1,800円以上の注文で送料無料

他者の苦痛へのまなざし の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    5

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2025/07/30

紀元前から近代、現代に至るまで多くの戦争や災害、事件などに私たちはいる。近代から現代においては、多くの戦争や事件を映像や写真で見られるようなった。本著では、それらの筆舌に尽くし難い状況を見た上で、ただの同情は自己満足や責任の回避につながりうると説く。 私たちには当時の写真や映像、...

紀元前から近代、現代に至るまで多くの戦争や災害、事件などに私たちはいる。近代から現代においては、多くの戦争や事件を映像や写真で見られるようなった。本著では、それらの筆舌に尽くし難い状況を見た上で、ただの同情は自己満足や責任の回避につながりうると説く。 私たちには当時の写真や映像、資料を見て読み知り自力で私たちはどの立場でどう考え自力で答えを見つけなければならない。 戦争を知る世代がまもなく世代交代が終わる。語り手が居なくなり、写真や映像と資料だけが残る。そこから私たちはどう考え、どう答えを導き出すのかを自分にも社会にも問わなければならない。本著も写真や映像や資料が「考え、知り、調査するためのきっかけ」であると示唆している。 私たちの日本においては、おびただしい犠牲と歴史と時代と人によって築かれている。知るだけでは知らないのと同じで、同情するだけでは自己満足と責任転嫁または回避である。未来において、本著が危惧していることを何度でも繰り返すだろう。その時に歴史から学び調査し考え抜いた人がまた防止し受け皿となるだろう。 幸いにも現代(2025)時点では、書物や資料などの検閲され思想弾圧や逮捕されることはない時代を皆生きている。自分から知ろうとし、行動し、調査し、倫理観や自分の考えに照らし合わせ問いを投げ答えを導けるだろう。 これは戦争や事件だけの話ではない。人間関係や人生でも活用し応用できる。まずは知ることのきっかけから始め、本著は多くの気づきを与える良書といえよう。

Posted byブクログ

2025/04/07

苦痛を生む世界のメカニズムを把握しようとする契機を、少なくとも写真は与えてくれるのだ。 観察、学習、傾注が始まる。写真が私たちに代わって道義的、知的な仕事をするわけにはいかない。だが、私たちが私たちの道を歩き始める契機にはなるのだ。 「残虐な映像をわれわれにつきまとわせよう」

Posted byブクログ

2024/11/16

戦争と写真の関係性を深掘りしている内容、という印象だった。 内容を知らずに読み始めたのでまさか戦争と写真の関係性を紐解かれると思わなかった。 写真を趣味にしている人は一度は読んでおいても面白い内容。 戦争写真がプロパガンダやマーケティングに使われていることに無意識的になっていたの...

戦争と写真の関係性を深掘りしている内容、という印象だった。 内容を知らずに読み始めたのでまさか戦争と写真の関係性を紐解かれると思わなかった。 写真を趣味にしている人は一度は読んでおいても面白い内容。 戦争写真がプロパガンダやマーケティングに使われていることに無意識的になっていたので、よい考え直す機会になった。 写真を撮ることと火器で敵をエイムし続けることに同一性がある、という内容がとても印象に残っている。 その写真はどこで撮られて、誰が何の目的で(プロパガンダやマーケティングのためなのか、他意のない写真家が撮っただけなのか)を意識しようと気づけた。

Posted byブクログ

2023/10/02

良心の領界っていれると、この本がヒットした。中に入ってるのかな。 人生の後輩たちへの言葉が良かった。 傾注すること。それは、生命力で、他者と繋ぐもの。

Posted byブクログ

2023/04/05

"他者の苦痛(戦争)について「われわれ」は対話できるのか?" ヴァージニア・ウルフが『3ギニー』の中で行った問から始まり、戦争報道写真の効果、写真・映像の効果、演出の効果を分析し、他者の苦痛に同情しながら無罪を主張したり他者の苦痛をスペクタクルとして消費する【...

"他者の苦痛(戦争)について「われわれ」は対話できるのか?" ヴァージニア・ウルフが『3ギニー』の中で行った問から始まり、戦争報道写真の効果、写真・映像の効果、演出の効果を分析し、他者の苦痛に同情しながら無罪を主張したり他者の苦痛をスペクタクルとして消費する【人間】を分析し、他者の苦痛を伝えるジャーナリストや写真家や映像家そしてそれらを受けとる視聴者は道徳的倫理的にどう在れるのか、【われわれ】は他者の苦痛に対して何ができるのか、を問いかける本。 他者の苦しみに対して自分は何もできないという無力感が"冷笑"を生み"傍観者"を生むという指摘はとても同時代的な重要な指摘だと思う。 この本は、他者を人間として尊重しない態度、冷笑、映像と刺激の消費、他者の苦痛をエンタメ消費する恐ろしい非人間性を、食い止める本でもあると思う。 ゴヤの『戦争の惨禍』は、見るものを目覚めさせ・衝撃を与え・傷つけることを意図しており、人の苦痛をスペクタクル消費しておらず、表現における道徳を達成していると指摘。 人は遠くの国で起きた戦争を見て、近くで起きた身近な人の苦しみを見たがらない(受け入れることができない)という指摘。 性暴力被害者に対しその身近な人が二次加害を行う心理もこれだろう。 それではダメなのだ。たとえ恐怖や苦痛を感じたくないがゆえの自己防衛だったとしても、既に苦しんでいる他者を更に苦しめて良い理由はない。ソンタグが言うように、われわれが想像したくない形で、われわれが既に他者の苦しみに連関してしまっているかもしれないことを洞察することが必要なのだと思う。

