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ドン・キホーテ 後篇(訳者:牛島信明)(三) の商品レビュー

4.8

14件のお客様レビュー

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物語も終盤にさしかか…

物語も終盤にさしかかり、ドン・キホーテ主従は、当時実在のロケ・ギナール率いる盗賊団と出会い、さらにガレー船とトルコの海賊との交戦を目撃することになる。

文庫OFF

2024/05/30

創作である騎士道物語を現実にあった存在だと思い込み、自身も遍歴の騎士となった狂人ドン・キホーテの最後の冒険。 従士サンチョ・パンサと共にその狂人ぶりを周りから揶揄われ、笑われながらの旅。当人たちはいたって真面目に旅を続けているつもりでも、その滑稽さはやはり可笑しく、しかし少し虚し...

創作である騎士道物語を現実にあった存在だと思い込み、自身も遍歴の騎士となった狂人ドン・キホーテの最後の冒険。 従士サンチョ・パンサと共にその狂人ぶりを周りから揶揄われ、笑われながらの旅。当人たちはいたって真面目に旅を続けているつもりでも、その滑稽さはやはり可笑しく、しかし少し虚しさも感じた。 前編の出版が1605年、後編が1615年と、およそ400年前に出版された本作だが全く古臭さを感じない。メタ的な表現が多数盛り込まれていたり、一見喜劇として書かれている中にも登場人物に当時のスペイン国民の精神性がよく表されており、現代でこれほど評価されているのも頷ける作品だった。

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2023/02/02

訳者による解説は必読。この物語の卓越性が余すところなく触れられている。 物語という形式の万能さを本作品は示している。 最後の終わり方も見事。物語が物語で終止符を打つなんて華麗すぎる。

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2022/11/28

狂気が薄れていく主人公と、 狂気を帯びていく登場人物たち。 読む前は長すぎると思ってたけど、 読み終えると全部必要な物語だったと思える。 折に触れて読み返したい。 p305 人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う p407 「ああ、旦那様!...

狂気が薄れていく主人公と、 狂気を帯びていく登場人物たち。 読む前は長すぎると思ってたけど、 読み終えると全部必要な物語だったと思える。 折に触れて読み返したい。 p305 人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う p407 「ああ、旦那様!」と、サンチョが泣きながら叫んだ。「どうか死なねぇでくださいよ。それより、おいらのいうことを聞いて長生きしておくんなさい。

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2022/08/11

ラストになると、もう読者は間違いなくドン・キホーテとサンチョのことが好きになっているはずです。彼は確かに狂気を抱いていますが、誠実で、利他的で、知的で、ユーモラスで、魅力に溢れています。そのキャラの魅力と、メタ視点の構造が合間って、とんでもない傑作です。タイトルを知っているだけで...

ラストになると、もう読者は間違いなくドン・キホーテとサンチョのことが好きになっているはずです。彼は確かに狂気を抱いていますが、誠実で、利他的で、知的で、ユーモラスで、魅力に溢れています。そのキャラの魅力と、メタ視点の構造が合間って、とんでもない傑作です。タイトルを知っているだけで人生終わらなくて本当に良かったです。

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2021/11/07

狂っているように見えても、人間にとって大事なのはそこじゃない。ドン・キホーテが持っていた誠実さと真剣さと優しい心、それ故にみんな彼が大好きなのです。なんと愛おしきおじさんでしょうか。 サンチョと司祭さんや学士さんたちと一緒に羊を追いかけている様子は想像しただけで幸せでいっぱいにな...

狂っているように見えても、人間にとって大事なのはそこじゃない。ドン・キホーテが持っていた誠実さと真剣さと優しい心、それ故にみんな彼が大好きなのです。なんと愛おしきおじさんでしょうか。 サンチョと司祭さんや学士さんたちと一緒に羊を追いかけている様子は想像しただけで幸せでいっぱいになります。 …見たかったなぁ。

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2021/06/25

2021/6/25 虚構を否定しながら虚構を書くセルバンテスって人は何なんだ・・・ 最終章でドン・キホーテ、いや、アロンソ・キハーノが騎士道物語を否定し、真理に目覚め、そして亡くなるのは文学の死ではないか。 セルバンテスの真意は何だったのかモヤモヤが残るが、時がヒントをもたら...

