エリカ 奇跡のいのち の商品レビュー
奇跡の物語、そして悲しいのは、彼女を生かそうと決意した彼女の両親は、彼らの死を同時に悟っていたという事実である。 幸いにも、彼女は自分に課せられた使命の大きさを知り、感じながら生きることができた。それが本当に幸運で、そのために彼女の両親たちが報われている。 このような彼女の境...
奇跡の物語、そして悲しいのは、彼女を生かそうと決意した彼女の両親は、彼らの死を同時に悟っていたという事実である。 幸いにも、彼女は自分に課せられた使命の大きさを知り、感じながら生きることができた。それが本当に幸運で、そのために彼女の両親たちが報われている。 このような彼女の境遇ではなくても、私たちは多くの命のその先に生きている。それを実感するには、やはり歴史を知るしかない。歴史を学ぶことは、いまの自分の使命を明確にすることにもなる。 どんな人でも、これまでの自分たちの家族、民族、国の成り立ちの軌跡をたどるべきである。それは、同じ過ちを繰り返さず、過去の彼らの思いを引き継ぐために。偏った考えや過ちに気付けるように。 私たちが生きている時代は今であり、過去を変えることはできない、なじったり、謝ったり、嘆いたり、それは本質ではないと思う。 歴史をたどると、作り話みたいにあり得ないくらい馬鹿馬鹿しいことが当然のようにまかり通っていることに気づく。 それは古い時代だから起こった、ということではないと思う。まったく同じことは信じられないかもしれないけれど、他のことでやはりあり得ないようなことが、きっとこれからも当たり前のように起こる。 ある具体の歴史的出来事だけが仰々しく、まるでそれだけがおかしかったかのように取り上げられるのは、リスクがある。戦争に駆り立てたものは何か。迫害はなぜここまで強まったのか。それを考えたい。 昔はこわかったんだね、で終わらせては意味がない。むしろ、今の時代は安全ですよ、という宣伝のような気もしてなんか不安になる。時代の過ちのその一部は、きっと消化されないままに、今の時代にも生き続けているだろうから。
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ハース・バンダー・ジー(米)・文、ロベルト・インノチェンティ(伊)・絵、柳田邦男・訳 「エリカ 奇跡のいのち」、2004.7発行。1944年、汽車がユダヤ人強制収容所に入る直前、「死」に向かう母親が生後2~3ヶ月の赤ちゃんを(「生」に向かって)汽車の窓から外の草むらに放り投げ、そ...
ハース・バンダー・ジー(米)・文、ロベルト・インノチェンティ(伊)・絵、柳田邦男・訳 「エリカ 奇跡のいのち」、2004.7発行。1944年、汽車がユダヤ人強制収容所に入る直前、「死」に向かう母親が生後2~3ヶ月の赤ちゃんを(「生」に向かって)汽車の窓から外の草むらに放り投げ、それを目撃した村人に助けられ奇跡的に生きのびたエリカの物語です。著者(米国、中学校の教師)は1995年、エルサレム(夏の研究)からの旅でドイツローテンブルグに寄った時、エリカに出会い、エリカから聞いた話を物語にしたそうです。
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図書館で偶然手に取り。 映画「愛と哀しみのボレロ」でも同じ状況が描かれていた。 年齢を重ねて来て、残された子どもの気持ち以上に、置き去りにしてでも子どもの「生」を祈った母の気持ちが胸に突き刺さる。
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実話。1944年。ユダヤ人は強制収容所に送り込まれ、毒ガスなどで大量虐殺された。生まれて間もないエリカは強制収容所に送り込まれる貨物列車の小さな換気用窓から、母親によって投げられた。「お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。」ユダヤ人の子ど...
実話。1944年。ユダヤ人は強制収容所に送り込まれ、毒ガスなどで大量虐殺された。生まれて間もないエリカは強制収容所に送り込まれる貨物列車の小さな換気用窓から、母親によって投げられた。「お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです。」ユダヤ人の子どもをあずかるという危険をおかしてでもエリカを立派に育てた女性は凄いと思った。
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第二次世界大戦中、強制収容所に送られる直前、奇跡的に生き延びることができたエリカの物語。実話をもとに、淡々と出来事を語るように書かれていますが、ここで語られていないことの重さを想像してしまう。
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自分の子を、生に向かって、投げる。 できるだろうか。 一緒に死へ向かってしまうかも。 アンネの日記のようにたくさんの家族の別れがあり、幼い命、尊い命が奪われたのだろう。 ユダヤ人迫害、ナチス、悲しい歴史です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「いのち」をテーマにしたエッセイを数多く書かれている柳田邦男さんの翻訳による一冊。 "お母さまは、じぶんは「死」にむかいながら、わたしを「生」にむかってなげたのです" 第二次世界大戦下、ユダヤ人の赤ちゃんとして生まれた「エリカ」さんによって語られたものがたりを題材とした絵本。こころに沁みます。
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戦争というテーマで5年生に紹介したなかで、子どもたちの反応が最も大きかった本。「死」の収容所へむかう母は、いちるの望みをかけて赤ちゃんを列車から放り投げた。その子がエリカ。
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クラスで読み聞かせした。 いつも授業中は寝てるか、しゃべるか、落書きしてる彼も しっかり聞いて、自分なりの感想を書いた。 そのくらい力のあるよい絵本。 いろんな人に読んでほしい。
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死を直感した両親が、列車から一縷の望みを託して、強制収容所行きの列車の窓から我が子を投げ出した。多くを語らない絵本から、その思いが滲み出す...
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