質的調査法入門 の商品レビュー
第4章 効果的なインタビューの実施 (pp.129-134) 「インタビューを完全に転記することの代替物に、インタビュー・ログ(インタビュー工程記録)(interview log)なるものがある。これはインタビュー・テープの全部を転記する時間や手間がとれないような大学院生を指導...
第4章 効果的なインタビューの実施 (pp.129-134) 「インタビューを完全に転記することの代替物に、インタビュー・ログ(インタビュー工程記録)(interview log)なるものがある。これはインタビュー・テープの全部を転記する時間や手間がとれないような大学院生を指導した際に私が開発したものである。このやり方は、多用せずに、しかも研究の後半部分のみで用いるべきである。 このやり方では、調査者は、ページの最初に、名前、日付、その他インタビューに必要な事項を詳細に明記することから始める。それからインタビューア=調査者は、テープを再生し、情報提供者が述べた重要な発言や考えを記録する。語句や言い回しや文章全体を正確に引用する。これらの記録は、テープ・カウンターによってコード化されており、のちに、それらのことばの録音されている正確な位置が、すぐにわかるようになっている。調査者が重要だと思うことばや発言の左側にはテープの位置が記されている。右側の欄は、調査者が、記録されている内容についてコメントを付すスペースである。インタビュー・ログ中のデータは、のちに研究データを分析するさいに、創出されたテーマやカテゴリーにしたがってコード化することができる。 (中略) インタビューを逐語的に転記したものよりも、ログのほうが要点をとらえている。テープの位置が示してあるので、調査者は、すぐにオリジナルのデータにあたることができる。しかし、この代替法には留意点がある。それは、インタビュー・ログは、研究の後半の、暫定的な結論を確かめるさいに用いるのが最も良いということである。あまり早い段階で用いられると、重要な洞察がやすやすと見逃されてしまいがちになる。そうすると、研究の後半になってから気づいたパターンの事例を探しに、わざわざ前に戻ってインタビュー全体を聞き直すはめに陥ってしまう。」 第8章 ・分析方法の分類…エスノグラフィ分析、ナラティブ分析、現象学的分析、たえざる比較法(GT)、内容分析(新聞の記事の面積とか)、分析的帰納法(仮説に対してデータを試す) ・質的分析にソフトウェアを用いる際の問題点…ソフトウエァが調査方法の選択を決定づけてしまう、データとの距離を遠くする、プライバシーへの意識の高まり、調査チーム内でのコンピュータリテラシーの不一致(1番目と2番目の問題はぼんやりしすぎている気がする)
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調査準備、調査、文章化に至る方法について述べられている。 研究をするにあたって、知っておくべきことが網羅されていて、すばらしいと思った。
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とりあえず泣きながら一応読み終えた。 自分の勉強不足が手に取るように分かる本。 入門といいつつ全然入門ではない。 具体例をあげて説明してくれている部分もあるが、抽象的な説明も多いのでもっと簡単な入門書を読んだ後で読むと質的調査の方法をより良く理解できると思う。
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