2021/6/25 虚構を否定しながら虚構を書くセルバンテスって人は何なんだ・・・ 最終章でドン・キホーテ、いや、アロンソ・キハーノが騎士道物語を否定し、真理に目覚め、そして亡くなるのは文学の死ではないか。 セルバンテスの真意は何だったのかモヤモヤが残るが、時がヒントをもたらしてくれることを信じよう。 ちなみに、サンチョの眠りの表現は素晴らしい。おかげで毎晩快眠できそう。

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2015/08/13

遂に本編をもって、一連のドン・キホーテ作品が完結してしまう。 この事実はシリーズを通じて読んだ方にのみ訪れる寂寞の足音を痛感させるものだった。 ドン・キホーテは自らの狂気から目覚め、正気のうちに死ぬのだ。そしてこのことは、私たちが愛したのは、彼の狂気そのものではなく礼節と正...

遂に本編をもって、一連のドン・キホーテ作品が完結してしまう。 この事実はシリーズを通じて読んだ方にのみ訪れる寂寞の足音を痛感させるものだった。 ドン・キホーテは自らの狂気から目覚め、正気のうちに死ぬのだ。そしてこのことは、私たちが愛したのは、彼の狂気そのものではなく礼節と正義の心であったことを知らしめる。この主人公の旅は誰の心にも潜む狂気を暴いていく正義の旅だったことを知らしめるのである。

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2013/07/10

ドン・キホーテが理性を取り戻すにつれて、逆にセルバンテスの世界は狂気に満ちていく。 周囲の人びとは、ドン・キホーテ一行に悪戯する。それは、段々過激化してきて、もはや「いじり」ではない。それだけでなく、痛々しいアクシデントも多発する。それもやはり、ドン・キホーテ一向を苦しめるだけ...

ドン・キホーテが理性を取り戻すにつれて、逆にセルバンテスの世界は狂気に満ちていく。 周囲の人びとは、ドン・キホーテ一行に悪戯する。それは、段々過激化してきて、もはや「いじり」ではない。それだけでなく、痛々しいアクシデントも多発する。それもやはり、ドン・キホーテ一向を苦しめるだけが目的に思える。ドン・キホーテを取り巻く世界自体が狂ってきているのだ。 さらなる狂気は、ニセ作家との絡みだ。実際に、『ドン・キホーテ』が出版された後、『続編』が刊行されたらしい。それはセルバンテスの手によるものではない。贋作である。その贋作を、あろうことかドン・キホーテ自身が批判するのだ!しかも、ニセ作家本人も登場する……。もう現実と虚構との区別が付けがたくなってしまう。まさに狂気の世界だ。 ドン・キホーテは風車と戦った男だ、というのはよく知られている。このエピソードは、第1巻(前篇一)に収録されている。牧歌的なおバカさだ。この手の話が延々と続くだけだったら、『ドン・キホーテ』はただのベストセラーで終わっていただろう。しかし、第6巻(後篇三)のラスト数章で、『ドン・キホーテ』は「狂気」の最高潮を迎える。それによって、『ドン・キホーテ』は世界文学の金字塔を打ち建てたのだ、と思った。

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2013/04/09

全六巻に及ぶ冒険譚も遂に完結。ドン・キホーテはもはや旅籠を城と見間違えず、豚の群れを合戦場と勘違いすることもない。サンチョだって知己に富んだ発言が所々で顔を出す。もはや狂気に囚われているのは彼らを愚弄する側であり、それを期待する読者の方なのだ。故郷に帰ることで遂に魔法から解放され...

全六巻に及ぶ冒険譚も遂に完結。ドン・キホーテはもはや旅籠を城と見間違えず、豚の群れを合戦場と勘違いすることもない。サンチョだって知己に富んだ発言が所々で顔を出す。もはや狂気に囚われているのは彼らを愚弄する側であり、それを期待する読者の方なのだ。故郷に帰ることで遂に魔法から解放され、自らの名前を取り戻すラストは感動的ですらある。著者の目論見通り騎士道物語は時代遅れのものとなり、中世は葬られ近代が始まる。小説は決して虚構なだけでなく、現実を更新するものなのだ。笑って泣けて批評精神に満ち溢れた、永遠の大傑作。

Posted byブクログ