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奇跡も語る者がいなければ の商品レビュー

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28件のお客様レビュー

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2023/01/04

文学ラジオ空飛び猫たち第99回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/nq7TRJV3hwb 詩的な小説が好きな人や、過去と現在が交差するような小説が好きな人には読んでもらいたい。 こんなに静かな小説なのに複雑な感情が巻き起こる小説はそう...

文学ラジオ空飛び猫たち第99回紹介本 https://spotifyanchor-web.app.link/e/nq7TRJV3hwb 詩的な小説が好きな人や、過去と現在が交差するような小説が好きな人には読んでもらいたい。 こんなに静かな小説なのに複雑な感情が巻き起こる小説はそう多くないはず。タイトルに負けない素敵な内容。

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2022/12/13

ある通りの人々の一日を書き連ねているだけで、こんなに詩的になるのはこの著者の不思議な文体のためだろうか。帯に書いてあった天使のように書く、と言うのは素敵な表現だとおもう。似ているようで違う言葉で語り、見えているようで見えてないものを見せてくれる。そんな本だ。奇跡も語る者がいなけれ...

ある通りの人々の一日を書き連ねているだけで、こんなに詩的になるのはこの著者の不思議な文体のためだろうか。帯に書いてあった天使のように書く、と言うのは素敵な表現だとおもう。似ているようで違う言葉で語り、見えているようで見えてないものを見せてくれる。そんな本だ。奇跡も語る者がいなければ奇跡とは呼べないし、事実も語る者がいなければまぼろしになる。そんな本だ。たくさん出てくる人たちの中でも、20番地の老夫婦が好き。怒鳴ることないわ、すぐ後ろにいるんだもの。

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2022/07/19

私が呼吸をすれば酸素が減る。私が歩けば足跡ができる。私がなすことはそうして世界に影響を与え、確実に世界を変える。そんなミクロな交流がマクロに世界を動かし、カオスを生み出している……と大上段に構えてしまったが、著者が訴えたいのはそうした世界が豊かなカオスである事実(そして、その事実...

私が呼吸をすれば酸素が減る。私が歩けば足跡ができる。私がなすことはそうして世界に影響を与え、確実に世界を変える。そんなミクロな交流がマクロに世界を動かし、カオスを生み出している……と大上段に構えてしまったが、著者が訴えたいのはそうした世界が豊かなカオスである事実(そして、その事実こそが「奇跡」であること)なのではないだろうかと思った。イギリス映画を連想しながら読んだ。例えば『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のような映画とこの本は似ていないだろうか。「いぶし銀のヒューマン・ドラマ」と片付けると安っぽくなるが

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2020/03/22

この本で起こる奇跡は、死んだ男が超自然的な力で生き返るとか、消えたはずの村が突如現れたとか、そういった派手なものではない。普通の日常の中にあるごくありふれた出来事が、語り手によって同じ場所に並べられて初めて「あれ、これって?」と気付くような奇跡だ。つまり 、語り手抜きでは成立しな...

この本で起こる奇跡は、死んだ男が超自然的な力で生き返るとか、消えたはずの村が突如現れたとか、そういった派手なものではない。普通の日常の中にあるごくありふれた出来事が、語り手によって同じ場所に並べられて初めて「あれ、これって?」と気付くような奇跡だ。つまり 、語り手抜きでは成立しない奇跡。 もし、私の生きる毎日を、この語り手の目でもって見つめてみたとしたら。ものすごく近くで、ちょっとした奇跡が起こっているのかもしれない! そう思うとこの世の全てが素敵を隠しているみたいでワクワクしてくる。

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2015/01/08

なによりも、そのタイトルが気に入って読んでみたものの、Remarkable Things は奇跡じゃないし、それが素晴しいものであることに変わりはないものの、本当のことを表してはいない。 処女作がブッカー賞候補にもなったという話題の作品で、邦訳も何かと趣味のよいシリーズから出版...

なによりも、そのタイトルが気に入って読んでみたものの、Remarkable Things は奇跡じゃないし、それが素晴しいものであることに変わりはないものの、本当のことを表してはいない。 処女作がブッカー賞候補にもなったという話題の作品で、邦訳も何かと趣味のよいシリーズから出版されていて、そのシリーズは新潮クレストなのだけれど、正直あんまり好きになれない。 こういう精密なデッサンのような小説は嫌いではなくて、その独自の文体は、原文からしてかなり特異で詩的なものらしいけれど、それが翻訳によってどの程度再現され、失われているかも判らなくて、でもそういう文体が今一つ響いてこない感触で、実際のところも実験小説の域を出ないのではないか、とわたしは思う。

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2014/02/02

本としての構成は、計算されている。 現在と3年前の話が交互に進んでいく。 原文で読めば、リズム感のある文の繰り返しで詩的なのかもしれないが、そのまま訳してあるようで、読みづらい。 最後に明らかになる「奇跡」も、私的には、「え、なんで?」であり、あまり納得していない。

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2013/05/28

こかの住宅街の通りに住む人々の夏の最後の日が細かく描かれてる。同時にそこに住んでいたある女性の3年後も並行して描かれてる。 読みにくいけど。読み終わったら日常が大切に思えるというあおり文が、ついてた。から多分そんな感じ。

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2013/03/15

新潮クレストはある程度そうですが、かなり難解なので(この時期のイギリス小説の傾向なのか、時系列を敢えて混ぜている感があります)、混乱します……。

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2013/02/05

1997年、夏の最後の日。 ある通りで名もなき人達の日常が始まる。 その独特の文体は流れるようで、そして歌っているようで、 20人を超える住民達の1日をこと細かに描きだしていきます。 「奇跡も語る者がいなければ、 どうしてそれを奇跡と呼ぶことが出来るだろう」 *** 文章を...

1997年、夏の最後の日。 ある通りで名もなき人達の日常が始まる。 その独特の文体は流れるようで、そして歌っているようで、 20人を超える住民達の1日をこと細かに描きだしていきます。 「奇跡も語る者がいなければ、 どうしてそれを奇跡と呼ぶことが出来るだろう」 *** 文章をこんなに美しいと思ったのは初めて。 文学っていう形でしか表現できない物語だと思います。 無名の人々の平凡な生活。確かにあるはずの奇跡は、この物語の中にあってさえ、ささやかで目立つことがありません。 文体が変わっているので好みはわかれると思いますが、おすすめできる一冊です◎

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2012/12/10

 奇跡は語り継がれ、凶事も語り継がれる。  対するようでありながら、どちらも語り継がれるのは人が同じものを見たいという願望からだろう。  そういった意味では奇跡も凶事も、語り継がれる時点においては形の無い芸術であるのかもしれない。  そしてもし生きている事が奇跡だと思えたな...

 奇跡は語り継がれ、凶事も語り継がれる。  対するようでありながら、どちらも語り継がれるのは人が同じものを見たいという願望からだろう。  そういった意味では奇跡も凶事も、語り継がれる時点においては形の無い芸術であるのかもしれない。  そしてもし生きている事が奇跡だと思えたならば、人は同じものを見続けれるのだろう。  ただ凶事もそこに目を向けないわけにはいかない、凶事と奇跡それは分かつべきではないものではないのかもしれないのだから。

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