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スペシャリストの帽子 の商品レビュー

3.5

12件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2024/05/20

スペシャリストの帽子 いわゆる幻想小説です。多くの賞を取っているので興味があって手に取りましたが、ほとんど詩の世界だと思いました。もう少しストーリー性があると思っていたので、ちょっとがっかりです。 時間もなかったので、途中で断念してしまいました。私としてはほんとうに珍しいくら...

スペシャリストの帽子 いわゆる幻想小説です。多くの賞を取っているので興味があって手に取りましたが、ほとんど詩の世界だと思いました。もう少しストーリー性があると思っていたので、ちょっとがっかりです。 時間もなかったので、途中で断念してしまいました。私としてはほんとうに珍しいくらい肌に合わない作品でした。 きっと、英文のもとの文章は韻を踏んでいたりして美しい文章なんだろうなあと想像していますが。 竹蔵

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2022/08/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

裏表紙の解説から引用すると、「米ファンタジイ界最注目作家が軽妙なユーモアにのせて贈る第一短編集」とのことなのだが、ここまで意味の分からない、それなりに理解できるオチが待っているわけでもない小説を読んだのは、過去30年の読書歴を振り返ってみても記憶になく、かなり戸惑った読書体験となった。というか、もう中盤以降は1ページ30秒ぐらいで読み飛ばしていった。読み飛ばしてもじっくり読んでも、結局、読後感は変わらないということに途中で気づいたので。 いみじくも巻末の解説で、この「奇妙な読書体験、読後感」の原因が、こちらは解説らしくしっかりと明瞭な言葉で分析されている。 解説しているアメリカ文学者の柴田元幸氏によると、「言ってみれば、どこかで聞いたり見たり読んだりした、おとぎばなし、恐怖映画、少年少女小説等々の断片を頭のなかで混ぜあわせて、そこからどんどん妄想を膨らませていった結果が作品になっているような感じ」(P.453)で、そのため「ケリー・リンクを一読して「何だかよくわからないなあ」と思っても落胆することはありません。この訳のわからなさは、夢のわからなさです」(P.454)と続けてくれることで、ようやく救われた気持ちになる。そうか、自分はこの著者の空想、妄想、夢物語に付き合わされただけなんだな、ということで納得できる。 とはいえ、そういった読書体験をしたいと思うか、そういった読書に時間を費やしたいと思うかというと、これは個人により考え方に差があるわけで。 自分は、最後に向けて伏線が回収されていったり、何気ないところにオチに向けた大きなヒントが隠されていたりするミステリーや推理小説が好きなので、この手の小説は全く趣味に合わず、評価は星2にした。曖昧模糊とした五里霧中の世界に没入して、現世から隔離されるような読書体験をしたい人なら、きっと楽しめるジャンルなのだろう。

Posted byブクログ

2021/11/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・カーネーション、リリー、リリー、ローズ ・黒犬の背に水 ・スペシャリストの帽子 ・飛行訓練 ・雪の女王と旅して ・人間消滅 ・生存者の舞踏会、あるいはドナー・パーティー ・靴と結婚 ・私の友人はたいてい三分の二が水でできている ・ルイーズのゴースト ・少女探偵 これは! 読者を選ぶ本だと思う。 ファンタジーにもほどがあるというか、ストーリーと言えるストーリーはほぼない。 つまり、起承転結が。 読後感は、ほぼ悪い。または、置いてきぼり。 何をどう解釈しようと思っても私の力量では無理なので、ただそのまま受け入れることにした。 ただ、いくつかの作品は通奏低音として童話や児童文学が使われていて、それが面白かったな。 少女が魔法にかけられた王子を助けるため、艱難辛苦を乗り越えるような童話が多いけど、王子はそれほどの苦労をしてまで助けるほどの人間?という雪の女王の問いには、改めて目から鱗が落ちる気がした。 たしかにディズニーに出てくる王子はあからさまに馬鹿っぽいよね。 最初はホラー系ファンタジーなのかなと思って読んでいたのだけれど、怖かったのはいろいろと正体不明のせいだと思った。 わけがわからないものは恐ろしい。 わからないなりに受け入れると、それほど怖くはなくなった。 つまり、拒絶すればするほど怖いのかもしれない。 初めてのタイプの作家でした。

Posted byブクログ

2020/04/19

毎夜図書館の閉架書庫に忍びこむ女の子。レンタカーで旅行中に出会った女の子。おとぎ話のなかの、ティーンズノベルのなかの女の子。地球の真裏からやってきた、不思議な力をもつ女の子。同じ名前のふたりの女の子。現実逃避のための会話を続けていたら本当に現実から遠ざかってしまったような、〈アン...

