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血と油 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2017/01/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2004年刊行。米国の『安全保障問題』の最重要課題は石油の安定的かつ安価な確保にある。かかる観点から、アメリカの対外政策(その中でも武力行使を中心に)の有りようを解説したもの。イラク戦争の動機、イランへの強硬姿勢、カスピ海周辺国への介入も全て石油の安定的確保にあると見るのだ。簡明なロジックであるがゆえにわかりやすい。しかも、イラク戦争の開戦原因が「ブッシュの戦争」等からは見えてこない中、説得力もある。このような本書から見えてくる点は、①石油はそう遠くない時期に枯渇する。②石油利用は環境問題と切り離せない。 ③アメリカのような軍事力をもって石油を安定的に確保しようとしても、費用対効果の点から無駄が多すぎる。④代替エネルギーの開発・実用化、省エネルギー機器の開発は急務。長期的に原子力に頼れないことが明らかになった以上、猶更である。⑤米露中が石油資源をめぐるせめぎあいを活発化させる。イランや中央アジア、カスピ海周辺はその好例。というところだろうか。なお、「プーチンのエネルギー戦略」を参照すべし。 日経新聞などでも代替エネルギー源として、メタンハイドレードを解説することが多くなっているようだが、それを利用したエンジン、発電設備が試験的にも完成したとは、寡聞にして知らない。家庭や企業に供給するインフラのありようも説明されないままである。どこまで期待できるのだろうか?判別しづらいところである。

Posted byブクログ

2009/10/04

最近、新聞でも「地政学的リスク」という表現を頻繁に見かけますが、原油価格や身近なガソリンの値段が高騰してる理由は、正にそんな話だったということが、良く理解できます。

Posted byブクログ

2009/10/04

アメリカの国家戦略の本質は石油資源の確保であり、それが国際的に大きな摩擦要因となっている。  『輸入石油への依存が強まれば強まるほど、アメリカが石油絡みの国外紛争に巻き込まれる可能性は高くなる』『根本的な政策転換をしない限り、アメリカの石油輸入依存度は深刻なまでに高まる』。  昨...

アメリカの国家戦略の本質は石油資源の確保であり、それが国際的に大きな摩擦要因となっている。  『輸入石油への依存が強まれば強まるほど、アメリカが石油絡みの国外紛争に巻き込まれる可能性は高くなる』『根本的な政策転換をしない限り、アメリカの石油輸入依存度は深刻なまでに高まる』。  昨今の原油高騰で“アメリカの石油獲得戦争”は一層激しさを増すのだろう。油のための血がこれ以上流れないようにするにはどうしたらよいのだろうか。

Posted byブクログ

2009/10/04

世界NO1の地位にのぼりつめたアメリカが過去・現在・未来において、いかに存在してきたか、またこれから存在しえるかを考えたときに切ってもきれない関係なのが 石油。半分以上を輸入に頼らざるを得ないアメリカが石油産出国に自国に有利に石油を供給してもらう見返りに、安全保障を行ってきたこと...

世界NO1の地位にのぼりつめたアメリカが過去・現在・未来において、いかに存在してきたか、またこれから存在しえるかを考えたときに切ってもきれない関係なのが 石油。半分以上を輸入に頼らざるを得ないアメリカが石油産出国に自国に有利に石油を供給してもらう見返りに、安全保障を行ってきたことの代償を著者は読者に向けて警告する。そして、その石油と安全保障の関係が今後より強固に、より多方面に及ぶことでいったいどうなってしまうのかを予測し、そして批判し、これからアメリカが進むべき理想の道を指南する。

Posted byブクログ