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年を歴た鰐の話 の商品レビュー

4.8

10件のお客様レビュー

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2023/06/10

素朴で不穏な挿絵も筆者自身が手掛けているとのことで、世界観が完全に構築されていることに脱帽。 しかして、その不条理だが自由で、残酷なのにしっくりきてしまう…。 食欲と滑稽さと、よく分からぬ見えないものへの信仰…。 これはクセになる作家だ…。

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2021/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

横長のハードカバー装丁、旧仮名遣い、見開きの左側に挿絵で右側に文章という、どこをとっても普通の書籍とは違う造りで、紙の本好きとしては持ってるだけでちょっとニヤニヤしてしまう。 タイトルにもなっている『年を経た鰐の話』のほか、『のこぎり鮫とトンカチざめ』、『なめくぢ犬と天文學者』の3作品が収録されている。訳者によると、太平洋戦争中に出版された初版から三版までは「童話と間違へられ誤つて意外に賣れたのださうだ」。でも、挿絵があるとはいえこのストーリーを「絵本」として読み聞かせられたら、いくら昭和初期とはいえ当時の子どもは当惑しただろうなぁ。 どの作品も、スパッと切れ味の良い結末を迎えているわけではなく、特に『年を経た鰐の話』については途中でふわっと終わってしまった印象。原作の作者がフランス人だからか、フランス映画のような中途半端さというか、あまりオチを考えずに長いストーリーの中の一部だけ切り出してきたかのような感じがする。それもまた、この本の得も言われぬ不思議な魅力を高めることに一役買っているのだと思う。

Posted byブクログ

2015/05/10

だいたいみんな自由すぎなのです。自由にやってワニはうまくいったけど、サメはうまくいかなかったのです。そこから教訓を読み取るべきなのか、そんなこと考える必要もないのか、ただぼんやり読むだけで良いような気もするけど、とりあえずワニは信用できん事は分かった。

Posted byブクログ

2013/09/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

◆収録作品は福音館版と異なり、表題作他「のこぎり鮫とトンカチざめ」「なめくぢ犬と天文學者」。◆ショヴォ作品は良質なナンセンス物語ですが、とにかく黒い(笑)  未読だった「なめくぢ犬」のブラックさにはさらに驚かされました。しかし、読後感のなんとあたたかく、幸せなことか! ◆山本夏彦氏は昭和16年に日本に最初にショヴォ氏を紹介した人。この本は昭和21年に再発行されたものの復刻版。◆訳者の紹介文及び吉行淳之介・久世光彦・徳岡孝夫の後書き付き。厳しい時代の中も、いかにこの本が渇望をもって愛好されてきたかがうかがえて一層愛すべき一冊になりました。【2013/08/17】 

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2014/05/05

収められている3作品とも、結末はぽんと放り投げられたような終わり方。分かりやすいオチを期待してしまう自分は野暮か。 読後感はフランス映画を観た後のようなモヤモヤ・ザワザワ感。原作者がフランス人なら納得。 食欲に負けて孫のワニや友人のタコを食べてしまう年寄りワニの話のどうしようも...

収められている3作品とも、結末はぽんと放り投げられたような終わり方。分かりやすいオチを期待してしまう自分は野暮か。 読後感はフランス映画を観た後のようなモヤモヤ・ザワザワ感。原作者がフランス人なら納得。 食欲に負けて孫のワニや友人のタコを食べてしまう年寄りワニの話のどうしようもない感じは「くいしんぼうのあおむしくん」*に少し似ている(*エリック・カールの「はらぺこあおむし」とは別の絵本)。 訳者の山本夏彦さんが好きで手にした本です。初版は昭和16年。旧仮名遣いも面白いです。

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2011/08/22

 おいおい、復刻されてるだろう?  「のこぎり鮫とトンカチざめ」は、どうした?   ちょっと、荒れている時に、読んでみるといいかもしれない。 

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2010/10/15

昭和16年初版が刊行、昭和22年に判型を変え再刊。 本書は昭和22年版の復刻版で、表題作のほか「のこぎり鮫とトンカチざめ」「なめくじ犬と天文学者」の3篇が収録されており、そのどれもが寓意に満ちている。 ある評者は「人間性の暗黒面」を写したものと評し、他のある論者は老いた鰐をイギ...

昭和16年初版が刊行、昭和22年に判型を変え再刊。 本書は昭和22年版の復刻版で、表題作のほか「のこぎり鮫とトンカチざめ」「なめくじ犬と天文学者」の3篇が収録されており、そのどれもが寓意に満ちている。 ある評者は「人間性の暗黒面」を写したものと評し、他のある論者は老いた鰐をイギリスになぞらえた。 そして訳者の山本夏彦氏は「non-sense(無意味)」と断じた。 私が受けた印象は(あえて3篇まとめて)、「人間って、そんなに大したものじゃないよ」ということ。 しかし無理に寓意を探る必要はない。 ほとんどの見開きに著者自身による挿絵がはさまれており、素直にページをめくる楽しさが味わえる大人の絵本だ。 ワクワク感に浸るために、そしてその時の自分がどんな感想を持つかという興味のために、1年に1回は読み返したい。

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2010/07/04

表題作、のこぎり鮫とトンカチざめ、なめくぢ犬と天文学者。 表題作が★5、あとは★3,5 絵もいいしストーリーも意味深。

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2010/03/15

「幻の名訳」とか書いてあるので買ってしまった。ナンセンスにすこしの毒が入ったような感じ。絵もけっこう評価が高いらしい。久世光彦さんの解説もついてるので満足。

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2009/10/04

昭和に訳されたもの。文語体。 鰐と蛸のやり取りが切なくて好きです。 一日一本ずつ足がなくなっていく蛸が最後まで鰐を疑わないのはバカだと思われるかもしれないけれど、あくまで純粋なだけにも思える。 鰐も蛸自身の人柄(?)に対する愛情と、食欲としての愛情に苦しむのがなんとも。 食べるこ...

昭和に訳されたもの。文語体。 鰐と蛸のやり取りが切なくて好きです。 一日一本ずつ足がなくなっていく蛸が最後まで鰐を疑わないのはバカだと思われるかもしれないけれど、あくまで純粋なだけにも思える。 鰐も蛸自身の人柄(?)に対する愛情と、食欲としての愛情に苦しむのがなんとも。 食べること意外にも、人間でこういうジレンマは当てはめられますね。

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