毎夜図書館の閉架書庫に忍びこむ女の子。レンタカーで旅行中に出会った女の子。おとぎ話のなかの、ティーンズノベルのなかの女の子。地球の真裏からやってきた、不思議な力をもつ女の子。同じ名前のふたりの女の子。現実逃避のための会話を続けていたら本当に現実から遠ざかってしまったような、〈アンダーワールド〉への入り口を通り越した女の子たちの物語が十一篇収録された短篇集。 ケリー・リンクははじめて読んだけど、ずっとティーネイジャー向けの作家だという偏見を持っていた。主要なテーマに十代のセックスと望まぬ妊娠があるようなので、その見方も半分は当たっていたのだろう。けれどもう半分は違った。この人は世の男性作家がもてあそぶのとは全く異なる意味での〈永遠の少女性〉を追い求めているという気がする。 自分の大学の同級生と浮気して、実家で飼っていた愛猫を轢き殺した夫を、猫の毛を思わせる海に囲まれた〈天国〉に閉じ込めたり(「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」)、素性の知れないベビーシッターと上手に死人のふりをするゲームをしたり(「スペシャリストの帽子」)、予約でいっぱいのはずのホテルで強引に部屋を取り、あっという間に支配人と親しくなったり(「生存者の舞踏会〜」)。ここに出てくる〈女の子〉たちの年齢はさまざまだが、みんながみんな怪物のような〈少女性〉を抱えている。 特に「人間消滅」と「ルイーズのゴースト」における同性間の執着の描き方は素晴らしい。「人間消滅」のヒルディーが自分の家族の問題から逃避し、ジェニー・ローズの超能力をひたむきに信じる様は、ジーン・ウルフの「デス博士の島その他の物語」にも近く感じた。「ルイーズのゴースト」は友情と性愛の分かち難さ、あるいは、親友として唯一無二だった関係に〈娘〉という存在が入りこんでしまった、女性だけの奇妙な三角関係と言うべきか。語り手のルイーズはアンナの母であるルイーズの恋人を寝取ったことに負い目を感じるが、そもそも正しい相手もかつて彼女の恋人だったわけで、その裏切りに重大な意味はない。アンナに嫉妬するルイーズに、自分と同じく子どもをもうけてほしいと願う、女性同士ならではの呪縛のかけ方が重要なのだ。葬儀の場面から出会いの場面に移って終わるこの幕切れは、同性間の執着を描いた小説として完璧だと思う。 また、特有のユーモアも面白い。「靴と結婚」に出てくる、宇宙人だらけのミス・アメリカ・コンテストや、「私の友人は〜」のブロンド美女描写には笑った。アンデルセンの「雪の女王」をフェミニズム的に解釈し直し、VRゲームのチュートリアル解説風に書いた「雪の女王と旅して」は、アナ雪後の今だからこそ余計に面白く読める。 女の子たちが中心ではあるが、ちょっとナイーヴな男の子たちも魅力的だ。「飛行訓練」のハンフリーは鳥恐怖症で女系家族に支配されているが、夢想家で優しく少し引っ込み思案なのがかわいい。「私の友人は〜」のジャックも、ブロンド美女にしか興味がないどうしようもないやつだけど憎みきれない。〈女が強くて男が弱い〉〈女が正しくて男が悪い〉というような単純な構図には決して収まらない、それぞれの孤独を抱えた人びとがいる。ゼリーのように鮮やかなのと同時に窒息しそうな幻想と、そのあとに残る確かな寂寥感。本当の〈少女小説〉ってこういう本を言うんじゃないかと思った。

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2014/09/15

『人間消滅』『飛行訓練』『スペシャリストの帽子』が良かった。現実の中にファンタジーが入ってきても登場人物達が揺るがないところがクールでシビれる。

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2013/06/07

『彼女はふり返りもせず、既知の世界の端から足を踏み出した』 不気味、珍奇、ただよう寂寥感。 正直に言うと、訳わかんないので読むのに時間がかかる。 でもやめられない。 『既知の世界の端から』一歩踏み出したその先は「未知の世界」より余程得体が知れない。 そこかしこにぼっかり口を空...

『彼女はふり返りもせず、既知の世界の端から足を踏み出した』 不気味、珍奇、ただよう寂寥感。 正直に言うと、訳わかんないので読むのに時間がかかる。 でもやめられない。 『既知の世界の端から』一歩踏み出したその先は「未知の世界」より余程得体が知れない。 そこかしこにぼっかり口を空けて待っているような気がする。

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2011/10/04

何とも感想の言いにくい本だ。短編集だが、どの作品もとりとめのない夢の断片を集めたようなものばかり。 きちんとした筋を通って納得できる結末にたどり着く作品をイメージしていると、相当面食らうだろう。 作家についてもこの本についても特に前情報もなく手に取ったため、冒頭の「カーネーション...

