藁の楯 の商品レビュー

木内一裕(著者)

2012/04/20

難しいなーっと思った。内容がではなく、評価が。

好きか嫌いかと聞かれたら「好きじゃない」と答えざるを得ない。つまり簡単に好き／嫌いで割り切れない納得できない本です。

前提は、そりゃ無理がある。無理な前提は小説では言いっこなし。その仮想現実でどれだけ楽しむかだから。

ただ、主人公が中途半端。正義でも悪でもない。死んだ奥さんが天国で見ていて、それに恥じないようしようとする心掛けも理解できる。身近な人の死は、それからの人生も死んだ人と常に生活しているようなものだから、規律を正して生きて行くようになってしまうのも理解できる。

ただ、同僚を疑ってまで、任務を遂行するだろうか？　規律正しく生きて行くしかできない人が、同僚を疑う行為をすることが出来るのか？　それは天国の奥さんに顔向けできない疾しい事に繋がり、天国の奥さんと共に生きる主人公には、許せない行為であるはずなのに？？？

そういうトコが中途半端。主人公にとって奥さん中心に物事を考えるのは、生きて行く為の精神安定剤。なのに自らその安定剤の根本を覆すのがおかしい。と、いうところに、作者の思考の浅さを感じる。

2011/08/27

浅い！

プロットも浅い、展開も早過ぎて各場面が浅い、表現力も浅い。正直、小生が今サスペンス書いても、これくらいは書けるんじゃ無いかと錯覚するくらい、浅いんです（←言い過ぎです）。そんな中、作者の知識が深い“銃器”や“警察組織に”対する記述だけは詳しく、バランスが悪い。

でも、これが困ったことに、意外と面白いのです。

なぜ面白いのかは結局分かっていません。リアルな世界とのリンク感（交通手段や土地）なのか、ある意味では大胆と言えなくも無い“10億円の懸賞金が賭けられた非道な犯罪者を守る警官”というプロットなのか。

納得いかない心理描写やどんでん返しを目指して成立しきっていないラストとか、ホント、いろいろ不満はあるのに、面白いと思ってしまっているこの自分の中の理不尽さに、★３つを捧げたいと思います。小説に、豊富な表現力や緻密なプロットを求める人にはオススメしませんが、ジェットコースター的な展開に楽しみを覚える人には、良いかもしれません。

（2005年読了）

2010/05/24

主人公の葛藤がものすごい。ストーリーとしてはとても面白かったですが、内容が暗いので、この手の話に慣れていないひとはきついかもしれません。

ブログはこちら。
http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/2692745.html

2009/10/04

少女を惨殺した犯人。彼に１０億円の懸賞金が付きます。たまたまその少女が大富豪の孫だったのです。一般の人、警察関係者、医療関係者、全てから命を狙われた犯人を守るためにＳＰ５人がつけられます。守る価値のない男を守らざる得なくなったＳＰたちの話です。
被害者の気持ちが無視された現状、犯人に対する憎しみは読むほうにも伝わってきます。本当にひどい犯罪です。どうして守らなくてはならないのか？問いかけられたような気がします。テンポもよく一気に読んでしまいます。
この懸賞金の話を持ち込んだサライヤは印象的です。また別の話でも登場してもらいたいな。

2009/10/09

和製「SWAT」は禁句ですかそうですか。重苦しいテーマなのに読みごたえが軽いというのはどうなんでしょうか。着想は好みですがストーリー、描写共にもっと濃ゆいものを期待していたためになんというか残念。