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とうほく妖怪図鑑 の商品レビュー

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2011/12/23

『とうほく妖怪図鑑』見開きで妖怪伝承を紹介 本書(山口敏太郎『とうほく妖怪図鑑』無明舎出版、2003年)は、東北の妖怪や伝承を地域別に紹介した書籍である。一つのテーマを見開き2頁で紹介しており、読みやすい。妖怪の出現が伝承された場所を紹介するため、観光案内にもなる。「戦争に行った...

『とうほく妖怪図鑑』見開きで妖怪伝承を紹介 本書(山口敏太郎『とうほく妖怪図鑑』無明舎出版、2003年)は、東北の妖怪や伝承を地域別に紹介した書籍である。一つのテーマを見開き2頁で紹介しており、読みやすい。妖怪の出現が伝承された場所を紹介するため、観光案内にもなる。「戦争に行った鹿島さん」(16頁)や「八甲田山の兵士の怨霊伝説」(106頁)のように近代になってからの伝承もあり、妖怪が前近代の遺物ではないことを示している。実際、口裂け女のように現代の都市伝説も存在する。 本書は伝承に社会学的な分析を加えている点も特色である。たとえば「狐が嫁になりすます」怪談は共同体の秩序を見出す異人としての嫁への警戒感が反映されていると指摘する(33頁)。実際、現代でも相続紛争の泥沼化の原因として嫁の口出しが指摘される灰谷健司『相続の「落とし穴」 親の家をどう分ける?』角川SSコミュニケーションズ、2008年、58頁)。妖怪は現代に通じるテーマである。(林田力)

Posted byブクログ