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文学的商品学 の商品レビュー

3.6

10件のお客様レビュー

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2018/01/08

 文学をストーリーやテーマに沿って読むという行為から解き放ち、描かれたモノを取り上げてそこにどれだけの情報(著者が意図したものか、意図せざるものかにかかわらず)が込められているのかを複数作品にわたって読み込む。さすが斎藤美奈子というか、意地悪で鋭い指摘の数々が実にたのしい。小見出...

 文学をストーリーやテーマに沿って読むという行為から解き放ち、描かれたモノを取り上げてそこにどれだけの情報(著者が意図したものか、意図せざるものかにかかわらず)が込められているのかを複数作品にわたって読み込む。さすが斎藤美奈子というか、意地悪で鋭い指摘の数々が実にたのしい。小見出しがそのまま名言レベルの完成度。第一章「アパレル泣かせの青春小説」から引いていわく〈一人称小説で描かれるのは「非日常的な服」だけである〉〈他人の衣服に目がいくのは語り手がドキドキしたときだけである〉〈青春小説の衣装は「脱ぐ/脱がせる」ためにある〉。「広告代理店式カタログ小説」は〈一人一品〉の物語でその究極は「女のカタログ」であると決めつける。「いかす! バンド文学」において、文学がどこから実際に「音を出し始めた」のかを考察する。〈オートバイは人格をもった登場人物の一人である〉(『キノの旅』まで射程に入っている、当然)。わはは。たとえ断片で「ああ、思ったことある」と思っても、それを実例重ねてだめ押しまでできるってのは、やっぱりすごいな。

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2015/06/05

誰かがレビューで「文学批評芸人」とか言っていたが、けだし正鵠射た表現である。心から笑える文章をひねり出す作家は、もはやこの先生をおいて他にいないのではないか?アイテムやロケーションの「くくり」による評論は企画自体も目新しいが、なにせ乗りに乗ってニヤニヤしながら筆を進めているさまが...

誰かがレビューで「文学批評芸人」とか言っていたが、けだし正鵠射た表現である。心から笑える文章をひねり出す作家は、もはやこの先生をおいて他にいないのではないか?アイテムやロケーションの「くくり」による評論は企画自体も目新しいが、なにせ乗りに乗ってニヤニヤしながら筆を進めているさまが目に浮かぶような愉しさがある。そうか、「くくり」という言葉から気づいたが、この形式は「アメトーク」だ。それの文芸評論版だ。さながら先生は司会ということで、やはり芸人だということなのだな。

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2013/05/09

amazon 内容紹介 商品情報を読むように、小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや 登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと、 思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風 俗,ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」...

amazon 内容紹介 商品情報を読むように、小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや 登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと、 思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風 俗,ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐって, 村上春樹から渡辺淳一まで読みくらべる,痛快無比の文芸評論。

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2012/07/06

前半はどちらかと言えば、小説の中に登場するファッションや車、料理といったものの描写を通じて、小説作者の異性への貧困なまなざしが生じてしまうところを描いていて、後半は音楽、オートバイ、野球、貧乏小説の構造分析といってしまっていいだろう。前半部分の問題意識でそのまま押し切ってもらえた...

前半はどちらかと言えば、小説の中に登場するファッションや車、料理といったものの描写を通じて、小説作者の異性への貧困なまなざしが生じてしまうところを描いていて、後半は音楽、オートバイ、野球、貧乏小説の構造分析といってしまっていいだろう。前半部分の問題意識でそのまま押し切ってもらえたら…と思ったが、そうもいかないものだろうか(ネタがそこまで無かったとか)

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2011/09/04

評論家の文章というと小林秀雄に見られるようにわざと論点がわからないようにしているとしか思えないまわりくどい隠喩・暗喩に満ち満ちた文章を想像するが、彼女の文章というのは歯切れのよさが特徴で、江戸っ子はかくありなんとばかりに論題を切って捨てる。

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2011/06/19

面白い!\(^o^)/ 斎藤美奈子のような(意地悪な(*^_^*))大人になりたい!と願っている私なのに、なんでこの作品をこれまで読み逃していたのか・・・?? デビュー作の「妊娠小説」以来、10年ぶりの文芸評論というこの「文学的商品学」。 小説を内容云々より、取り扱っている...

