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珈琲相場師 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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珈琲で大もうけしよう…

珈琲で大もうけしようとたくらんだ男の物語。歴史ミステリの佳作。

文庫OFF

2017/03/17

紙の迷宮の主人公のおじいちゃんが主役の歴史ミステリー。 目まぐるしく変わる状況のスリルで言えば、こちらの方がおもしろかったかも。 そしてやっぱり、ユダヤ人ということに考えさせられます。

Posted byブクログ

2012/06/22

オランダを舞台にした作品というのは初めて。時代はペスト流行や宗教裁判がヨーロッパ中に影を落としていたころだが、欧州商業の中心地という地位を確立していたこの国では、ユダヤ教徒が必ずしも「マイノリティ」として扱われてはいない。その点がとても興味深かった。むしろキリスト教徒が隠れて礼拝...

オランダを舞台にした作品というのは初めて。時代はペスト流行や宗教裁判がヨーロッパ中に影を落としていたころだが、欧州商業の中心地という地位を確立していたこの国では、ユダヤ教徒が必ずしも「マイノリティ」として扱われてはいない。その点がとても興味深かった。むしろキリスト教徒が隠れて礼拝をあげていたりもする。同じユダヤ教徒であっても、あちらはあちら、こちらはこちらと、社会的に区別されていたりもする。これは民族を保護する公会議マアマトという組織が機能しているためだ。 公会議はユダヤ人共同体の利益を考え、運営されているが、その目的ゆえに唾棄すべき宗教裁判所に近い性質を帯びる、その可能性を秘めている。すなわち、ユダヤ教徒は共同体から追放されることを恐れるのだ。ここでの生活を追われるということは、そのまま宗教裁判所の悪意にさらされることを意味する。ゆえに、公会議の権威は力のないユダヤ教徒に対して圧力ともなりうる。 物語はそんな舞台で繰り広げられ、ポルトガルのリスボンから逃れてきた過去を持つミゲルという商人にスポットライトを当てる。砂糖取引で破産の憂き目にあっていたかれは、オランダ人未亡人にコーヒーでの商売を持ちかけられる。当時、あんな黒くて苦い土のようなものを飲む人間などいなかったが、東欧ではすでに愛用されているという。西欧にも兆しがある。うまく市場を操作できれば、かならず需要を招くことができる。そういう騙し騙されのミステリ。おりしも、先物取引、株などといった新しいビジネスの形が出来上がったばかりの時代だ。

Posted byブクログ

2011/09/13

17世紀。チューリップ・バブル直後のアムステルダムで繰り広げられるコーヒー豆先物取引を巡るサスペンス。舞台設定と時代考証はほとんど申し分ない。しかし、肝腎の先物取引に関する丁々発止、熱気の描写は今ひとつ。あっと驚くどんでん返しもなく、読後に少しくフラストレーションが残る。筆力のあ...

17世紀。チューリップ・バブル直後のアムステルダムで繰り広げられるコーヒー豆先物取引を巡るサスペンス。舞台設定と時代考証はほとんど申し分ない。しかし、肝腎の先物取引に関する丁々発止、熱気の描写は今ひとつ。あっと驚くどんでん返しもなく、読後に少しくフラストレーションが残る。筆力のある作家なので、この先に期待したい。と日記には書いておこう!。

Posted byブクログ

2011/08/20

 先物取引をテーマにしたミステリーで、ミステリーとして非常に面白い作品だと感じた。物語は、主人公ミゲルの一人称で進んでいくが、彼が出会う人全てと駆け引きを行い、疑い、常に何が真実かを考える。と、同時に読み手である私も、物語の真実の予想を楽しむ。そんなミステリーらしい楽しみ方ができ...