Posted byブクログ

2023/04/01

写真は主要な芸術のなかでただ一つ、専門的訓練や長年の経験をもつ者が、訓練も経験もない者にたいして絶対的な優位に立つことのない芸術である。これには多くの理由があるが、そのなかには写真を撮るさいに偶然(ないし幸運)が果たす大きな役割と、自発的で荒削りで不完全なものがよしとされる傾向が...

写真は主要な芸術のなかでただ一つ、専門的訓練や長年の経験をもつ者が、訓練も経験もない者にたいして絶対的な優位に立つことのない芸術である。これには多くの理由があるが、そのなかには写真を撮るさいに偶然(ないし幸運)が果たす大きな役割と、自発的で荒削りで不完全なものがよしとされる傾向がある。

Posted byブクログ

2022/07/01

スーザン・ソンタグの書いた本を読んだのはこれが1冊目。なので有名な『写真論』は現時点読んでいない。 その重いタイトルや紹介文などからイメージしていたのと異なり、薄い本。字や余白も大きめで、その気なら短時間で読み通せてしまう。しかしメッセージは軽くない。タイトルに相応しい重みがあ...

スーザン・ソンタグの書いた本を読んだのはこれが1冊目。なので有名な『写真論』は現時点読んでいない。 その重いタイトルや紹介文などからイメージしていたのと異なり、薄い本。字や余白も大きめで、その気なら短時間で読み通せてしまう。しかしメッセージは軽くない。タイトルに相応しい重みがある。 知らない、あるいは辛うじて名前だけ聞いたことがある、もしくは世界史で名前だけ暗記して覚えた戦争や大量殺戮について、山ほど言及される。これが、地球人類の戦争状態という「事実」なのだろう。 日本の事例もそれなりに明記されている。加害者としても被害者としても。

Posted byブクログ

2014/03/06

うーん なんていうか。ごめんなさい 戦争写真論だけども、考察が浅い 読みすすめるのが苦痛だけど内容的にライトっていうめずらしいごほん

Posted byブクログ

2013/09/20

アメリカの作家・哲学者であるスーザン・ソンタグによる、戦争写真や映像、それらに類する苦痛を表した媒体を多角的に考察し論じた著作。 結論から言えば非常に当然かつ退屈な意見でした。写真が齎す不快感や痛みの表象は必然的に体験した者にしか知り得ないものであり、写真を介したオブザーバーの位...

アメリカの作家・哲学者であるスーザン・ソンタグによる、戦争写真や映像、それらに類する苦痛を表した媒体を多角的に考察し論じた著作。 結論から言えば非常に当然かつ退屈な意見でした。写真が齎す不快感や痛みの表象は必然的に体験した者にしか知り得ないものであり、写真を介したオブザーバーの位置にいる人間からすれば無感動・無関心です。無論、可哀想と思ったり何とかすべきだ、と考える者も大勢いますが、行動には移さない者がマジョリティでしょう。 また、兼ねてより撮影者の主観によって歴史の一部を切り取った戦争写真は政治的目的で利用されてきたとも論じていますが、それも写真が持つ特性としては必然で、関心は持てませんでした。 写真と戦争や悲惨、人間の情動の関係性を探究したいという方にはオススメですが、写真に興味がない方にとっては辟易することになるかもしれません。

Posted byブクログ

2013/08/10

他者の苦痛に対して私達は相反した感情を持つことが出来る。苦痛に対する共感から目を背けてしまいたいと思う感情と、芸術的興味から、もしくは単純な興奮からもっと見ていたいと思う感情だ。70年代にソンタグが執筆した『写真論』の続編とも呼べる本書では、あらゆるものがスペクタクル(見世物)と...

他者の苦痛に対して私達は相反した感情を持つことが出来る。苦痛に対する共感から目を背けてしまいたいと思う感情と、芸術的興味から、もしくは単純な興奮からもっと見ていたいと思う感情だ。70年代にソンタグが執筆した『写真論』の続編とも呼べる本書では、あらゆるものがスペクタクル(見世物)と化し戦争と日常が地続きとなってしまった21世紀の現代において、戦争写真を論点の中心におきながら私達の想像力の可能性について述べていく。「残酷な映像をわれわれにつきまとわせよう」という言葉はとても気高く、誠実さに溢れた言葉だと思う。

Posted byブクログ