未完成 の商品レビュー
若さとはこんなに淋しい春なのか 映画「ずぶぬれて犬ころ」(本田孝義監督作品)を観た足で、岡山県立図書館を訪れ、この本を借りた。2003年発行。顕信の一周忌に間に合わせて刊行された88年の句集「未完成」の文庫版である。顕信は、私が岡山市に住んでいた頃、岡山市民病院で闘病し1987...
若さとはこんなに淋しい春なのか 映画「ずぶぬれて犬ころ」(本田孝義監督作品)を観た足で、岡山県立図書館を訪れ、この本を借りた。2003年発行。顕信の一周忌に間に合わせて刊行された88年の句集「未完成」の文庫版である。顕信は、私が岡山市に住んでいた頃、岡山市民病院で闘病し1987年にたった25歳で死去している。岡山リビング新聞という、新聞に挟み込む広告新聞で1度大きく取り上げられてはいるのだが、死後しばらくして有名になるまで一切知らなかった。その死を知らぬ間に、私は彼が全集を2冊ボロボロになるまで読み込んで、遂に彼の行くこと叶わなかった小豆島の尾崎放哉終焉の地を旅している。そこで、私は初めて自由律俳句を本格的に読んだ。 咳をしてもひとり 放哉の句だ。自由律俳句は引き算である。と、私は思う。定型俳句が、17文字の中に広大な世界を入れ込む試みなのに対して、その対極な所に顕信の句はある。 夜の窓にふとうつる顔がある 洗面器の中のゆがんだ顔をすくいあげる 影もそまつな食事をしている 長い闘病生活の中の、切り取られた感情。日本語の、現代語の、磨きに磨きあげた可能性。 香山リカさんが「顕信の句は、実は現代的で都会的」と言い、解説の池畑秀一氏も同意しているが、実は私も同意する。 気の抜けたサイダーが僕の人生 映画「ずぶぬれて犬ころ」では、いじめに遭っている中学生が最初に選ぶ顕信の句である。放哉のように破滅的でもなく、家族の愛に包まれ、それでも白血病と闘い亡くなった顕信の、その心像風景は30年経てもなお、切々と若者に届くだろう。あと30年生きて我々の前に立っていれば、きっと未完成などではなく新たな地平を見せているかもしれない。などとも思う。 夜が淋しくて誰かが笑いはじめた
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「気の抜けたサイダーが僕の人生」夭折の俳人、住宅顕信。22歳で得度、浄土真宗の僧侶に。その年に結婚、まもなく、骨髄性白血病を発症。妻とは離縁させられ、残された乳飲み子を病室で育てる。壮絶な闘病生活のなかでつくられた自由律俳句。「点滴と白い月とがぶらさがっている夜」「念仏の口が愚痴...
「気の抜けたサイダーが僕の人生」夭折の俳人、住宅顕信。22歳で得度、浄土真宗の僧侶に。その年に結婚、まもなく、骨髄性白血病を発症。妻とは離縁させられ、残された乳飲み子を病室で育てる。壮絶な闘病生活のなかでつくられた自由律俳句。「点滴と白い月とがぶらさがっている夜」「念仏の口が愚痴ゆうていた」「抱きあげてやれない子の高さに坐る」「若さとはこんなに淋しい春なのか」25歳、死去。彼の人生を切り離しては彼の作品は味わえない。
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附属図書館にて、単行本2版を。 第2回ラウンドテーブル 第2ラウンド紹介本。 25歳までの生涯でこれらの句を。感嘆。 ゆっくり一つ一つ読み上げ、過ぎてゆく時と弱る身体を思う。 月と雲が印象的だった。「雲が顔になる」の表現はまた考えたい。 文庫版を買いに行く。
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23歳で白血病に倒れ、難聴や顔面神経麻痺などの病魔と闘い、わずか25歳で逝去した俳人・住宅顕信(すみたくけんしん)の句集。 種田山頭火や尾崎放哉などで知られる「自由律俳句」を作り、病と闘いながら、絶望に打ちひしがれることもあったでしょう、その人生の中で、俳句と真摯に向き合い続け...
23歳で白血病に倒れ、難聴や顔面神経麻痺などの病魔と闘い、わずか25歳で逝去した俳人・住宅顕信(すみたくけんしん)の句集。 種田山頭火や尾崎放哉などで知られる「自由律俳句」を作り、病と闘いながら、絶望に打ちひしがれることもあったでしょう、その人生の中で、俳句と真摯に向き合い続けた全281句が収録されています。 「こわした身体で夏を生きる」 「また帰って来るはずの扉開けて出て行く」 「流れにさからうまい歩けるだけを歩く」 「少しなら歩けて朝の光を入れる」 「地をはっても生きていたいみのむし」 「年の瀬の足二本洗ってもらう」 「陽にあたれば歩けそうな脚なでてみる」 「風のような軽さで体重計にあがる」 病の中にあっても、あるいは病の中にあったからこそ、ふと見過ごしてしまいそうな日常の些事を鋭い感性で詠み続けました。「また帰って来るはずの」「歩けるだけを歩く」「地をはっても生きていたい」「陽にあたれば歩けそうな」「風のような軽さ」などの表現は、孤独とも自虐とも解釈できますが、しかし、不思議な明るさのようなものも感じられます。それは、迫りくる死を感じながらも、生きることをあきらめていない強さです。 とはいえ、進行していく病状のもとで、孤独や絶望を払拭することなどできません。やはり、暗く淋しい句が多いのは仕方のないことでしょう。ただ、彼の句には、病に伏しているいないにかかわらず、人として生きる僕たちの心をはっとさせる力があります。 「淋しさは夜の電話の黒い光沢」 「ネオンの明るさ月が締め出されている」 「灰皿にもみけしていさかうつもりはない」 「気の抜けたサイダーが僕の人生」 「あさり、うっかり閉じ忘れた口をとじる」 「淋しい犬の犬らしく尾をふる」 「鬼とは私のことか豆がまかれる」 「若さとはこんな淋しい春なのか」 「開ければいやなもの見る目で閉じる」 「歩いても歩いても前を行くのが影」 「ひとりにひとつ窓をもち月のある淋しさ」 「重い雲しょって行く所がない」 「ずぶぬれて犬ころ」 「夜が淋しくて誰かが笑いはじめた」 短い言葉に込められた彼のメッセージは、俳句や和歌などに関心のない人にもきっと響くはずでしょう。是非、手にとって彼の言葉に触れてもらいたい、そんなおすすめの1冊です。
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住宅顕信氏はTVで知りました。TVを見ていたわけではないんです。 あまりにも強い言葉がTVから流れてきたので、その言葉に囚われたんです。 後に、一緒にTVを目撃した友だちが、住宅顕信氏の本を買って、かしてくれました。 とても素敵だったです。 希望にしがみつくような。。。 こ...
住宅顕信氏はTVで知りました。TVを見ていたわけではないんです。 あまりにも強い言葉がTVから流れてきたので、その言葉に囚われたんです。 後に、一緒にTVを目撃した友だちが、住宅顕信氏の本を買って、かしてくれました。 とても素敵だったです。 希望にしがみつくような。。。 この本はいつか読んでみたい本です。
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住宅顕信に心酔。 雨の作品が多くもあるけれど。 「気の抜けたサイダーが僕の人生」 にちょっと共感。 気の抜けたビールが私の人生…(笑)
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