戦略不全の論理 の商品レビュー
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戦略不全の論理 ■事業領域の明確 ・明快な得意技を持ち、それによって帰還事業を深耕することで、安易な多角化に走ることなく成長を遂げる。 ・創業以来時が経過するとともに、規模は拡大すれども利益率は低下する。 ・傾向に打ち勝つことこそ戦略の本質。 ・伝統ある大企業が、慢性的な低収益に甘んじるとすれば、それは戦略不全の反映に他ならない。 ■経営戦略の3要件 ・戦略不全を回避するための非合理性・非可分性・非可逆性 ①非合理性 ・業界の常識を破りながら、新たな経営の合理性を打ち立てる ②非可分性 ・戦略はオペレーションのパッケージ ・部分最適化は効率化の罠であり、そうならないようジャストインタイムのように全体の最適を目指す。 ③非可逆性 ・超長期のコミットメントこそが、競合他社との間で決定的な収益力の差となる。 ■売り先により利益が変わる ・誰を相手に ・何を売るか ・利益は大きく変わる ■構え ・垂直統合/多角化/地域展開の程度 ■安易なシナジーにとらわれない ・自社が強みを持つコアの技術群をどこまで掘り下げて需要分析するか ・技術や販路に類似性があれば進出しやすいが、事情は同業他社にとっても同じ ■均衡 ・有効性は、ボトルネックによって制約される。 ・ボトルネックがないようにする。 ・事業全体がどうゆう姿になれば、高い長期収益が得られるのか、 ・具体的に語れる事業部長は10人に1人 ・特定に職能に強くても、ほかの職能について素人同然であれば、経営そのものを分業化せざるを得なくなる。 ■事業部制 ・事業部長へ大幅な権限移譲 ・縦方向の垂直統合による多角化
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名著です。 戦略というありふれた言葉を定義しなおし、経営戦略とは何かとその要諦を世に示す内容。 膨大なデータ調査と分析、事例考察と教養全てを動員して、日本企業の戦略不全の原因(論理)と処方箋(どうすべきか)を導き出した模様。 経営者、役員クラス、またその人達と接する層、目指す人は...
名著です。 戦略というありふれた言葉を定義しなおし、経営戦略とは何かとその要諦を世に示す内容。 膨大なデータ調査と分析、事例考察と教養全てを動員して、日本企業の戦略不全の原因(論理)と処方箋(どうすべきか)を導き出した模様。 経営者、役員クラス、またその人達と接する層、目指す人は絶対読んでほしいです。 実務家の方では三枝匠さんというプロフェッショナル経営者の「会社改造」が名著ですが、アカデミック(入門〜中級)分野ではこの本の右に出るものはありません。
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「論理」という題の本だから仕方のないのかも知れないけど、データや事実と情報の羅列のみで、実際の経営に役立つと思えるものや、考えさせるものはなかった。 こういうのを机上の空論というのではないか。経営の現場というか経験を感じさせるものが全くなく、現場にいる者からすると残念な内容である...
「論理」という題の本だから仕方のないのかも知れないけど、データや事実と情報の羅列のみで、実際の経営に役立つと思えるものや、考えさせるものはなかった。 こういうのを机上の空論というのではないか。経営の現場というか経験を感じさせるものが全くなく、現場にいる者からすると残念な内容である。 先輩に頂いた本ですが、、ごめんなさい。
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日本企業の戦略が有効に機能していなかったという仮説をデータに基づいて検証しようというものだが、 前半3章までの論証はどうも怪しい。。 が、4章以降は真面目で有用な議論が進められている。 以下は各章のまとめと感想。 概ね良い本だったので、少し丁寧に書く。 最初は「環境要因を取り...
