戦争請負会社 の商品レビュー
日本人が言う戦争は、もうそれこそローマ時代くらいまでさかのぼってしまいそうなくらい、古いものなのかもしれない。 嫌だと感情的になる前に、現状を知るべきなのに。
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PMF(Private Military Firm)と呼ばれる戦争を請け負う民間企業について、その閉ざされた実態をくまなく調査し、PMFという新たな産業の勃興がいかに国家の安全保障や軍事に影響を与えるかという理論的考察をまとめた労作。 20世紀後半の経済政策を巡る様々な議論の中...
PMF(Private Military Firm)と呼ばれる戦争を請け負う民間企業について、その閉ざされた実態をくまなく調査し、PMFという新たな産業の勃興がいかに国家の安全保障や軍事に影響を与えるかという理論的考察をまとめた労作。 20世紀後半の経済政策を巡る様々な議論の中で、最も重要なテーマの一つは民営化であろう。ハイエクの経済理論に基づき、「小さな政府」を志向するために、鉄道・エネルギー・通信など様々な産業が民営化され、その流れは未だに止むことはない。そうした民営化の流れにおいても、「暴力」を独占的に司るが故に民営化され得ない領域だとみなされていた軍事も、実は民営化という市場原理主義の流れにあることが本作では示される。 ビジネスの観点でこの事象を捉えるなら、民営化というアウトソーシングビジネスである以上、そこにはアウトソーシングビジネスに共通するフレームワークを用いて分析することが可能である点は非常に興味深い。一般論として、何をアウトソースするかは、「その業務がコアか、ノンコアか?」、「その業務は固定的に発生する業務か、変動的に発生する業務か?」などの切り口に基づいて意思決定がなされるが、それはPMFとて例外ではない。 前者の切り口であれば、軍事支援企業という形で、軍隊におけるノンコア業務である食糧補給や衛生などの補助業務を請け負うPMFが存在する。また、後者の切り口であれば、大量の軍事力を迅速に提供することができる軍事役務提供企業や、高度な軍事戦略立案を担当する軍事コンサルタント企業などが存在する。PMFという新たな産業が与える影響を分析する際に、このような類型化は極めて重要なものとなる。 また、国家がPMFに軍事をアウトソースする最大の理由は、自分たちで抱え込むよりも安いコストで目的を達成できるからに他ならない。しかしながら、安易なアウトソーシングは例えば以下のようなリスクを生み出す可能性がある。 ・国家内の軍隊よりもPMFを優遇することにより軍隊の不満が高まり、軍部クーデターの発生リスクが高まる ・本来国家が果たすべき国民の安全保障が金銭により解決される問題となり、結果として低所得層の安全保障が希薄になる 出版は2003年とかなり古いが、非常に刺激的であり、PMFの重要性が増しつつある現代において、このテーマを考える上での基礎的な概略を掴める一冊であると思う。
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[ 内容 ] 国家の軍事業務を代行する、それが軍事請負企業だ。 冷戦終結後、各国が軍縮に向かい、軍務の外注化を進めると、請負業界は大きく成長した。 業界の市場収入は、年間1000億ドルにも上る。 非合法の取引、政治家との癒着などあまりにも不透明な軍事請負業の全貌を、米ブルッキング...
[ 内容 ] 国家の軍事業務を代行する、それが軍事請負企業だ。 冷戦終結後、各国が軍縮に向かい、軍務の外注化を進めると、請負業界は大きく成長した。 業界の市場収入は、年間1000億ドルにも上る。 非合法の取引、政治家との癒着などあまりにも不透明な軍事請負業の全貌を、米ブルッキングズ研究所の気鋭の研究者が初めて明らかにする。 [ 目次 ] 第1部 勃興(戦争民営化の時代か?;軍事民営化の歴史;民営軍事請負業を見分ける;なぜ安全保証が民営化されたか?) 第2部 組織と活動(世界に広がる軍事請負業;民営軍事請負企業の分類;軍事役務提供企業 エグゼクティブ・アウトカムズ社;軍事コンサルタント企業 MPRI社;軍事支援企業 BRS社) 第3部 さまざまな問題(請負契約のジレンマ;市場力学と安全保障の世界的崩壊;民間企業および文民と軍人の均衡;公共の終焉は民営軍事か;道徳と民営軍事請負企業;結論) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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民営軍事請負企業(PMF: Privatized MIlitary Firm)という新しい産業の活動がグローバル化されてきている。 軍事業務の民営化を促進する第一の力は冷戦の終結以来、紛争が世界中で激増したこと。これらの戦争は、世界の過渡期の典型的な権力の空白による結果である。 ...