何とも感想の言いにくい本だ。短編集だが、どの作品もとりとめのない夢の断片を集めたようなものばかり。 きちんとした筋を通って納得できる結末にたどり着く作品をイメージしていると、相当面食らうだろう。 作家についてもこの本についても特に前情報もなく手に取ったため、冒頭の「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」で正直驚いた。淡々とした文章で綴られる静謐な世界と、その静けさゆえに却って強く胸に迫ってくる語り手の切なさ、やりきれなさ。そしてきちんとした着地点のないまま物語は結末を迎え、突然作品の外に放り出された。 何だこれは、何だこの作品。と戸惑いながらも、気付けばリンクの世界にはまってしまっていた。 この驚きと衝撃はレベッカ・ブラウンの「結婚の悦び」を初めて読んだ時に近い。読みながらどこに連れて行かれるのか分からない、という感覚は両者とも同じ。だが、同じ「連れて行かれる」にしても、ブラウンはちゃんと乗り物に乗せられているのに、リンクの場合は水の上に仰向けに漂っているイメージというか。どうもうまい喩えが思いつかない。 面白いなと思ったのが、そのものずばり性的な単語や描写はブラウンの作品より沢山出てくるくせに、こちらの方が少女めいた雰囲気が漂っていること。どの作品も、少女が日中の退屈な時間ぼんやりと空想している世界を、大人の文章で書いたようなイメージだった。 誰かに感想を聞かれれば「よかった」と答えるだろうが、積極的に人に薦めるかというと正直微妙だ。理屈ではなく感覚で味わう作風のため、駄目な人は絶対に駄目だろうし、気に入ったと言っている私でさえ合わない人の気持ちがよく分かる。解説で柴田氏が指摘しているようにケリー・リンクの「分からなさ」はつまりは「夢の分からなさ」なんだろう。 個人的にはとても気に入った。多分また折に触れて再読するだろう。 中でも好きなのは「カーネーション、リリー、リリー、ローズ」「飛行訓練」「人間消滅」「靴と結婚」「少女探偵」。

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2010/11/29

表題にもなっている『スペシャリストの帽子』が特に良い。 「<死人>になったら」 この書きだしで始まる物語において、主人公たち双子の生死は極めて曖昧。“スペシャリスト”の存在が不安で曖昧な状況をさらに加速させている。けども、怖くない。客観的に見れば怖いと思って然るべきなのだろう...

表題にもなっている『スペシャリストの帽子』が特に良い。 「<死人>になったら」 この書きだしで始まる物語において、主人公たち双子の生死は極めて曖昧。“スペシャリスト”の存在が不安で曖昧な状況をさらに加速させている。けども、怖くない。客観的に見れば怖いと思って然るべきなのだろうけど、双子たちはそう思ってないし、むしろ楽しんでさえいる。 そういう双子の視点と同調できれば、この物語は非常にスリリングでわくわくするものに見えてくる。読む人を選ぶという表現が適当かわからないけど、こういう視点に同調することは少なくとも常識的な人がすることではないのだろうなあとも思う。

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2009/10/04

あと4分の1くらいだけど読むのやめる。ケリー・リンクという今まさに旬らしいアメリカの女性作家の短編集。英語表現自体は平易なので、あんまり訳文がいけてないという理由から、やる気があるなら原書(Stranger Things Happen)を薦める。中身は現代風味の幻想小説って感じか...

あと4分の1くらいだけど読むのやめる。ケリー・リンクという今まさに旬らしいアメリカの女性作家の短編集。英語表現自体は平易なので、あんまり訳文がいけてないという理由から、やる気があるなら原書(Stranger Things Happen)を薦める。中身は現代風味の幻想小説って感じか。死者の世界とか、セックスとか、身体とか、そういうことに彼女は興味がありそう。とにかく着地する気ゼロなのが腹立つ。もっと病的な描写があれば世界観マニアの立場から読めるかもしれないけど、中途半端だし、正直ほぼすべて何が面白いのか分からなかった。ただ、英文学の授業で読んだ「Great Divorce」は面白かった。これはここに入ってない。「Magic For Biginners」とかいうのに入ってる。などと原書の話をしてみたが、おそらくそう簡単には手に入らないと思う。洋販系の書店、つまりABC、三省堂、ジュンク堂あたりは絶対ない。洋販のベテラン営業のおじさんが知らなかったもん。キノクニヤと丸善は見てないから知らん。・・・だれも原書で読みませんよね。

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2009/10/04

 多少無茶な言い方ではあるけど、川上弘美にラファティが乗り移ったような感じ。SFというよかファンタジックではあるが。わけがわかるかと聞かれればさっぱりわからないのだけど、なにやら異様な気配をびんびんに感じる一冊でした。個人的には表題作と「黒犬の背に水」あたりがヒット。怖いッス。 ...

 多少無茶な言い方ではあるけど、川上弘美にラファティが乗り移ったような感じ。SFというよかファンタジックではあるが。わけがわかるかと聞かれればさっぱりわからないのだけど、なにやら異様な気配をびんびんに感じる一冊でした。個人的には表題作と「黒犬の背に水」あたりがヒット。怖いッス。  現実と空想の間の敷居がぐにゃぐにゃになっている作品は最近結構多いと思うけど、この人の場合特に生者の世界と死者の世界の境界がなくなっている気がします。でも彼岸が生の世界に溶け込んでしまうのではなく、その死の匂いをまとったまんま入り込んでくるので、読んでいると幽霊屋敷に迷い込んだような気分になります。まあ基本的にはお化け屋敷的な馬鹿馬鹿しさも強いのだけど、お化け屋敷の中に本物の幽霊が混じっているようなイヤーな怖さも持っている作品集。

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