残虐記 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この人の小説を読むとこういう気分になることがよくあるのだが、終始いやな重苦しさにつきまとわれた作品だった。 作家が失踪、残したメモに、自分が25年前の少女監禁事件の被害者だったという事実が書かれていた、果たして…という話なのだが、どうしても実際にあった長期の少女監禁事件を思い出してしまい、とても不愉快だった。 ストーリーの中で、被害者の助け出された後の周囲の無理解、好奇心による二重の被害について強く描かれていて、すごく重大な問題だし考えなければならないことなのだが、でもだからこそ、実際にいろいろな事件で被害にあった方々にはまさにそれが真実であったろうことが思われて、本当にやるせなかった。 特に、主人公の手記の最後に明かされた「ケンジを好きになったのだ、愛し合っていたのだ」という事実については、ともすると実際の事件もそうだったのではと思わされてしまいそうで、何と言ったらいいか、我慢ならなかった。そういうストーリーにした著者を許せないと思ってしまった。 そこまでの想像力をかきたてられてしまうほどの著者の筆力、ということなのだとは思うが。 最後の夫の手紙で、実は自分が宮坂だということが明かされるのだが、そのことも物語の途中で予測がついてしまい、あまり驚きにはならなかった。 とにかく、なんだか怒りにも似た、嫌な気分で読み終えた作品だった。
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タイトルが怖いので今まで手にも取りませんでしたが、図書館で目に付いたので借りてみました。 娘を持つ身としては、もし自分の子がこんな目にあったら……と思うと、本を閉じてしまいたくなるような内容でした。
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昨日美容院で桐野さんの連載をVERYで見かけ、不快だけれど快い桐野さんの本でグロテスク以降の本を図書館で借りる事に。ここまでの事件性を有さず、日常の狂気的な本が好みだな。
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小学4年に誘拐され一年間監禁された少女が 当時明かすことがなかった真実(なのかは不明)を 作家になり、三十五歳になって文字にした。 言葉というものの不思議さをとても彩り豊かに感じた。 性的描写が点在するも、エロさよりも恐怖が勝る。 真実というものは、結局はどこにも存在しないので...
小学4年に誘拐され一年間監禁された少女が 当時明かすことがなかった真実(なのかは不明)を 作家になり、三十五歳になって文字にした。 言葉というものの不思議さをとても彩り豊かに感じた。 性的描写が点在するも、エロさよりも恐怖が勝る。 真実というものは、結局はどこにも存在しないのではないか。 そう思わせる作品でした。
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この人の話を初めて読んだ。 こういう事もありうるだろうと思わせる筆力。 少女時代に誘拐された主人公。 長じてのち小説家となり、過去の事件を書きとどめたという形の内容。 高校生の時に書いた処女作品が、実は事件の真相であったとだんだんわかるようになっている。 事件の事を...
この人の話を初めて読んだ。 こういう事もありうるだろうと思わせる筆力。 少女時代に誘拐された主人公。 長じてのち小説家となり、過去の事件を書きとどめたという形の内容。 高校生の時に書いた処女作品が、実は事件の真相であったとだんだんわかるようになっている。 事件の事を忘れさせようとする周囲に違和感を感じ、事件に心捉われるままに生きてきた主人公。 真に残虐だったのは誰だったのか、読み手に対しての問いかけが聞こえるようだった。
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題名からもっと凄まじい話をそうぞうしていたが、意外と普通。 強かな10歳の女の子の誘拐、監禁の体験談。 設定が小説家が自分の体験した事件を振り返り、検証、考察となっていて、どうとでも書ける状況のせいかあやふやな部分や、明らかに理不尽な箇所がある。 表面をサラ~って撫でている感じ。
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お話の中で出てきた謎は、お話の中できっちり答えを提示してくれる方が好きだとこの本を読んで気がついた。 そういう意味で言えばなんともこう、もやもやする話。 創作だから、嘘かもしれないし本当かもしれない。 何を信じて良いのやら。 女性目線のなまなましい描写がちょっと苦手なんだけど...
お話の中で出てきた謎は、お話の中できっちり答えを提示してくれる方が好きだとこの本を読んで気がついた。 そういう意味で言えばなんともこう、もやもやする話。 創作だから、嘘かもしれないし本当かもしれない。 何を信じて良いのやら。 女性目線のなまなましい描写がちょっと苦手なんだけど、それ以上にこの主人公の子は怖い。 ひねくれてひねくれて、そんなんじゃ生きてくの辛いだろうなと思ってしまう。 誘拐から無事に帰ってこれても、周りとの違和感がひどく切なくて現実感があって辛い。 ああ、確かに人生ってそう簡単にはいかないんだろうなあと思う。 これは創作で、彼女自身の考えは作中に出てこないからどうとでも解釈できる。 後味の悪い話。
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本当に残虐で、読後は膝をついてうなだれる気分。何が本当で何が嘘なのか(お話なんで全部嘘なんですが)わからなくなり、よくわからないが救いを求めたくなる。
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新聞の広告で発売日にサイン会をやると言うのを見て予約した一冊。 桐野夏生さんの本が好きでどんな本を書く人なのかもの凄く興味があって行ってみたら、すごく細くて白くてなんとなく雰囲気は松雪さんのような感じでした。 本は実際にあった事件を元に書かれたもので桐野作品にありがちなタイトルど...
新聞の広告で発売日にサイン会をやると言うのを見て予約した一冊。 桐野夏生さんの本が好きでどんな本を書く人なのかもの凄く興味があって行ってみたら、すごく細くて白くてなんとなく雰囲気は松雪さんのような感じでした。 本は実際にあった事件を元に書かれたもので桐野作品にありがちなタイトルどおり重い内容。一部の桐野作品に言えると思うが、コンディションのいい時に読んだ方がいい1冊。
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内容(「BOOK」データベースより) 失踪した作家が残した原稿。そこには、二十五年前の少女誘拐・監禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。最近出所した犯人からの手紙によって、自ら封印してきたその日々の記憶が、奔流のように溢れ出したのだ。誘拐犯と被害者だけが...
内容(「BOOK」データベースより) 失踪した作家が残した原稿。そこには、二十五年前の少女誘拐・監禁事件の、自分が被害者であったという驚くべき事実が記してあった。最近出所した犯人からの手紙によって、自ら封印してきたその日々の記憶が、奔流のように溢れ出したのだ。誘拐犯と被害者だけが知る「真実」とは…。
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