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カイエ・ソバージュ 神の発明(4) の商品レビュー

3.8

17件のお客様レビュー

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2011/04/06

神を発明した、というタイトルがすばらしい。 人間の能力を超えた出来事やものを体験した場合、それは神様なのだと人間は感じるため、本当の無神論者にはなかなかなれないとのこと。たしかに。 あの世とこの世、一神教と多神教の対比が面白い。人間を知るには宗教なのだなと感じさせられた。

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2011/01/11

本書は、文化人類学や宗教学をはじめとして様々な分野・領域の成果を利用しながら、「神」という存在が人類の心のなかにどのようにして成立したのかを論じる。 「神(God)」とは、本書ではキリスト教など唯一神を奉ずる宗教における神を指す。しかし原初的なアミニズムやグレート・スピリットな...

本書は、文化人類学や宗教学をはじめとして様々な分野・領域の成果を利用しながら、「神」という存在が人類の心のなかにどのようにして成立したのかを論じる。 「神(God)」とは、本書ではキリスト教など唯一神を奉ずる宗教における神を指す。しかし原初的なアミニズムやグレート・スピリットなど、また多神教における神的存在やスピリット(精霊)といった存在をどう考えればよいか。人類が当初思い描いた数多くのスピリット集団を説明し、そのなかからグレート・スピリットといわれる特に重要な精霊が分化・発生し「来訪神」と呼ばれる存在になる段階を説く。そして、そこから人類の思考がさらに変化して「高神」と呼ばれる、いわゆる唯一神が発生する。このように本書では、精神考古学的な検討で人類の宗教的思考を原初から辿り、最終的には唯一神的神観念が成立する人類の心の様相の変化を、順序立てて論じる。 日本におけるカミ観念も交えながら、横断的に「超越」の思考を語る本書は、大学での講義録を元にしており、難解な説明に陥りやすい本書内容を理解しやすくしている。

Posted byブクログ

2010/09/16

カイエ・ソバージュ第四弾。 「神の発明」では今までに比べてスピリチュアルな話が多かった。 以下気になったところをつらつらと。 第一章より ・「ヤヘ集会」という一般の人に開かれた集会ではシャーマンが調合して液体ジュースを飲んで、幻覚体験を行って、宇宙の力と生命の源泉である「銀河」...

カイエ・ソバージュ第四弾。 「神の発明」では今までに比べてスピリチュアルな話が多かった。 以下気になったところをつらつらと。 第一章より ・「ヤヘ集会」という一般の人に開かれた集会ではシャーマンが調合して液体ジュースを飲んで、幻覚体験を行って、宇宙の力と生命の源泉である「銀河」へ出かける体験をしていた。 ・幼い子供が立派な抽象画家であるのは「内部閃光」に基づいているため。昔の土器などの模様も内部視覚によるもの。つまり芸術は外の世界を見て書き始めたのではなく、自分の内側を見て書かれたのではないか。 第三章より ・アボリジニの間で知られている虹の蛇。これは創造を司るスピリット。それは雨期に雨を降らせ、大地を潤わせ、繁殖を促すため。一方虹の蛇は偉大な律法者でもあった。 第四章より ・現実とドリームタイムが同じ空間で生起しているのはメビウスの帯で表わせる。 ・蛙は死の領域に近いところに生息している両義的な水中動物だとされている。月の表面にくっつき「月の隈」となっているのも蛙だといわれているし、水を吐いて大切な火を消すのも蛙。 ・二つのゴッドは高神型と来訪神型にわけられる。 第五章より ・「訪れ神」は面をつけたり奇怪ないでたちで音楽性まで豊か。奄美の島の「ポシェ」という仮面の神はマラ棒という棒で女性たちを追い掛け回す。 ・高神のイメージは無象性。来訪神は対極のイメージ。 ・来訪神に与えられた特質のすべてが死と生命をひとつに繋ぎ、身体の内部と外部をひとつに繋ごうとする。たとえば母乳、涙、血、精液、唾液、排泄物など。人と外の境界に生えているのは植物だからそれを身にまとうことで中間的対象の性質をおびる。またグロテスクの美に近親性をもつ。 第六章より ・人間は自分の直感がとらえている世界の全体性を表現しようとして次々言葉を繰り出すが、常に自分の語りたいことを語り損ねる宿命を持っている。必ず空虚な中心が出現する。しゃべっていることはすべて比喩にすぎなく、言葉とモノを一致させることはできない。人間は真ん中に空虚な穴が開いたトーラスである。 第八章より ・空虚な穴を満たすことが出来るのは一神教の神だけである。神の知性だけが完全。私たちの非知をも包み込んでいる。 終章より ・一神教の想像力のもとでは(聖書のゴーレムや錬金術師によるホムンクルス創造は神の行為の真似のため)ロボットも人造人間も生命と非生命の対立をかかえたことで苦しみ続ける。 まとめとなる第五巻への序章である気がする。 その想像と幻想的な話の誕生の由縁の話のために別世界に迷い込みながら案内人で話を聴いている気分。 神”の”発明というタイトルも的を得ている。 神が私たちを創り、私たちが神を創ったのだ。

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2010/09/08

「国家」「神orグレートスピリット」など、超越性をもったものがいかにして生まれたのか? 野生の覚書(カイエ・ソバージュ)は4冊目にして雲を突き抜けはじめる!

