小説 大逆事件 の商品レビュー
大逆事件における人間…
大逆事件における人間模様がよく分かる1冊。“小説”と冠されていますが、描写はとても淡々としています。幸徳秋水の名を知らない方でも、十分に読める内容だと思います。
文庫OFF
天皇制の否定を喧伝しようと画策する無政府主義者たちと、大逆事件として誇大な凶悪犯罪へと仕立てようとする公権力のはざまで真の自由とは何かを問いかけてくる。思想・信仰・言論、主義主張は違えど、包摂する社会が民主主義の根幹であろう。自身との差異は分断・差別・排除へと帰結すべきではない。...
天皇制の否定を喧伝しようと画策する無政府主義者たちと、大逆事件として誇大な凶悪犯罪へと仕立てようとする公権力のはざまで真の自由とは何かを問いかけてくる。思想・信仰・言論、主義主張は違えど、包摂する社会が民主主義の根幹であろう。自身との差異は分断・差別・排除へと帰結すべきではない。統制をとるなんて驕り高ぶらず、許すことの大切さ、寛容する共同体へ努める姿勢が人道的となる。ここに記された事件記録に学びを確信し、公文書はおいそれと破棄しない、官僚はこの志を忘れるべからず。
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■ 近代日本の暗部を象徴したと言われる「大逆事件」。読後の感想としては、仮にも法治国家として運営されているのに、ここまで無茶な判決をしたことに驚く。これでは大杉栄が関東大震災時に仮に生き残ったとしても結末は一緒だったと思わせられる。 26名の被告のうち実際に謀議した4人は止むを得ないとしても、放任していた者、空想的に計画を話しあっただけの者も含めて無政府主義者を一網打尽すべく24人に死刑判決とは・・・。 ・この時代、爆発物取締罰則はあっても、銃刀法剣類取締法はなかった。 ・かの石川啄木が大逆事件裁判の弁護側の仕事を手伝っていた。
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「父上は怒り給ひぬ我は泣きぬ さめて恋しい古里のゆめ」 明治44-1911-年1月19日、死刑判決を受け、その5日後の24日、処刑された11人の内の森近運平の辞世の歌が、強く胸を撃つ。 著者はオーム真理教の地下鉄サリン事件を傍聴取材するなかで、昔からいつかはとモティーフに抱いていた大逆事件を背中を押されるように執筆にかかった、とあとがきに記している。 残され知りうるところの裁判記録・調書資料を詳細にあたって緻密に構成、事件の全貌を映し出している労作ではある。
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大逆事件は、桂太郎内閣の意を受けた、のちの内閣総理大臣(事件当時は司法省刑事局長)平沼騏一郎の「一人の無政府主義者もなきことを、世界に誇るにいたるまで、あくまでも撲滅を期する方針」に基づく捜査のため、証拠不十分や捏造をもって控訴した冤罪の可能性を大いに孕んでいることがはっきりして...
大逆事件は、桂太郎内閣の意を受けた、のちの内閣総理大臣(事件当時は司法省刑事局長)平沼騏一郎の「一人の無政府主義者もなきことを、世界に誇るにいたるまで、あくまでも撲滅を期する方針」に基づく捜査のため、証拠不十分や捏造をもって控訴した冤罪の可能性を大いに孕んでいることがはっきりしている。幸徳秋水らの公判の特別傍聴席に、陸軍軍医総監の森鷗外の軍服姿が見られたのであるが、そのとき彼はなにを感じたであろうか。石川啄木は「こうして記録を精読すると、ムリに事件を大きくしていったことがわかる」という感想を述べている。
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彼らの考え方については賛成したり、出来なかったりしますが、人の生き方、命の重さについて考えさせられます。 時間をおいてもう一度読み直したい、重厚な作品です。
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