き着くのか疑問。本のあらすじ説明と引用も今ひとつ統一感がないような。 「終焉」「考え尽くされた」等というけど、まだ新たな境地が開けるかもしれないし。 ...
明治以降の小説を、項目毎に関連のある作品をいくつかあげて、解釈している本。 項目の関連もないしなぜ総合して「終焉」という結論に行き着くのか疑問。本のあらすじ説明と引用も今ひとつ統一感がないような。 「終焉」「考え尽くされた」等というけど、まだ新たな境地が開けるかもしれないし。 ただ、沢山本は読まなきゃなー
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近代日本文学が扱ってきた「私」「家」「性」「戦争」「革命」などのさまざまなテーマの変容を、それらのテーマの「終焉」というキーワードでまとめたエッセイ集。近代日本文学の概観として教科書的に読むことができる。教科書としてなら★3つ。 著者は、近代の日本文学は「私」「家」「性」などの...
近代日本文学が扱ってきた「私」「家」「性」「戦争」「革命」などのさまざまなテーマの変容を、それらのテーマの「終焉」というキーワードでまとめたエッセイ集。近代日本文学の概観として教科書的に読むことができる。教科書としてなら★3つ。 著者は、近代の日本文学は「私」「家」「性」などのテーマを描き、それらを究めたときには、日本人の中から明確な「私」「家」「性」などが消えていたと述べる。もちろん、それぞれのテーマで「終焉」の意味は異なっているのだろう。だがそのために、本書全体を通底しているはずの「終焉」の意味がぼやけてしまっているような印象を受けてしまう。とはいえ、著者のいう「終焉」の意味を理解するための手がかりがないわけではない。それが「村上春樹の終焉」というタイトルが付された章だ。 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「私」の意識の核には、「世界の終り」が埋め込まれている。「世界の終り」とは壁に囲まれた出口のない世界であり、そこで「僕」は「私は私であること」、つまり埴谷雄高のいう「自同律の不快」から自由になることによって、はじめて一人前の人間として受け入れられる。「ワンダーランド」に住む「私」が世界から消え去って「世界の終り」に完全に囲い込まれることで、この物語は終わる。 著者は、この「世界の終り」の「僕」の癒しと救いが、『海辺のカフカ』のテーマだったと述べる。佐伯さんは十五歳の自分と恋人をそのまま封印し、二人はすべてが完結している円の中で生きていた。だが時代は移り、円はあちこちでほころびてしまった。佐伯さんは「入口の石」を開くことで恋人を失い、以後はどこにも通じていない長い廊下を歩き続けることになった。主人公田村カフカは、この石を閉じるために遣わされたのである。彼は、十五歳の佐伯さんがいる、意識即存在が約束されている場所に到達するが、元の世界に戻るようにすすめる佐伯さんにしたがって現実の世界へと戻ることになる。これが、「世界の終り」の「僕」の救済の物語である。しかも著者は、こうして「僕」が到達した場所は、村上の出発点である『風の歌を聴け』の世界だと解釈している。 『風の歌を聴け』の村上は、近代日本文学にとってラディカルなテーマだった「私」や「存在」などが〈何もない〉立脚点を取ることで、かえって日本文学にラディカルな問題を投げかけていた。だが、彼がそうした道のりを30年にわたって歩み通した結果、小説はラディカルな問題が扱われるような場所ではなくなってしまい、私たちはほんとうに〈何もない〉場所に立たされることになったのである。それは、日本文学の「異端」であった村上が、「正当なき時代の正当」になることである。著者のいう近代日本文学の「終焉」とは、こうした事態を意味していると考えられる。
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日本近代文学の流れを、主題と作家ごとにさらっと振り返る一冊。日本の近代文学はどういう問題意識で書かれていたのか。そこから未来の作家が学べることは何だろうか。そういう意識をもって読むと、興味深いかもしれない。さほど真新しい視点があるわけではないけれど、近代文学の歴史をさらっと整理で...
日本近代文学の流れを、主題と作家ごとにさらっと振り返る一冊。日本の近代文学はどういう問題意識で書かれていたのか。そこから未来の作家が学べることは何だろうか。そういう意識をもって読むと、興味深いかもしれない。さほど真新しい視点があるわけではないけれど、近代文学の歴史をさらっと整理できた感がある。
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小説として、挙げられる作品は、ほぼすべてが明治から昭和のもの 作者によれば、「平成の16年間で歴史に残る作品は皆無」だからだ。
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