日本企業の戦略が有効に機能していなかったという仮説をデータに基づいて検証しようというものだが、 前半3章までの論証はどうも怪しい。。 が、4章以降は真面目で有用な議論が進められている。 以下は各章のまとめと感想。 概ね良い本だったので、少し丁寧に書く。 最初は「環境要因を取り除くために超長期で業績を見る」として1960年から2000年の40年間の日本企業のデータを持ってくるが、ここに他国との比較はない。 続いて、90年から2000年の10年間をタームで日米有力企業の比較を行う。 (超長期はどうした・・・しかも失われた10年から・・・明らかな選択バイアス) 戦略不全を主張するロジックもおかしい。 規模の拡大によって利益率が下がっていることを示すデータを持ってきて、 三品先生の解釈は 「利益を犠牲に規模の拡大を進めている。 (利益を増やすことが戦略の目的なら)日本企業は戦略不全に陥っている。」というもの。 株主主権を中心とするアメリカの企業論理と 従業員や取引先、グループ会社との関係を優先する日本の企業論理という相違がベースにあるなかで、 利益率が低いから戦略不全だ!と主張するのは尚早だろう。 規模拡大のための多角化とPPMによるマネジメントは 有機的成長を取るかわりに利益率を低下させるというのが基本的なパターンだろう。(GEはどうか、と言われればその通りだが・・・) またアメリカ市場に比べて日本国内での消耗戦が多すぎたということはなかったかなどの検討も、利益率を低下させるその他の要因を取り除くために必要だった気がする。 3章ではコマツとキャタピラーの比較からコマツの戦略不全の主因をトップの任期の短さから来る方針のちぐはぐさと分析する。 4章以降はなかなか面白い。 経済学のモデルから戦略の本質を考察する。 経済学モデルの前提にあるのは各業務レベルの意思決定は合理的に行われるという仮定であり、そのため企業の収益を左右するのは市場の構造なので、 どこに参入し(ポジショニング)、 どの特徴の市場ではどういう戦略を取るべきなのか(差別化なのか原価低減なのか、アライアンスなのか)を示唆するという。 5章は実証分析から業績という従属変数を環境要因を除いて戦略要因による影響を観察する。 3章と打って変わって丁寧な論証。 マッチングペア比較をした上で、いくつかの明確な差が生まれたペアをケーススタディ的に分析。 最後は戦略のパターンとして類型化まで行われる。 6章では似て非なるものを作り出す「異質化」という概念を導入し、戦略の要諦だと説く。 この異質化を達成するための戦略とはどのようなものがあるのか。戦略論の歴史を辿り戦略の分類を行いながら説明する。 ミンツバーグの戦略サファリ的な解説で、非常にわかり易い。 戦略を「構造の戦略」「構成の戦略」「構想の戦略」の3つに分け、上から順にポジショニングが重要とする戦略、組織能力が重要とする戦略、事業システムが重要とする戦略だと説く。
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戦略がなぜうまく実行できないのか? それを数値データから読み解く本。戦略とは何かということを考えさせる本。経営戦略の論理と実行のプロセスの整理。
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The Logic of Strategy Failure ― http://www.toyokeizai.net/shop/books/detail/BI/e6f88a2054383e904f793f270e269379/
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<本当に大雑把な概要> 戦略は長期的にしか効果をもたらしえない以上、経営者がコロコロ変わっては戦略は機能しないであろう、ということで電機業界に関して経営者の在職年数と企業の収益性について統計的に分析したところ、有意な結果が得られた。 また部下の管理を行う管理職と、戦略を考える経営職は分離すべきであり、(CEOとCOOみたいに)これらに求められる適性が異なるために、経営職の社内外での専門教育が必要である。 <所感> ・因果が逆の可能性について検討が不十分じゃないかと。つまり収益性が低い企業は経営者がコロコロ変えられてしまう、っていう因果も十分あり得ると思うのだけれども、その話への言及がない… ・因果を一歩一歩考える本であり、こういう本も読まないと頭がなまる。気をつける。
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2004年に書かれた経営戦略の本だが、2013年の今読んでも十分勉強になる良書。 数々の企業の事例や、綿密な調査に基づいた分析・考察がなされており、2004年当時に読んで皆が対策を講じていれば、現状の電機業界の危機的な状況は少しでも回避できていたのではないか思う。そんな簡単なもの...