民営軍事請負企業(PMF: Privatized MIlitary Firm)という新しい産業の活動がグローバル化されてきている。 軍事業務の民営化を促進する第一の力は冷戦の終結以来、紛争が世界中で激増したこと。これらの戦争は、世界の過渡期の典型的な権力の空白による結果である。 軍縮が意味してきたのは訓練された人員が世界市場にあふれるだけでなく、大規模暴力の資材や道具もまたあらゆる種類の民間行為者のところに持ち込まれたということでもある。大量の在庫兵器が公開市場に出回った。 市場に出るもっともありふれていて最も安いのは通常、旧ソ連製品である。直接ロシアが売り払ったものや、旧社会主義国が軍を削減したりしたから投げ売りした。 多くの会社がバーチャル会社として活動している。短期的に設けて消えてしまうこともある。 軍事業務の提供が成長産業であることに疑問の余地はない。右肩上がりに成長を続けてきた。 経済的危機と政治的危機がこの分野の外から需要の火に油を注いでいる。 冷戦終了で製造面での軍産浮く剛体の大部分は規模縮小と合併を被ったが、運時業務請け合い行は花盛りだった。 民営軍事請負業者は、大きく3つに厚生される。 1.軍事役務提供企業 2.軍事コンサルタント企業 3.軍事支援企業 アーマーグループは、サイバー攻撃対策のために、IBネット社とNTI社を買収した。 エグゼクティブ・アウトカムズ社は民営軍事請負業者の中では最も有名。 仕事の性格上、PMFの成果を測る物差しは不正確であることがおおい。 軍事的成功は敵にも左右される。 外注化に伴う危険は施主あるいは顧客が民間お軍事業者にあまりにも依存しすぎることで、経済学でいういわゆる「事後の値下げ要求」に陥ることである。 PMFは軍事行動に参加する民間の行為者であり、前提とされていた子㏍あによる独占に明確にとってかわるものである。 民営軍事請負企業は、領土的国家によって限定されるのではなく全地球的な市場と結びついた。 民営軍事請負企業が国際的な安全保障をさらに複雑化させる特に重要な領域は、同盟関係に対する予期せざる影響にある。市場の潜在力はパトロンと顧客との支配関係を弱め、負担を分担する必要を減らし、新しい形の同盟を作るかもしれない。 戦争が存在する限り軍事的な専門技術への需要はなくならない。 PMFは結果的に伝統的な安全保障の供給源が少しでも緩めば利益を得るだろう。
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現代の傭兵は多国籍企業。冷戦終了・ソ連崩壊によって途上国への関心が低下。加えて武器の流出で,低強度紛争は激化した。訓練されてない集団同士の争いに目を付けたのが民間軍事会社。その実態に迫る。 シンガーは『ロボット兵の戦争』,『子ども兵の戦争』に続いて三冊目。民間軍事会社には,戦...
現代の傭兵は多国籍企業。冷戦終了・ソ連崩壊によって途上国への関心が低下。加えて武器の流出で,低強度紛争は激化した。訓練されてない集団同士の争いに目を付けたのが民間軍事会社。その実態に迫る。 シンガーは『ロボット兵の戦争』,『子ども兵の戦争』に続いて三冊目。民間軍事会社には,戦闘もする軍事役務提供会社,戦略練ったり訓練したりの軍事コンサル会社,後方支援・兵站の軍事支援会社があって,それぞれの業界でしのぎを削ってる。これらの会社に依存してる国もある。民間軍事会社にはまだまだ不透明なことが多くて問題らしい。契約金額をふっかけるとか,手を抜いて紛争を引き延ばす,とか。紛争で食ってるのだからしょうがない?あと,戦闘員の脱走が戦略的に大損失でも,敵前逃亡は重罰とかいった軍法の適用はない。このへん中世の傭兵に似てるなあ。
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2011 6/7パワー・ブラウジング。筑波大学中央図書館で借りた。 『伊藤計劃記録 第弐位相』の中で紹介されていて読みたいと思っていた本。先日、中央図書館を訪れる機会があってやっと借りてくることができた。 民営軍事請負企業(PMF)について扱った本。タイトルからルポルタージュ的な...