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2010/07/14

[ 内容 ] 内部視覚、瞑想、夢の時間…。 「宗教的思考」の根源はどこにあるのか?精霊が超越を生む。 高神から唯一神へ。 “精神の考古学” が、神々の基本構造をあざやかに解き明かす。 [ 目次 ] スピリットが明かす神の秘密 脳の森の朝 はじめての「超越」 神にならなかったグレ...

[ 内容 ] 内部視覚、瞑想、夢の時間…。 「宗教的思考」の根源はどこにあるのか?精霊が超越を生む。 高神から唯一神へ。 “精神の考古学” が、神々の基本構造をあざやかに解き明かす。 [ 目次 ] スピリットが明かす神の秘密 脳の森の朝 はじめての「超越」 神にならなかったグレートスピリット 自然史としての神の出現 神々の基本構造(メビウス縫合型;トーラス型) 高神から唯一神へ 心の巨大爬虫類 未来のスピリット [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2009/10/04

一神教の世界は真ん中の空いた浮き輪のようなもの(トーラス)をびっしりと「ことば」が覆いつくしているイメージで描かれている。「この世」の現実はことばの象徴秩序によってつくられているという考え方だ。しかし、真ん中にぽっかり空いた穴は埋めることはできない。それを満たすことができるのが唯...

一神教の世界は真ん中の空いた浮き輪のようなもの(トーラス)をびっしりと「ことば」が覆いつくしているイメージで描かれている。「この世」の現実はことばの象徴秩序によってつくられているという考え方だ。しかし、真ん中にぽっかり空いた穴は埋めることはできない。それを満たすことができるのが唯一、神(ゴッド)であると考えられている。 かくして知性偏重、「知」と「権力」が一体であるような文明が生まれた。 しかし、当然のことながら、知性のみで全てのものごとを掌握することは難しい。例えば「生命」だって、形質についての情報を伝えるゲノムのみでは、生命体が「生きる」ことはできない。それが動き出すような着火剤の働きをする「生命力」のような存在が必要である。 キリスト教はそこで上手に「三位一体」のシステムの中に「スピリット」という項目を組み込んで、うまく「生命の原理」を取り入れることに成功した。そして「神は死んだ」とまで言われる時代になってもそのスピリットの持つ増殖・均質・多様といった性質は、貨幣や商品、コンピュータに受け継がれている。しかしそのスピリットは半ば亡霊と化している。あらゆる宗教のあとに出現するもの〜Religion After Religion〜が期待されている。それを生み出すのは原初から変わらない脳であり心でしかない、と筆者は強く訴える。 2006.08.15-31.

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2009/10/07

またしてもなんとな〜く、ウスラボンヤリ思っていたことを理路整然と整理してもらって、スッキリ!!!しました。 もともとヒトとは、”超越したもの”の存在を自然と感じている生き物であって、それがアニミズム信仰になったり、発展して宗教になったり、しているらしい。 だいたいどの地域にも...

またしてもなんとな〜く、ウスラボンヤリ思っていたことを理路整然と整理してもらって、スッキリ!!!しました。 もともとヒトとは、”超越したもの”の存在を自然と感じている生き物であって、それがアニミズム信仰になったり、発展して宗教になったり、しているらしい。 だいたいどの地域にも、高神と来訪神、という2つの相対するカミがいて、高神は太陽や山のように、常にそこにあって日々の生活を守ってくれるカミ、対して来訪神はいつもは不在なんだが決まった日にやってきて、この世と異界(死者の世界とか)をつなげたり、するというカミ。この2つが揃っているとバランスが良いようで。本州にはわかりやすい来訪神はいらっしゃらないようですが、沖縄のニライカナイ信仰とか、まさにこれ。目からウロコがぼろぼろ。 まったく違う世界観に基づいているように感じられる唯一神の宗教も、おおもとのカタチは、同じなんだそうです(唯一神しか居ない西洋世界にも、妖精やトロールというものが残っているのはその証拠。日本の妖怪も広い意味ではおんなじもの)。

Posted byブクログ