面白い!\(^o^)/ 斎藤美奈子のような(意地悪な(*^_^*))大人になりたい!と願っている私なのに、なんでこの作品をこれまで読み逃していたのか・・・?? デビュー作の「妊娠小説」以来、10年ぶりの文芸評論というこの「文学的商品学」。 小説を内容云々より、取り扱っている「商品」の描き方を取り上げることによってばっさり斬り捨てたり(これがほとんど)、上手い!と評価したり。 私は、衣・食・住や当時の風俗の章なんて、もう、大笑い、かつ、溜飲が下がったという。(*^_^*) 一人称の青春小説は確かに衣服の描写(特に自分の服ね)はしにくいと思うけど、それがなされるのはどんな時か⇒非日常的な場合ですか、なるほどねぇ~~。 また、風俗を描くのに、いかに、渡辺淳〇が稚拙か、その対面に金井美恵子を置き、検証していく作業には大人げないと思いながら、もう笑えて、笑えて。(*^_^*) しかも、衣食住の描写レベルはどれか一つだけ上手とか下手とかはなくて、「根性の差なのか、技術の差なのか」作家ごとに見事に揃う、とまで言われちゃって。 庄司薫、田中康夫、三田誠広、山田詠美、村上龍、などの「一応は」読んでいる小説(大好き!だったり、今一つだったり)が斎藤さんの角度から切りこまれるとこんな風に三枚におろされちゃうのね、という面白さや、 村上春樹や丸谷才一先生(*^_^*)まで、ばっさり。 青春、風俗、カタログ、フード、ホテル、バンド、オートバイ、野球、貧乏という章だてで、いかに「モノ」を描いているか、をあげつらった(*^_^*)本作。 そっか、登場人物たちの佇まいがピンとこなかったのは、私の頭が悪かったんじゃなくて、彼らのセンスが悪かったせいなのね、なんて、慰められたところが多々あったことも付け加えておきます

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2010/09/27

装丁も語り口もライトだけど、意外と真面目。 テクスト論にも応用できそう。 「モノ」の描写に注目して価値観や心情を読み取るのは、 時代考証さえしっかりすればじゅうぶん「読み」の要素に使えるはずです。 さすが斎藤美奈子さんですな。

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2009/10/07

商品情報を読むように、小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや 登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと、 思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風俗, ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐ...

商品情報を読むように、小説を読んでみよう。文学の面白さはストーリーや 登場人物の魅力だけではない。作品に登場するモノやその描写を見ていくと、 思いもかけなかった読み方ができることに気づくだろう。ファッション,風俗, ホテル,バンド,食べ物,そして「貧乏」。9つのテーマをめぐって,村上春樹 から渡辺淳一まで読みくらべる,痛快無比の文芸評論。

Posted byブクログ

2009/10/07

商品として文学作品を斬る!痛快で興味深い一冊でした。引用された作品を読んでみたくなりました。そしてやはり、斎藤さんの目線に脱帽でした。

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2009/10/04

●「商品から見た」文芸評論。 オートバイとかバイクとか服とか食とか、要するに物語のポイントを占めるブツに焦点を当てて、評論してみたと言うことらしい。まあ商品と言うよりは風俗ですね。 装丁もポップで可愛らしいですよ。 ●感想。 「語り口は丁寧語が吉。」 そもそも、言ってるコト自体...

●「商品から見た」文芸評論。 オートバイとかバイクとか服とか食とか、要するに物語のポイントを占めるブツに焦点を当てて、評論してみたと言うことらしい。まあ商品と言うよりは風俗ですね。 装丁もポップで可愛らしいですよ。 ●感想。 「語り口は丁寧語が吉。」 そもそも、言ってるコト自体(正論なだけに)かなりキツいのに、へ更にバンカラ口調でかぶせると、批評を通り越してヤサグレ感、てか単なる乱暴者の臭いが漂って来そうなんですな。 人間、語り口が乱暴だと、中身まで下品だと思いこみがち。 個人的な好みとしては、正論をストレートに語るより冷静な学者ぶったていで、無知蒙昧な輩を物柔らかにブッタ斬って頂きたかったです。 毒はマシュマロにくるむもんじゃて、ゲフゲフ・・・(←意味不明)

Posted byブクログ