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パレード の商品レビュー

3.7

731件のお客様レビュー

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    114

  2. 4つ

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  3. 3つ

    219

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2024/05/29

描かれたのは、現代版の酒池肉林だ。 シェアハウスという薄くもなく濃くもないうわべだけのつながりの中でふわっと無責任という優しさに包まれて生きていく5人の物語。読者は否応なしに6人目の同居者として、ここに参加させられる。 居心地の良さと悪さを短いスパンで交互に感じる空間だったな。...

描かれたのは、現代版の酒池肉林だ。 シェアハウスという薄くもなく濃くもないうわべだけのつながりの中でふわっと無責任という優しさに包まれて生きていく5人の物語。読者は否応なしに6人目の同居者として、ここに参加させられる。 居心地の良さと悪さを短いスパンで交互に感じる空間だったな。 だがこれも一つの癒しの形なのだろうか?何を持って「癒し」とするのか、「癒し」を定義することの難しさがここにある。 シェアハウスでの私の姿(役割)を押し通し続けることで成立する集団としての黙過。 黙過とは、バランスのために必要な機能なのだろう。共創造される黙過はどこか優しい。見て見ぬふりをすることで襲われる自身への責任追求が分散されるからだろうか?無責任さを対価に他者と溶け合い融合することの心地よさ… 黙過は、善意からでも悪意からでも起こり得る。 ただ、この優しさはやはり毒だと思う。例えどんなに苦しく、生きるのに必要だったとしても。温かく優しい毒は、精神の骨の髄まで溶かしきる。その先にあるのは考えることを放棄したブヨブヨの肉塊だ。どうあがいても好きにはなれない。 これは現代版の酒池肉林だ。

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2024/03/23

1回目読んだ時は怖さは感じずに逆に他人に深く踏み込まない優しさを感じたが、2回目は少しだけ怖さを感じた。自分の領域を侵されない限り犯罪者にも他人に寛容的な現代の若者を描いた作品。登場人物が皆キャラが良かった。良介は世之助に似ていて好きな人物だった。

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2024/03/13

おもしろすぎて2日で完読。しかしこわーい!涙 まさに『悪人』を執筆した吉田修一の本という印象。ありふれる日常の中の、見えにくい人間の本質を暴いているようで面白かった

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2024/03/11

最後、怖っ! えっ?そういう話だった? 相手に合わせて自分を演じるのは、彼らにとって無理のない、割と自然なことなんだろうな。 いやー。知ってるけど知らないフリでいいの?ってレベルだと思うんだけど。表面的で平穏な毎日を続けることが大事なんだろうね。

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2024/03/01

第15回山本周五郎賞受賞作。 ということで、期待値を上げ過ぎた感あり。 解説の川上弘美さんが、怖い小説だと解く。 4回読んだとのことで、その都度怖さが変わるとのこと。 都内の2LDKのマンションを男女4人でシェアする若者達。そこに一人の男娼の男子が加わり、波紋が広がる。 各章、...

第15回山本周五郎賞受賞作。 ということで、期待値を上げ過ぎた感あり。 解説の川上弘美さんが、怖い小説だと解く。 4回読んだとのことで、その都度怖さが変わるとのこと。 都内の2LDKのマンションを男女4人でシェアする若者達。そこに一人の男娼の男子が加わり、波紋が広がる。 各章、それぞれの視線で日常が描かれる。 彼らは、それぞれ問題があるし、将来設計などとは無縁。だけど、同じ空間の中で優しく振る舞い、一定の距離を保てる同居人。 この中で一番大人の生活をしていたと思われる男の影の行為を知りながら、日常を続け切る他の同居人。現在の自分の領域を守るためか、奇異に映るこの行為が特別でないかもしれないことが怖いのかもしれない。

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2024/02/23

なるほど。川上弘美さんの解説を読んで、もう一回読み返すか?とも思ったが、またにしよう。共同生活をしている登場人物みな愛すべき人たちだが、何かしらそれなりに重いものを抱えている。確かにもう一回最初から読めば、ああなるほど、と思えるに違いない。が、今の読後感も複雑ではあるが悪くない。...

なるほど。川上弘美さんの解説を読んで、もう一回読み返すか?とも思ったが、またにしよう。共同生活をしている登場人物みな愛すべき人たちだが、何かしらそれなりに重いものを抱えている。確かにもう一回最初から読めば、ああなるほど、と思えるに違いない。が、今の読後感も複雑ではあるが悪くない。人物描写が素晴らしいです。

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2024/02/18

感想 本当の自分。どこにいるのかわからない。仮面を何重にも被っている。でもそんなの普通のこと。だけどどこかで解放してやらないといけない。

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2024/02/17

最後の章で何もかもが怖くなった。 タイトルとか、同居人達の全てが気味悪くなった。 この小説のテーマは、本当の自分なのかな?

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2023/10/28

・主な登場人物5人の中で良介が1番普通に見えるけど、化ける要素があると感じた ・物語の終盤で、琴が荷物をまとめていたり、酒豪がハワイに住む、良介が地元に帰るような匂わせがあったが、そうなるとシェアハウスは直輝とサトルだけになって、サトルの性格的に直輝だけだとシェアハウス寄り付か...

・主な登場人物5人の中で良介が1番普通に見えるけど、化ける要素があると感じた ・物語の終盤で、琴が荷物をまとめていたり、酒豪がハワイに住む、良介が地元に帰るような匂わせがあったが、そうなるとシェアハウスは直輝とサトルだけになって、サトルの性格的に直輝だけだとシェアハウス寄り付かなさそうなので、直輝がひとりになる病み展開を想像した

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2023/10/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この人らの距離感は絶妙で、直輝に何も言わないし何もしないのは不自然、だとは思わなかった。 現状維持の為の打算と怠惰のどっちもある。 もちろん直接言われたら何かするだろうが、そうでなければ無関心を使い分ける人の怖さもある。いじめを見て見ぬ振りするのと似た様なもん。 学歴が短い子が後に学生に戻るのは良い選択肢で、学校は他力で社会に上がれるエスカレーターみたいなもんだから、それを教えてくれる良介はいい奴。 一人暮らししかした事ない人はこの小説意味不明なんじゃなかろうかと思ったが、それは上から目線過ぎた。

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