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職業と選抜の歴史の社会学 の商品レビュー

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2016/09/18

職業と選抜の歴史社会学 戦前の都市におけるノンエリートの立ち位置、そして時代や成長に伴う変化をまとめた論文集。この中の鈴木智道「戦前期都市下層における子供の位相と教育戦略」が読みたくて図書館で借りた。 国鉄の研修制度や人事制度に焦点をあてた論文が多いけれど、上記の論文は国鉄と...

職業と選抜の歴史社会学 戦前の都市におけるノンエリートの立ち位置、そして時代や成長に伴う変化をまとめた論文集。この中の鈴木智道「戦前期都市下層における子供の位相と教育戦略」が読みたくて図書館で借りた。 国鉄の研修制度や人事制度に焦点をあてた論文が多いけれど、上記の論文は国鉄と関係なく、近代的な家族のありようが確立される直前の戦前期に、都市下層の過程はどのように子供をあしらっていたかを当時の調査をたよりにまとめてある。 二十世紀になって作り出された「近代的な家族」の成り立ちというのはとても興味深いテーマで、ついつい調べて読んでしまう。 親の収入ごとにコストとしての「小遣い」と投資としての「教育費」を対比させていて、親の学歴と収入の影響を受ける「教育費」と比べ、小遣いは世帯収入が低くても小遣の額は低下しない(でも教育費は収入とそんなに相関係数高くなかったような。) 親は子供のケアをする余裕がなかったのか、そもそも親がある程度育った子供の相手をしてやるという文化が無いのかはこの調査ではわからないが、ともかく小銭を与えて遊びに行かせるということが、他の費用を節約してでも維持しなければならない必要経費になっていた。 当時の都市には無料で遊べるインフラも無いしね… 短い論文なのですが、扱っている内容は面白かった。関連する文章をもっと読んでみたいと思います。 直接は関係ないけれど、1921年の細民調査統計表という資料の、全年齢あわせての教育程度が引用されているんだど、男が非識字33% 女が49%と意外と識字率が低い。この場合の非識字は仮名も読めないカテゴリー。 この惨状は年齢が若いほど就学率が高いので段階的に改善されており、若い年齢だと男性の8割は小学校卒業程度の学力になるのだけれど、それでも「日本人は昔から字が読めた」というのは無理があるなと思った。

Posted byブクログ

2016/02/14

歴史的には注目される機会が少ない、戦前・戦後間もない頃の初等中等教育と国鉄を分析対象とした研究である。天野の先行研究で示された課題を忠実に引き継ぎ、国鉄内での学歴と担当職務の関係を資料に基づいて考察がなされている。今でこそ鉄道には華やかなイメージが先行するが、厳しく暗い側面も淡々...

歴史的には注目される機会が少ない、戦前・戦後間もない頃の初等中等教育と国鉄を分析対象とした研究である。天野の先行研究で示された課題を忠実に引き継ぎ、国鉄内での学歴と担当職務の関係を資料に基づいて考察がなされている。今でこそ鉄道には華やかなイメージが先行するが、厳しく暗い側面も淡々と示される。今日の鉄道業界における労働者の階層に無関係ではないはずと推測しているが、この点についてはもう少し調べてみたい。

Posted byブクログ