2011 6/7パワー・ブラウジング。筑波大学中央図書館で借りた。 『伊藤計劃記録 第弐位相』の中で紹介されていて読みたいと思っていた本。先日、中央図書館を訪れる機会があってやっと借りてくることができた。 民営軍事請負企業(PMF)について扱った本。タイトルからルポルタージュ的なものかと想像していたが、実際は学術書/モノグラフであり、軍事民営化研究/政策の必要性について提言した本でもある。 以下、メモ。 ◯第一部 ・導入 ・軍事民営化の歴史・・・国が軍事力を独占する時代は比較的最近ものあることを指摘 ⇒・過去の傭兵等と現在のPMFの最大の違いとして、法人格を持つ企業である点を強調 ・PMFの背景・・・東西構造崩壊後の安全保障市場の空白と民営化の流れ ◯第二部 ・PMFの現状と組織・活動 ・PMFの分類・・・軍事役務提供企業/軍事コンサルタント企業/軍事支援企業 ⇒・それぞれの具体例について一社ずつを例に詳述 ◯第三部:PMFの問題点 ・請負契約のジレンマ:(min2flyコメント:多くはPMFに限らず請負一般にあてはまることだが、ことが安全保障なので損害が全く洒落にならない点が大きな違いか) ・戦場における国家の行動主体が国軍ではなく利得動機による行為者によってなされること ・文民・軍人の関係に企業が入ることで起こりうる影響 ・戦争の外注化・・・政府軍が手を出せない領域における隠れ蓑としてのPMF ・「国家の仕事」の害虫・・・民主主義における問題 ⇒・結果責任・説明責任いずれも曖昧になる
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従来国家が独占していた戦争の領域にに入り込み莫大な利益をあげる民間企業の姿を描いたドキュメント。いまや民間企業の助けなしには戦争ができなくなったアメリカの姿が浮き彫りになっています。
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PMF(Private Military Firms、民間軍事請負企業)を、軍事役務提供企業、軍事コンサルタント企業、軍事支援企業の3つに分類し、それぞれの実例を挙げた上で、主に監査と法的措置の面からの懸案事項を指摘した本。 最近はPMSCs(Private Military ...
PMF(Private Military Firms、民間軍事請負企業)を、軍事役務提供企業、軍事コンサルタント企業、軍事支援企業の3つに分類し、それぞれの実例を挙げた上で、主に監査と法的措置の面からの懸案事項を指摘した本。 最近はPMSCs(Private Military and Security Companies)が正式名称らしいですが、本書が提示しているような広い意味での軍事会社の定義が認められたという事でしょうか? PMFはいくつかの要因(1.兵士の量より質。2.大量復員と新たな戦争。3.軍事的真空)によって発生するものであり、何よりも先に需要(権力闘争、自衛、難民収容、サイバーテロ、etc.)があるから存在する、という事を、まるで経済学の市場原理について学ぶように教えて貰いました。 本書で少なくないページを割いて紹介されている軍事史のとおり、傭兵主体の軍事活動が廃れる日もいつか来るのでしょうが、少なくとも今はそういう方向なのでしょう。 同じく民間企業が政治/軍事のバランスに介入した事例として、『ドキュメント-戦争広告代理店(uri:isbn:4062750961)』と併せて読むべきだと思います。
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冷戦後の世界において国家以外の主体間において勃発する紛争が多くを占めるようになったのは周知の事実ですが、それに対して適切な対処をすることのできなかった先進国および国連にかわって登場した民間の軍事・戦争請負会社がどのような活動をおこない、紛争解決や国連の平和維持活動に関連しているか...
冷戦後の世界において国家以外の主体間において勃発する紛争が多くを占めるようになったのは周知の事実ですが、それに対して適切な対処をすることのできなかった先進国および国連にかわって登場した民間の軍事・戦争請負会社がどのような活動をおこない、紛争解決や国連の平和維持活動に関連しているかと徹底的に調査した書籍です。 私は個人的にアフリカにおける国連PKOを研究したいた関係上、シエラレオネの内戦を終結に導いた南アフリカの民間戦争請負会社(Privatized Military Company)の存在は知っていましたし、実際に論文内でも取り上げましたが、この本はさらに徹底的な情報収集とインタビューによりこの主体がいかなる政治的影響力と活動上のインパクトを国際関係にもたらすのかを学術的に述べた本です。 内容は、グローバル化した市場の中で新しい産業として民間の戦争請負業者が登場するとその広がり方は世界的に一気に拡散していき、研究が追いつかずにここまできてしまったという感を禁じえません。国連の人権委員会がかつて国連PKOにおけるPCFの活動について懸念を表明した議決がありましたが、それも実は時代遅れだったのではと思えてきます。 衝撃的といえば大げさに響くかもしれませんが、主権国家の独占領域で専売特許的な側面もあった軍事部門が民営化していくことの恐ろしさを時間できます。これから、戦争と平和について語ろうとする人には必読の書籍に成るかと思われます。
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国家が威信をかけて行う戦争も民間に委託され始めているという話。今でこそ常識となっているが、これを読んだときはビックリした。古代ローマ帝国は傭兵に争いを任せたことで滅びた。では現代社会ではどうなるのだろうか。。。
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