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エコロジーと歴史にもとづく地域デザイン の商品レビュー

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2012/07/16

 エコロジーとか、まだ、得心がいかない。それで、なんとなく避けていたが、図書館で借りて読んでみたら、とても知的刺激が一杯。  なんか、環境にいい、歴史的なまち、あらいざらい、いろんな観点、学者の人が分析。  おもしろいと思った点。 (1)昨日、季刊まちづくりで、観光とまちづ...

 エコロジーとか、まだ、得心がいかない。それで、なんとなく避けていたが、図書館で借りて読んでみたら、とても知的刺激が一杯。  なんか、環境にいい、歴史的なまち、あらいざらい、いろんな観点、学者の人が分析。  おもしろいと思った点。 (1)昨日、季刊まちづくりで、観光とまちづくりの関係についてコメントしたが、この本で、社会学の堀川先生が、小樽運河の観光化で、歴史的建築物が急速に失われていることを指摘している。(p41)  これはFBでも書いたけど、よく勉強してみる。 (2)ボストンの高速道路の地下化プロジェクト。ブックティッグ。150億ドルを超えてまだ続いているという記述。(p116)  自分は、本来は公共投資を増加させるべきだと思うが、その前提として日本の経済社会が持続可能か、簡単にいうと、行政側が投資する余力があるかという点がとても気になる。  首都高速道路の日本橋付近の地下化も、現状よく知らないが、兆円のこえるような投資を、日本の経済がこれから耐えられるだろうか。当然、今の世代の税金でやるか、将来の世代の税金でやるかは別にして、それまでの負担をしてどうしてもやらなければならないプロジェクトなのか、といった視点が重要だと思う。  財政論からいうと、社会保障で、自分の世代を含むそれ以上の世代の給付額と医療費を下げるという厳しい選択を政権ができないと、どんどん増税し続けることになるか、どんどん国債をだして、最後はハイパーインフレーションになる。その前に経済社会の持続性をきちんと考える必要がある。  都市計画は、将来の都市の経営をも計画することになるので、その意味での実感のある持続可能性という観点も重要なのではないか。財務省の役人がいじわるしているのではなくて、本当に今、日本の経済社会の仕組みは岐路に立っているという問題意識をできるだけ多くの人がもちたいと思う。  どんどん、横道にそれたが、横道にそれるだけの大事な視点を各所にちりばめた良著。

Posted byブクログ