 先物取引をテーマにしたミステリーで、ミステリーとして非常に面白い作品だと感じた。物語は、主人公ミゲルの一人称で進んでいくが、彼が出会う人全てと駆け引きを行い、疑い、常に何が真実かを考える。と、同時に読み手である私も、物語の真実の予想を楽しむ。そんなミステリーらしい楽しみ方ができる小説だった。  この小説、最初は通勤の電車で少しずつ読み進めていたのだが、いまいち面白いと思うことは無かったが、土日を利用して残りを読むと非常に引き込まれて、一気に読み上げてしまった。特に、クライマックスにかけて、主人公が真実を探し回り取引を成功へ導こうとする展開は巧みだと思う。そして、結末に残る後味の悪さもまた、この小説を面白くしている。  この作者「デイヴィッド・リス」は、「紙の迷宮」という作品でアメリカ探偵作家クラブの最優秀新人賞を受賞しているとのことだが、「紙の迷宮」という作品も機会を見つけて読んでみようと思う。

Posted byブクログ

2013/04/30

ちょっと期待しすぎたかも…。 展開が読め過ぎてしまって。 騙し騙されは相場の世界では当たり前ですからね。

Posted byブクログ

2009/10/04

著者デイヴィッド リスは大学院で18世紀のイギリス文学と金融の関係を研究していたということで、舞台である17世紀オランダアムステルダムや当時の相場や先物取引、そしてユダヤ人の位置づけなどが確かな知識の元に過不足なく描かれた上質な歴史ミステリー。ダヴィンチコード等の謎解きの派手さは...

著者デイヴィッド リスは大学院で18世紀のイギリス文学と金融の関係を研究していたということで、舞台である17世紀オランダアムステルダムや当時の相場や先物取引、そしてユダヤ人の位置づけなどが確かな知識の元に過不足なく描かれた上質な歴史ミステリー。ダヴィンチコード等の謎解きの派手さはないけれど相場を巡る駆け引きや陰謀に引き込まれ後半はページをめくるのがもどかしいほどだった。相場を巡っての術策の果てに更に予期せぬ心理的などんでん返しがあるのも単なるミステリーを超えた深さがある。

Posted byブクログ

2009/10/04

「17世紀中葉のアムステルダム。 そこそこの相場師だったミゲルは、砂糖取引で失敗し、弟の家に居候する羽目に。 借金は増える一方のそんなある日、謎めいた魅力的な未亡人ヘールトロイドから コーヒーで一儲けしないかと声をかけられる。 ヨーロッパではまだまだ飲む人間は少ないが、それで大儲...

「17世紀中葉のアムステルダム。 そこそこの相場師だったミゲルは、砂糖取引で失敗し、弟の家に居候する羽目に。 借金は増える一方のそんなある日、謎めいた魅力的な未亡人ヘールトロイドから コーヒーで一儲けしないかと声をかけられる。 ヨーロッパではまだまだ飲む人間は少ないが、それで大儲けする計画を立てる。 しかし、ミゲルの前には、次々と問題が! 出資者のヘールトロイド。 仲の悪い弟のダニエル。 ミゲルを嫌うユダヤ教の幹部パリド。 友人の貿易商ヌネス。 金貸しアルフェロンダ。 ミゲルを逆恨みするヨアヒム。 弟の妻ハナ。 メイドのアナヒャ。 それぞれが秘密を持ち、ウソをつき、果たして誰が味方なのか?」 『紙の迷宮』の主人公、ベンのおじいさんの話。 『紙の迷宮』が非常に面白かったので、期待して訳されるのを待ってたんだけど、 期待以上の面白さ。個人的には前作より面白かった。 人死には出ないんだけど、先物取引と言う情報戦で、 商品の価格、船の到着、迫る借金取り、預かった金の流用、 おまけににいつユダヤ教の公会議に召還されるかも知れず、噂とスパイを気にする毎日。 なかなか安心できない。 現物も現金もない商売で、 誰の言葉が信用でき、誰が敵なのかが最後までわからない。 人が殺されなくても、こんなにスリリングなミステリが書けるんだよなぁ。 お見事。 アムステルダムの街並み、たくさんの外国人が入り込み活気ある市場、 ユダヤ教の社会、どれもしっかり描き込まれていて満足。 オススメ。

Posted byブクログ