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デイヴィッド・ヒュームの政治学 の商品レビュー

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2013/04/07

『論集』や『イングランド史』などの、ヒュームが執筆した政治に関連する様々なテキストを、ヨーロッパ政治学の「伝統」をヒュームがいかなるものと理解し、それをいかに再記述して「継承」していったかという視座のもとに分析していく。基本的な視点は、政治機構論的政治思想(いかなる機構・制度によ...

『論集』や『イングランド史』などの、ヒュームが執筆した政治に関連する様々なテキストを、ヨーロッパ政治学の「伝統」をヒュームがいかなるものと理解し、それをいかに再記述して「継承」していったかという視座のもとに分析していく。基本的な視点は、政治機構論的政治思想(いかなる機構・制度によって人々の共同生活を枠づけるか)と道徳論的・習俗論的政治思想(個人のいかなる道徳的資質が政治社会を善くするか)のうち、ヒュームは前者をハリントンに学びつつ継承し、後者を批判していったということである。したがってヒュームが依拠しつつ発展をはかるのは、アリストテレス以来18世紀ヨーロッパでも政治学の主流の議論であった政体論である。その政体論のうちでも、ヒュームは「完全な共和国」を理論的に純粋な理想的な政治社会として提示した。その一方で、混合政体たるイングランドにあっても、そもそも政治社会一般の本質である「権力」とその制度化たる「自由」が他の国々に比べればよりよく実現されているというのがヒュームの意見である。最終的に、政治学を論じることはヒュームにとっては政治学史を記述することと同義であった、と結論付けられる。このように、ヒューム自身の思想の面白さもさることながら、それを際立たせる明快な叙述が、ヒュームの議論の力点がどこにあるのかをよくわからせてくれる。

Posted byブクログ