2004年に書かれた経営戦略の本だが、2013年の今読んでも十分勉強になる良書。 数々の企業の事例や、綿密な調査に基づいた分析・考察がなされており、2004年当時に読んで皆が対策を講じていれば、現状の電機業界の危機的な状況は少しでも回避できていたのではないか思う。そんな簡単なものではないかもしれないが。 日本の電機業界には、円高とそこから派生するグローバリゼーションが鬼門となっているという下りがあったので、試しに一社の売上高と営業利益率の推移を確認してみた。確かに、1985年のプラザ合意を機に、売上高は拡大しているものの、利益率は下降の一途をたどっている。本書の指摘のとおり、規模の拡大が利益の犠牲を伴っていることに驚きを隠せない。 2013年も電機業界にとっては試練の年である。もうすぐ始まるCESも、自動走行を実現する自動車メーカーに注目を攫われそうだ。電機メーカーには、完成度の高い戦略策定と、着実な実行力が試されていると痛感した。
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職場ボスおすすめ本の1つ。 日本企業がなぜ米国企業と比べて戦略"不全"になりやすいかを説明した本。 戦略不全:戦略があるのにそれが機能しない状態を指す 日本企業と米国企業の大きな違いは、組織構造にあり、 日本企業は現場が権限を持ち民主主義的な指揮系統なのに...
職場ボスおすすめ本の1つ。 日本企業がなぜ米国企業と比べて戦略"不全"になりやすいかを説明した本。 戦略不全:戦略があるのにそれが機能しない状態を指す 日本企業と米国企業の大きな違いは、組織構造にあり、 日本企業は現場が権限を持ち民主主義的な指揮系統なのに対して、 米国企業はトップダウンで中央集権的に判断が決められる。 そのため、日本企業は戦略の共有ができていないと戦略不全に陥りやすい。 しかし、米国企業はトップが戦略を決めるとそれを実現する役割の従業員がしっかりと実行をする。 過去の優良企業をみると、一度成功してから成長戦略を再度立て、それを実行している企業が強い。 日本企業のいいところは残しつつ、米国企業のいいところを吸収しなければいけないと思った。 以下の言葉が印象に残った。 ■戦略にかかるのは異端一貫型、継続一貫型、営業能力型、製造能力型の4つ。 ■「差別化」よりも「異質化」を意識して環境を変える。 戦略不全の実態 88P 日本企業の戦略不全症 26P 日本企業の戦略不全症 データに見る戦略不全 ケースにみる戦略不全 データに見る戦略不全 34P 全上場企業の時系列業績推移 優良大企業の産業別日米比較 特定産業内の企業別業績比較 ケースに見る戦略不全 28P キャタピラーとコマツ 第一幕 キャタピラーとコマツ 第二幕 攻防の全体像 戦略とは何か 102P 演繹的マクロ戦略論 28P 競争の経済分析 費用構造の影響 戦略論への含意 機能的ミクロ戦略論 40P マッチングペア分析 企業業績の二重螺旋 例外企業の事例研究 大局的判断の戦略論 34P 経営戦略とは何か 企業戦略論の系譜 事業戦略論の系譜 戦略不全の背景と処方箋 108P 経営戦略の3要件 32P 非合理性 非可分性 非可逆性 日本企業の経営者 46P 社長在任期間の漸次的短縮化傾向 事業経営責任者の管理職化傾向 日本型キャリアシステムの陰 戦略不全の処方箋 30P リーダーシップ論を超えて 経営人材の基本動機の形成 経営人材の基本辞書の形成 全部の章が3部構成なのは、 わかりやすいからかな?
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戦略の定義、戦略の必要性を説く前半は面白かったが、最後の提言で一気に減速という感じ。結局アメリカになれと言ってるとしか思えない。前半が面白かったので残念。
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