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クラカトアの大噴火 の商品レビュー

4.8

6件のお客様レビュー

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2024/04/05

1883年8月27日、スマトラ島とジャワ島の間にあった火山クラカトアが噴火した。 火砕流や津波で36,000人が死亡し、後年の紛争·政治にも影響した。 私の苦手なノンフィクションで、この分厚さ、読みきれないかと思ったら、飽きることなく読み切れた。 富士山の噴火も想像してし...

1883年8月27日、スマトラ島とジャワ島の間にあった火山クラカトアが噴火した。 火砕流や津波で36,000人が死亡し、後年の紛争·政治にも影響した。 私の苦手なノンフィクションで、この分厚さ、読みきれないかと思ったら、飽きることなく読み切れた。 富士山の噴火も想像してしまい、興味深い内容だった。

Posted byブクログ

2014/06/24

1883年8月27日10時2分、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の海峡にある火山島クラカトアがその日4回目のそして最大の大噴火をおこした。火山爆発指数6.5というその爆発のエネルギーは150ペタジュール、東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9=2エクサジュ...

1883年8月27日10時2分、インドネシアのジャワ島とスマトラ島の海峡にある火山島クラカトアがその日4回目のそして最大の大噴火をおこした。火山爆発指数6.5というその爆発のエネルギーは150ペタジュール、東日本大震災を起こした東北地方太平洋沖地震のマグニチュード9=2エクサジュールに比べれば一桁小さいが関東大震災のマグニチュード7.9のほぼ3倍にあたる。そしてそれは史上最大の被害を起こした火山噴火だった。 噴火の際の爆発音は4776kmはなれたインド洋上のロドリゲス島まで届き、人類が直接聞いた増幅も電気的な拡大もされていない音としては最長距離記録である。ロドリゲス等から西に560km行くとモーリシャスでさらにその先にはマダガスカルがある。ほぼ同心円上の距離に九州の南端がくる。アメリカでも東海岸から西海岸というほどの距離だ。爆発時の衝撃波は各地の気圧計を地震計のように跳ねさせその衝撃波は地球を7周した。 史上最悪の火山噴火と言われる所以は死者3万6千人を超える被害者の数で主に津波による被害だ。クラカトアの対岸のメラクは今では日系企業も多く進出する石油化学コンビナートだがここでは津波の高さが40mを超え、スマトラ側ではオランダの砲艦ブラウ号がクリパン川を遡る波に運ばれ西へ3kmあまり、海面から15m以上の高さに運ばれその後100年以上もジャングルの中に放置された。首都バタヴィア(ジャカルタ北部)は狭い海峡を抜けた波が迂回するのだがそれでも波の高さは2.3mを超えた。遮るもののないインド洋側ではセイロン(スリランカ)の町で3.66mと推定され、カルカッタ、カラチ、ムンバイ、イエメンでも観測され、南アフリカのポートエリザベスで1.22mを記録し最後は大西洋を遡り、フランスはボルドーの北ロシュフォールでは13cmの波が観測された。 火山の冬のためその後4年間は世界中で気温が平均で0.55℃ほど下がり、恐ろしくも美しい夕日が世界中で見られた。この時期には印象的な日没の風景画が数多く描かれているが、一説にはムンクの「叫び」もこの景色がヒントになったという。制作年は1893年なので時期的には合う。またクラカトアの噴火は世界中に伝えられた天災のニュースとしても最初のものだった。当時既に電線の海底ケーブルが敷設されており、バタヴィアからシンガポール、スエズを超えニュースはロンドンのロイターに伝えられた。 それでもこの噴火の規模は史上5番目で最大のものが同じくスマトラ島の7万4千年前のトバ湖の噴火だ。この時期にヒトDNAの多様性が著しく減ったことから人類は滅亡の危機にあったという説もある。2番目が1815年の小スンダ列島のタンボラ山の噴火。ジャワ島から東へバリ、ロンボクの次の島だ。この噴火は火山の冬により1816年に夏のない年をうみ、7月と8月にペンシルバニアで湖や川で凍結が観測された。3番目はニュージーランドのタウポ山で西暦180年、そしてアラスカのノヴァルプタ山1912年、クラカトアと続く。 クラカトア爆発の影響はオランダ支配に反抗するイスラム教の影響を増し、インドネシア独立のきっかけのひとつとなった。クラカトアにはもう一つ有名な爆発があり「西暦535年の大噴火(読みたいのだがなかなか入手できない・・・)」に書かれた説によると東ローマ帝国の衰退、ペストの蔓延、イスラム教の誕生、マヤ文明の崩壊などに気候を通じて影響を与えたとある。 オランダ植民地の歴史やバリとロンボクの間にあるウォーレス線と海底地磁気探査から見たプレートテクトニクスの一致、そして火山のメカニズムなど歴史、科学、博物学などクラカトア火山を中心にこの本がカバーする範囲は広い。一度爆発で吹き飛んだクラカトアだがその後に生まれたアナク・クラカトアは500mほどの高さまでに成長している。一応立ち入り禁止となっているのだがそこはインドネシア、もぐりの観光はできるらしい。ジャカルタ駐在中に行っておくのだったか・・・。

Posted byブクログ

2012/07/08

 最初の方は、大陸移動説など科学的なものであるが、それだけでなく東インド会社の貿易、さらに津波、火山の影響と反乱など政治的なことも出てくる。さらに最後は生物学的なものとして、生物がどのように住みつくかという話になってくる。火山学の人が薦める本であるわけがわかる。

Posted byブクログ

2012/05/15

1883年のクラカタウ(インドネシアではこう呼ぶ)の噴火とその前後を、社会、政治、経済、文化、地球科学などの様々な面から綴った一冊。あまりにも様々な面から語っているため少々読み辛いけれども(何せ、クラカタウの噴火の根本にあるプレートテクトニクス理論を語るためにヴェーゲナーの大陸移...

1883年のクラカタウ(インドネシアではこう呼ぶ)の噴火とその前後を、社会、政治、経済、文化、地球科学などの様々な面から綴った一冊。あまりにも様々な面から語っているため少々読み辛いけれども(何せ、クラカタウの噴火の根本にあるプレートテクトニクス理論を語るためにヴェーゲナーの大陸移動説どころかウォレス線まで持ち出し、さらには1960年代のプレートテクトニクス理論成立前夜の当時の作者の思い出まで語られるのだから)、逆にいえばここから様々な分野への好奇心を刺激されると言うことでもあり、実に楽しい。

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2011/09/20

1883年にスマトラ島とジャワ島の間にあった火山島が大噴火した時の状況を描いたドキュメンタリ。本題に入る前にプレートテクトニクスのや生物屋にとっておなじみのウォーレス線の解説がはいる。読んでいる時は「なぜ?」と思うが、その後の展開を考えると必要な章立てだった言えよう。 でも噴火後...

1883年にスマトラ島とジャワ島の間にあった火山島が大噴火した時の状況を描いたドキュメンタリ。本題に入る前にプレートテクトニクスのや生物屋にとっておなじみのウォーレス線の解説がはいる。読んでいる時は「なぜ?」と思うが、その後の展開を考えると必要な章立てだった言えよう。 でも噴火後のムスリムのオランダ支配に対する反乱の章はなくてもよかったんじゃないかなー。

Posted byブクログ

2009/10/04

凄まじい火山爆発に向かって、世界がわさわさと動いていくさま、そして爆発後に世界が変貌するさまが、とても大きなスケールで書かれている。

Posted byブクログ